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【特定重要物資】現状の外国との関係とは?

特定重要物資の現状と取り組みを伺っていきたいと思います。
おさらいしておくと特定重要物資というのは、国民の生存、国民生活や経済活動に甚大な影響のある物資の中で、安定供給を確保するために政府が政令で決定して対策を進めている11の物資でした。
今日は私たちの暮らしに身近な3つの物資について聞いてみたいと思います。
最初に抗菌性物質製剤について教えてください。

抗菌性物質製剤というのは、つまり抗菌薬のことです。
これは感染予防とか治療のために不可欠です。
注射用抗菌薬の約85%を占めているβ-ラクタム系抗菌薬、この原材料は100%中国から輸入をしてまいりました。
過去に中国から原材料の供給が途絶したときに、いくつかの医療機関において、手術を延期したといった深刻な事例が報告されました。
この供給が正常化するまでに約1年間かかったんです。
こういうのも大変だと命に関わるというので、去年の12月に特定重要物資に指定をいたしました。
そこから「頑張ろう」という民間事業者の方々が計画を作ってくださって、今年の7月、それぞれ複数のいくつかの企業が参加する2チーム、要は2件の供給確保計画が厚生労働大臣によって認定されました。

これらの認定事業が進んでいくと、日本国内で生産設備、これは母核から作る、原薬も日本で作る、原薬6ヶ月分を備蓄するという体制を構築できる、そういう見通しになりました。

肥料についても教えてください。

肥料というのは皆さんご存知のとおり農産物の生産には不可欠です。
米とか麦もそうですけれども、農産物の収量、取れる量を維持するというのが、もし供給が途絶したら困難になるという大事なものです。
2018年から2022年までの肥料原料の海外依存度というものを調査した結果、尿素は94%海外に頼っている。
輸入先は1位がマレーシアで77%、2位が中国で12%、3位がサウジアラビアで3%でした。
りん安という材料、これは100%海外に頼っています。
輸入をどこからしているかというと1位は中国で62%、2位はモロッコで16%、3位はアメリカで10%という結果でした。
塩化カリウム、これも100%海外に頼っています。
輸入先はカナダが79%、イスラエルが7%、ドイツが3%でした。
塩化カリウムについては、これまでロシアやベラルーシからも入れていました。
でもウクライナ情勢によって輸入は困難になっています。
そこで2022年12月に、肥料を特定重要物資に認定をした上で、供給確保計画を民間事業者が出してきて、農林水産大臣が認定したのが2023年7月のことです。
5件、供給確保計画が認定されました。
これらの認定事業によって、5つの事業者がこれに関わってくださるのですが、りん安については1.7ヶ月分、塩化カリウムについては2.7ヶ月分の目標で肥料原料の備蓄を行うということになりました。
まだまだ尿素も入れると足りないから、これからまた追加で手を挙げてくださる事業者もいらっしゃるのかなと思っています。
国内で肥料そのものを作るという取り組みは、特定重要物資の安定供給確保のプランとは別に、農林水産省や自治体が頑張ってくださっています。
自治体によっては下水汚泥を活用して肥料にしているところもありますし、それから農林水産省なんかが頑張って、畜産農家と農家をマッチングして牛のフンを肥料にするというようなことで、国産でできるだけ肥料を作っていこうというのがこれからの方向性だと思っています。

農作物についてはそもそも海外に頼っているものが多いという中で、国内で作っているものに関しても肥料は実は多くのものが海外から輸入しているという実態も分かりましたし、そのリスクをプロテクトするためにいろんな体制を整えてくださっているということが伝わりました。
最後に聞き慣れない名前ですが、クラウドプログラムについても教えてください。

クラウドサービスというのはもう今、国民生活に根差しています。
公的機関もそうですし、民間企業もそうなんですが、その機関システムとか社会インフラにも拡大が見込まれています。
重要データを日本が自律的に管理するためには、国内に事業基盤を有する事業者が、基盤クラウドサービス事業を提供するということが不可欠だと思います。
今、残念ながらクラウドプログラムの海外依存度は約7割です。
つまり、国内に事業基盤を有していない事業者による海外からのサービス提供を受けているので心配です。
ということで、クラウドプログラムも2022年12月に特定重要物資に指定しました。
2023年の4月・6月・7月・11月に合計4件、民間企業が手を挙げてくれて供給確保計画が認定されました。
これらの認定事業によって、量子コンピューターを活用したクラウドサービスの提供、それからAI(人工知能)に関わる計算資源としてのGPUクラウドサービスの提供などが国内で実現する見込みになってまいりました。
クラウドも頑張ります。

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