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手首メモ

 利き手とは逆の手首あたりに油性ペンでメモを書く習慣がある。紙のメモ帳やスマホやスマートウォッチのメモ・リマインダー機能を試したこともあるが、メモをチェックする行為そのものを忘れたりリマインドを見ても「はいはい今やってる作業が終わったらね」と通知画面を消して数秒後に忘れてしまうので効果がいまいちだった。手首に書いてあると常に視界の隅に文字がちらつくので、用事を完遂するまで絶対消さないと心に決めている限りは安泰だ。パソコンの付箋機能みたいにスマホ待ち受けやスマートウォッチの画面上に常にメモを表示させる方法を探るべきなのかとも思ったが、

・スマホを長時間見ないこともあるので普通に忘れる
・スマートウォッチ盤面に常に表示させたい情報は日付、アナログ時計、運動量、最高最低気温および一時間ごとの天気変化と決まっておりこれ以上メモを表示させる余白がない

という理由で、電子機器に頼った備忘録はうまく運用できていない。


このあいだ丸善へ行ったらwemoという手首に巻くメモグッズが売られていた。テスターを触ってみたところ腕時計のシリコンベルトのような材質と装着感だがそこまで分厚くはなく、専用のペンで書いてふつうの消しゴムで消せば繰り返し使えるのが特色ということだった(メモ本体に専用ペンを収容するホルダー部分がついている)。ふだんつけている腕時計のほかに身につける品が増えること自体がめんどくさいと思ったのと手首に直書きで今のところ困っていないので購入は見送ったが、おもしろいアイデア商品だ。

 それでどんなことを手首にメモしているのかというと、その日じゅうに買わないと困る日用品や「手紙」「振込」「役所」といった用件を単語で書く。なにしろ書き込めるスペースが限られているので簡潔にせざるを得ない。あっ、あれしなきゃいけないと思い立った瞬間にバッと近くにあるペンを掴んで即座に手首に書き込む。ひどい時にはメモ帳を取りに行ったりスマホアプリを開こうとスマホの操作をやりかけているうちにメモすべきことを忘れてしまうほどに私の記憶力はおわっているので、それが一番だ。今日は手首に「牛乳」「洗濯」と書いて過ごしている。隣席の同僚が気づいてそれはなんですかと訊いてきたので、こうして書いておかないと忘れるのだと説明したところ「牛乳を買うのはまだしも、洗濯するのを忘れることってあるんだ」と言われた。洗濯どころか、開封したばっかりの1リットル入り野菜ジュースを冷蔵庫に入れるのを忘れふつうの食器棚に二日近く置いてしまって泣く泣く廃棄したこともあるし、犬用トイレが使用済みになっているのを目視しシーツ交換しないとなーと思った2秒後に忘れ、数時間後なにか訴える顔つきの犬を見てやっと思い出したこともある。メモ用の手首が5本ほど欲しい。
おわり

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