都会の思い出

もう何年も東京には行っていない。色んな経緯で知り合った友人が何名かいるので元気が残っているうちに会いに行きたいのだが、なかなかタイミングが難しい。実際に行くのは滅多にできないかわりに些細な思い出を反芻して楽しんだりはする。
バーニラバニラ♩という歌を爆音で流しながら繁華街近くを走る性的営業宣伝カーのことは知ってる人が多いと思うが、あれをはじめて実際に見た時は「いま都会にいるんだ…」と感銘を受けた覚えがある。もっと高尚なものに感銘を受けたらどうだと思わないでもないが、えてしてそういうしょうもない記憶のほうが印象に残ってたりするものである。その時は賑やかな通りを東京住まいの友人と並んで話しながら歩いていたのだが、そのバニラ車が宣伝歌を流しながら横ぐらいを走っているのでうるさくて互いの声が聞きづらいし、気まずい。なにせ繁華街ゆえ車道が渋滞していて信号も多いので、ああよかった追い越していったとホッとしたのも束の間、信号待ちやら低速走行やらでたいして進んでいかないのでまたすぐに追いついてしまう。そんな調子でバニラ車と10分ぐらい並走するかっこうになってしまい内心閉口したという思い出である。

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