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高市早苗経済安全保障担当大臣(2024年5月10日)

先日の健康医療の専門調査会で、今後の戦略の策定方針案について、基礎研究とか人材育成、研究基盤の記述が不十分じゃないかと数多くの委員から指摘がありました。
大臣が座長されている参与会合でも基礎研究の重要性については指摘されています。
大臣としてはこれらの基礎研究・人材育成・研究基盤の重要性についてどのようにお考えなのか、また第3期の戦略とか計画に柱として盛り込むのかどうかお伺いを教えてください。

基礎研究や研究者をはじめとする人材育成・研究基盤の整備というのは、将来のイノベーションの礎です。
研究力の低下が懸念されている中で、次期の戦略期間においても政府としてしっかりと支えていくことが重要だと考えています。
第3期健康医療戦略や医療分野研究開発推進計画の策定に向けましては、まさに健康医療戦略産業会合と健康医療戦略推進専門調査会において、それぞれご議論いただいているところです。
参与また委員の方々ともよく議論しながら、しっかりと検討を深めてまいりたいと思っています。

先日、日本の宇宙企業のアストロスケールがデブリになっているH2Aの残骸の画像を公開していました。
非常に状況を詳細に捉えたものだと思うんですけれども、ご覧になってのご感想と、合わせてデブリの抑制とか削減というのは国際的なルール作りが非常に重要だと思うんですけれども、日本としてどう議論をリードしていくのか、お考えがあれば聞かせてください。

2024年2月に打ち上げられましたアストロスケール社のアトラスJですが、このH2Aロケットの第2弾機体に、まさに数百メートルの距離まで接近して撮影に成功したということです。
このスペースデブリを近距離で撮影した画像が公開されるということは世界初です。
また、軌道上のデブリに安全に近づいて、運動や損傷、劣化の状況を調査するアストロスケール社の技術というのは、デブリ除去をはじめとする軌道上サービスに不可欠です。
実証が順調に進んでいるということは大変喜ばしいことです。

今後ですけれども、アストロスケール社はJAXAの商業デブリ除去実証の次のフェーズでこの知見をもとにデブリへの接近とさらなる画像データの収集、そしてデブリの捕獲、そして軌道離脱を行う予定ですので、さらなる技術開発の進展を期待いたしています。

各国、宇宙活動が活発化していますし、また衛星破壊実験も過去にありましたので、宇宙物体の衝突リスクは確実に高まっています。
宇宙機関の長期的かつ安定的な利用の実現のためにも、宇宙空間利用のルールを作っていくということは一層重要だと考えています。
私が議長を務めました2023年のG7科学技術大臣会合でも、この件を活発に議論しまして、デブリの発生を抑制する、そして発生したデブリを除去する技術開発の取り組みを強く奨励するということをコミュニケに盛り込むことができました。
2024年のイタリアで開催されますG7の関連大臣会合でも議論してまいりたいということで、申し上げています。
政府としてアストラルスケール社のような意欲的な取り組みをしっかりと支援しながら、2024年3月に策定しました軌道利用のルール作りに関する中長期的な取り組み方針に基づきまして、我が国の実践的な取り組みを蓄積するということとともに、これを優良事例として国際社会に発信していきたいと思っています。

セキュリティ・クリアンス法について伺います。
もし仮に成立した場合なんですけれども、運用基準がどうなるかというところに焦点が移るかと思います。
有識者会議をできるだけ早くということで、これまで答弁されていると思うんですけれども、現時点で具体的な目処があれば伺いたいのと、あと国会でかなり繰り返し衆議院でも参議院でも議論になったのが、情報の範囲であるとか不利益取扱いどうなるんだというところがあったと思うんですけれども、運用基準を通して懸念が払拭されるのか、もし政府としてポイントとして重視したい点とありましたらお願いします。

まだ法律案成立前ですので、有識者会議の設置のスケジュール、また運用基準の策定について具体的に申し上げることはできません。
ただ本法案をお認めいただきましたら、法律案にも書いてあるんですが、交付から1年を超えない範囲で、1年以内にこれを施行しなければなりません。
そうすると、やはり事業者の方々が運用基準の内容をご覧になった上で準備する期間、これも確保されなきゃいけませんので、法案をお認めいただいた後、できるだけ速やかに有識者会議を開催して、ご意見を伺って、案を作成した上でさらにパブリックコメントにもかけて準備を進めてまいりたいと思っています。

