あしたはなにして遊ぼうか

小学校の時の夏休みは図書室の本をたくさん読むことが推奨されていて、夏になると学校の図書室のあの感じがふんわりと懐かしく思い出される。はだしのゲン、手塚治虫のブッダなどの漫画本が充実していたこと、マガーク少年探偵団シリーズの表紙だけを眺めて中身はついに読まなかったこと、『ひげよ、さらば』というハードカバーの分厚い本があって気にはなっていたがついに読まなかったことなど。

気に入って繰り返し読んだ本のひとつに『あしたはなにしてあそぼうか』というタイトルのものがあった。仲良しの男の子4人組が集まって色んな遊びをするというストーリーなのだが、スイカ泥棒をするエピソードが特に好きだった。近所のおじさんの畑に立派なスイカが実っているのに気がついた4人組は夜中にこっそり盗んで食べようと悪だくみするのだが、それをうるさ型のけい子姉ちゃんに見咎められる。ところが畑の偵察についてきた彼女は少し考えて「私も計画に乗るわ」と言い出す。闇夜に紛れて盗み出したそのスイカをいざ叩き割って食べてみると、それはスイカではなく冬瓜だった。けい子姉ちゃんは畑を一目見て4人が冬瓜をスイカだと勘違いしていることに気がついたのだが、敢えて泥棒計画に加担するフリをし畑の持ち主のおじさんにも話を通しておいて4人を懲らしめることにしたのだ。生の冬瓜なんて美味しいはずはないのだが、けい子姉ちゃんは「粗末にしちゃダメだよ。一度割ったからには残さず食べな」と言い放ち、悪ガキ4人は涙目になりながら冬瓜を平らげるという結末だった。

子供の頃読んでいた児童書や絵本を大人になってから読み返すと新たな感興が湧いてきて意外と楽しいですよ。

終わり

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