聞こえない時もそこにあった音楽

去年の春から今年のはじめにかけて精神状態がすごく悪くなって、何故かニュー・オーダーのベストアルバムしか聴けないという謎の症状に悩まされていた。職場には車を片道30分運転して行かなければならなくて、その間無音だと気が狂うのだがラジオの軽妙なトークがすごく不快に感じられるしニュー・オーダー以外の音楽を聴こうとしても脳がワー！っとなって反射的に停止ボタンを押してしまう。したがって来る日も来る日もニュー・オーダーのベストアルバムを流しながら出勤退勤し、出先で手持ち無沙汰な時間ができたらアイフォンにイヤホンを接続してニュー・オーダーのベストアルバムを聴いていた。鬱の時に聴ける音楽があるというだけでも大変有り難いことではあるが、毎日同じアルバムだけを聴いていたらそれはそれで気が狂うのではないかと心配になったが、とりあえず狂わずに済んでいる（たぶん）。最近薄皮を剥ぐように元気になってきて、きょう久しぶりに他の音楽を聴いてみたら聴けた。ボンジョビ、ジンギスカン、Beck、ラモーンズ、ゆらゆら帝国、筋肉少女帯、QUEEN、ベンチャーズとかを1年ぶりぐらいに聴いてああ時間があいてもやっぱり好きな音楽は良いな〜と思った。音楽なんて役に立たないし面白くもないクソだみたいな気分の時もそこに在り続けてくれてありがとう、という気持ちにもなった。