運用基準の内容についてなんですが、これも国会で答弁をさせていただいた範囲で申し上げますと、指定の対象となる情報の採目の明示ですとか、適性評価における対象者の保護に関する実行など、国会審議でご指摘いただきお約束した点も踏まえながら、これも有識者のご意見を聞きながら、適切な内容にしていきたいと思っています。

2点お伺いさせてください。
情報監視審査会なんですが、大臣は国会答弁で過去に審査会のメンバーを務められた経験から、課題点をいくつか述べられました。
この発言の答弁の趣旨は、この審査会のチェック機能がまだまだ不十分なのかという認識なのかというのが1点と、もし他に国会答弁で言われたこと以外に改善余地があれば教えてください。

国会答弁の中でも申し上げたんですけれども、国会の運営方針ということですので、お許しをいただけたらということで、私見を述べたものです。
4月25日の参議院内閣委員会で情報監視審査会の運用についてご質問をいただきましたので、先ほどのようなことをお断りした上で、衆議院情報監視審査会の委員を務めていた際に感じていたことを個人的な感想としてあえて申し上げました。
国会の情報監視審査会の活動の在り方、運営方針については、今ここで政府の立場として言及するということは差し控えさせてください。

アクティブ・サイバー・ディフェンスについてなんですが、過去の記者会見ではこのテーマについて聞かれたときに所管外だというふうなお答えだったんですけれども、5月3日にはご自身のTwitterでご意見を表明されました。
このタイミングでそういう投稿された意図と、このアクティブ・サイバー・ディフェンスの世界的な必要性の高まり指摘されている一方で、憲法の複雑な問題を絡み合っています。
この実現に向けてのスピード感、例えばいつの国会で成立を目指すべきだとか、スピード感についてお考えがあれば教えてください。

5月3日のXにポストしましたとおり、やはりこれは河野大臣の所管ですので、スケジュール感ですとか詳細について私から申し上げることはできません。
ただ、サイバーセキュリティというのも広い意味で経済安全保障の重要な要素だと私は考えています。
Xへの投稿については、このサイバー攻撃の巧妙化によりまして、サイバー空間における脅威がかなり高まってきているという中で、我が国全体のサイバーセキュリティ対策を一層強化していくというのは、これはもう経済安全保障の観点から急務であるという思いです。

昨日、一部の報道で政府が核融合技術の実現加速に向けて技術加速開発や人材育成の支援に向けた新法をつくる方針だと報じられています。
2030年代の実証を目指す旨と合わせて、6月中にもまとめる骨太の方針に盛り込むと報じられていますが、事実関係について教えてください。

現時点で、政府として何か新法をつくる方針を決定した事実はございません。

先ほど言及がありましたセキュリティ・クリアランスについてですけれども、本日の参院本会議で採決が予定されています。
まだ成立前ですけれども、改めまして大臣として受け止めと制度の意義をお伺いいたします。

まだ成立前です。
ただ、昨日の参議院内閣委員会で2つの法律案につきまして、野党を含む賛成多数で可決をいただきました。
様々なご指摘もいただきましたし、附帯決議もいただきましたので、運用基準の策定などに活かしてまいりたいと思っています。

意義ですけれども、やはり第一義的には、日本の情報保全体制をしっかりと強化するということです。
これはやはり先進諸国並みの新しい制度をつくって強化すると、つまり経済安保分野にも拡大したセキュリティ・クリアランス制度を日本もつくったということによって、諸外国から特に同盟国、同志国、各国から自国と同水準の情報保全制度が日本にもあるという信頼感を持っていただけることだと思いますので、この法律案をお認めいただき、また政令ができ、運用基準ができ、しっかりと動き出しましたなら、国際共同研究などにおいても、様々な民間事業者も含めて参加の機会は増えていくと思います。

そして、政府間の経済安保分野に係る情報のやり取り、これもスムーズになっていくと思います。
そして、またBtoBにおきましても、やはり日本の国には自国と同等の情報保全措置があるということをもって、信頼性の証として活用していただけるんじゃないかと思っています。
企業のビジネスチャンスの拡大にも繋がるものと期待をいたしています。

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