浸食

大雨のときのニュースで、最近「◯◯県で今まで経験したことがない大雨」などという言い回しを聞くことが増えて気になる、という話を上司がしていた。経験したことがないという状態の主語はいったい誰なんだ。たぶんニュースのアナウンサーではないだろう。では、その土地に住んでる人たちなのか。人だとしたら個々の経験にばらつきがあり過ぎるから(旅行先や転居前の土地でもっとエゲツない大雨を経験した県民だっているかも知れないし)、土地そのものなのか。でも、非生物に経験するという動詞を使うのはなんだかおかしいのではないか。と主張していたので言われてみれば変だなと思った。観測史上最大の、という客観的な表現だったら納得できるのだが。

こんな感じで、妙な言い回しがいつのまにか人々に浸透しているのに気がつく瞬間があって(FF外から失礼しますとか、よろしかったですか?とか)疎外感というか、得体の知れないものが日常を浸食する恐怖のようなものを感じますネ。という話をした。

「だから、そのうち脳にポニャーユ入れてチャロリナをイヌーヌすればいいだけでしょ的な言葉があたりまえに跋扈するようになって我々年老いた人間はどんどん置いていかれるんですよ」と言われて、確かに〜と思いました。

終わり

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