見出し画像

【原神】「子供たちが泣いてしまう」の違和感を真面目に考える

先日突如アップされて原神界隈の様々な村々を焼き払った、こちらの動画を見てふと思った(2度目)
どうして「子供たちが泣いてしまう」のか。

半年前にアップされた動画ではあるが、ふと気になったので考えてみる。

この発言をしたのは召使(めしつかい)だ。
さてそんな彼女は何故か淑女の葬儀の場で「子供たちが泣いてしまう」と発言した。このセリフ、唐突に発言されたせいでめっちゃくちゃ違和感がある。
その場に子供たちは一人もいないのに、なぜ泣いてしまうのだろう?

「子供たちが泣いてしまう」という発言の真意

この発言が出てきた流れを見直してみる。

まず雄鶏が「淑女の死は、全てのスネージナヤ国民が半日仕事をする手を止めてでも、悼む価値がある損失だ」と発言をする。
その言葉に富者が「半日だけしか手を止める価値がないのか?銀行家は冷血だと言われるが、市長(雄鶏)は銀行家よりも冷血で、認識がおかしいのではないか。」と言う。

この富者の発言は、恐らく雄鶏に突っかかってからかっているだけっぽいが、要するに「淑女ほど地位があっても、死んだら半日しか手を止めて悼むことがないなんて、お前はひどい奴だな」と言いたいのだと思う。

ただしスネージナヤという国が、どれくらいの服喪期間を設けることが一般的なのかは分からない。雄鶏の発言はスネージナヤでは破格の扱いである可能性もある。

そしてこの富者の発言の後、召使が前に出て発言する。

ロザリン(淑女)は見知らぬ地で果てて逝った。
君たちのように共感性に欠け、言い訳ばかりで国に身を潜めるお偉方には、想像もつかないだろう。
ならば、さっさと口を閉じろ。子供たちが泣いてしまう。

【原神】『テイワット』メインストーリー幕間PV-「冬夜の戯劇」 召使の発言より
カッコ内の注釈、強調は引用者による

とりあえず上から順番にその内容を、ひねりを特に入れず補っていってみる。

ロザリン(淑女)は見知らぬ地で果てて逝った。

文字通り、魔神任務中「無想の一太刀」を浴びせられ稲妻で死亡した淑女のことを指している。
彼女はモンド出身でスメールに学び、その後スネージナヤでファデュイに加入しているため、稲妻は生まれ育ったわけでもなく、生活を長年したわけでもない、仕事で訪れただけの「見知らぬ地」である。

君たちのように共感性に欠け、言い訳ばかりで国に身を潜めるお偉方には、想像もつかないだろう。

「見ず知らずの土地で死んでいく悲しみを、お前たちは理解できないだろう」という、直前に発言していた雄鶏や富者を含む、スネージナヤ外に出ている形跡がほとんどない他のファトゥスたちに対する嫌味
この発言を考えると、自分よりも高位の者たちの多数が外、つまりスネージナヤから仕事のために出ていかないともとれることから、召使の序列は10位であるという意見にも当てはまるのではないかと思う。

ならば、さっさと口を閉じろ。

「淑女が縁もゆかりもない地で未練を残して死んでいくことのむなしさや悔しさ、悲しさ」が伝わるわけないよな、と言っていると取れるので、
「そういうことが理解できないなら、お前たちが何か発言する権利はない。だから黙って淑女の冥福を祈れ」という意味だと取れる。

だからこそ最後の「子供たちが泣いてしまう」と意味が繋がらない。

なぜ「子供たちが泣いてしまう」のか

ということでここまで考えてみてから、召使のすでに明らかになっている設定から深読みしてみようと思う。

まず召使は「壁炉の家」という孤児院を運営していることがすでに判明している。
時々ワールド内に現れる「シュナイツェビッチ」「シュナイツェフナ」の名を持ったファデュイのメンバーは、この「壁炉の家」の出身者たちだ。
彼らの中でも優秀な者たちは選抜され、他国に送り込むスパイとなったり、ファデュイの中の特別部隊として任務にあたる。

