ダメな日の後書き日記

 無気力でずっと寝ていた。帰宅した夫に今日は何してたの?と訊かれ、寝ていたとだけ答えるのがなんか悔しかったので「基本的にはまぁ布団の中に居たわけだが、うつ伏せのまま過ごしているとやがて体に熱がこもり不快になってくるのでそうなったら仰向けになり、または左右いずれかの横向きにもなり……」と無理矢理かさ増しして伝えたところ「寝返りを大仕事ととらえているのは君か赤児ぐらいだろ」と呆れられた。私が大仕事だと思っているのは寝返りだけではない。例えば普通の人は「入浴」は単に「入浴」と認識しているんだろうが、私にとっては「乱雑な引き出しから苦労して着替えを一式揃える→スリッパを脱ぐ→新しいナプキンを用意する→風呂場の扉をしめる→服を脱ぐ→脱衣かごに入れる→頭にシャンプー液をいい感じで馴染ませる→シャンプーを泡立てる→頭皮を刺激する→気の済むまで洗い流す→天井に飛び散った泡を拭き取る→タオルに石鹸をつけ泡立てる→ぬめりがなくなるまですすぐ→(中略)→パンツに脚を通す→服の上を着る→ズボンを穿く」と一つ一つの工程がめんどくさい義務として襲い掛かってくる厄介な儀式なので、基本的に何故こんなやりたくないことをたくさんやらんといかんのかという被害者意識にまみれながら入浴をこなしている。しかも、頑張ってこなしたところで日付が変わると実績はリセットされ、またもや入浴のタスクが発生するのだ。賽の河原や2つのバケツの水を延々交互に汲み移す拷問と何が違うのか。入浴だけではない、生活を構成する全ての日課がこのように容赦なく私を責め苛むのだ。鬱屈して犯罪に走らないだけで褒めてほしいし、ねぎらってほしい。

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