例文の妙

 今受けているペン習字講座の課題文はどことなく気品がある。入道雲の形が綿菓子に見えるとか、庭にいると鈴虫の音が聞こえるとか、和服を着てオペラを聴きに行くとか。ずっと前に市販の美文字練習帳を買ってきたら例文が「孫を抱くのを楽しみにしています」「就活の次は婚活だ」とか、価値観があまりにも合わなくて書き写しがストレスだったので字を練習するにあたって課題文の内容は重要だと思う。11月の課題文が郵送されてきた。

酉の市ってなに?熊手って正月の小道具じゃないの?と、無知な私は文意がよくわからず愕然とした。夫に言うと君は酉の市も知らないのかと小馬鹿にされた。夕方にテレビをつけていたら外国人旅行客が少しずつ戻ってきたというニュースをやっていて、ちょうど酉の市の模様が映った。フィンランド人女性が酉の市に興味があって覗きに来ました、この縁起物の熊手はカラフルで可愛いですねなどとインタビューに応じているのを見て「私より外国人のほうが日本文化を知っているではないか」と愕然とした。広辞苑で酉の市を調べたところ、11月の酉の日に鷲(おおとり)神社で行われる祭で縁起物の熊手を売る露店が並ぶということだった。追加でインターネット検索もしたところ、江戸時代に農民が神に感謝して行った収穫祭に端を発し今まで続いているということで、正月を迎える最初の祭としても重要視されていたらしい。関東に住んだこと無いし関東限定の祭なんか知るかよという気持ちにちょっとだけなったが、今まで知らなかった日本古来の文化を知れてよかったと無理矢理思うようにした。


コンビニで買ってきてもらった大福のメーカーを何気なく見たら、昔別の仕事をしてたとき現場調査で入った製菓工場だったので懐かしかったです。たこつぼ型の駅弁空き容器(陶器製)を何かに使えないかと思案中で、試しに緑茶を淹れるのに使ったら湯呑みに注ぐ際狙いが定まらずあたりにぶちまけてしまい、ふつうに急須を使えばよかったと思いました。
おわり

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