これまでのストーリーを見直してみると、層岩巨淵の地下や、千尋の砂漠で発生する世界任務などにもこの名前を持ったメンバーが現れる。
だがそのいずれもが皆、悲惨な末路を辿ることになったりとんでもない苦労をしたりと相当過酷な仕事であることがすぐに分かる。

こうした「壁炉の家」出身の人間たちの親代わりは、恐らく経営者である召使だろう。
召使のことを壁炉の家の子供たちが「親」と認識しているならば、召使も表立っては彼らのことを「子」と呼ぶと考えられる
召使が「壁炉の家」出身者を「子供たち」と呼ぶことも違和感がそれほどないのではないだろうか。

そう考えると、先ほどのセリフをもうちょっと曲解できる。
ロザリン(淑女)のように、縁もゆかりもない土地で死んでいった「壁炉の家出身者たち」が泣いてしまうと言いたいのではないか?
それを踏まえて発言を曲解し、書き直してみる。

召使の発言を私流に曲解する

ロザリン(淑女)は見知らぬ地で果てて逝った。
淑女や彼女と同じようにスネージナヤ国外に出て、言い訳もできず過酷な任務を任される下々がいること、そのまま死んでいく人たちがいることなど、高い地位にいるうえ、スネージナヤという安全地帯にいるお前たちには想像もできないだろう。
そんなことも想像できないなら何か発言する権利はない。
淑女という高位の人間すら半日しか悼まれないのであれば、祖国の地を踏めぬまま、半日すら悼まれることなく死んでいった壁炉の家(孤児院)出身の子供たちはきっと泣いてしまう

【原神】『テイワット』メインストーリー幕間PV-「冬夜の戯劇」 召使の発言を一部引用
改変、追記、協調は引用者による

つまり召使は、淑女が亡くなったことそのものを悼んでいるというよりは、その陰で悼まれることなく死んでいく壁炉の家の子供たちのことを言っているから「子供たちが泣いてしまう」と発言したのではないか。
途中から主語が変わっているが、セリフがあまりにも短いため唐突に子供たちが泣き始めてしまうという話にすり替わっている。

また、このような発言であれば、何となく放浪者が言う召使像のイメージにも近くなるのではないか、と思った。

道徳家気取りの偽善者さ。彼女が「優雅」と「親切」を見せるのは、人をよりうまく「コントロール」するためだ。彼女の狂った一面を見た者は、もうほとんど…ふぅ~。

召使について… 放浪者のボイスより

召使がこのように子供たちを気遣う様子を見せるのは、彼女が子供たちをコントロールするためだと言いたいのだろう。

先ほど私は、召使が「自分の孤児院からファデュイに入った子供たちが可哀そうだ」という意味合いで発言したと言った。
だが実際には「別に淑女の死なんてこれっぽっちも可哀そうだとは思っていないし、子供たち(壁炉の家の孤児たち)が死んだとしてもそれは大した問題ではない」と考えていても、不思議ではないのかもしれない。

いずれにしても上記のような発言を放浪者がしたのは、いつも召使がそういった発言と、その発言に反する行動を見てきたことを裏付けることにならないだろうか。

だから召使は表立っては「常識人っぽく、慈悲深そう」な印象を与えることができ、彼女の裏の顔を知っている人はその振る舞いの理由を知っているから「狂気的」と表現するのだろう。

丁度「ビルキースの哀歌」に登場した主母バベルも、ジェイドという子供を洗脳していた。プレイアブルキャラのジンもある意味では騎士の母親に洗脳された娘だ。
今後もこうした洗脳された子供たちは定期的に表れるのかもしれない。

2023/02/27追記
こちらの記事では蛇足になったため削除した、「壁炉の家」の子供たちの名前について、ロシア人名に基づいて感じる違和感をまとめた記事を書きました。


いいなと思ったら応援しよう!