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高市早苗経済安全保障担当大臣(2024年7月5日)

科学技術政策担当大臣として報告を申し上げます。
来週7月9日から11日にかけて、イタリア・ボローニャで開催されるG7科学技術大臣会合に出席をするため、7月8日に出国をいたします。
地球規模課題の解決や経済安全保障の確保には科学技術の役割や国際協力がますます重要になってきています。
本大臣会合はG7各国との協力進化に向けた貴重な機会であると考えています。
今回の大臣会合では昨今の状況を踏まえまして5つのテーマで議論が行われます。

1つ目は研究セキュリティ・インテグリティ・オープンサイエンス・科学コミュニケーション。
2つ目は大型研究インフラ。
3つ目は振興技術に関する研究。
原子力・フュージョンエネルギー・宇宙。
4つ目はアフリカとの研究イノベーション協力。
5つ目は海洋と生物多様性です。
これらのテーマは2023年5月に私が議長として取りまとめたG7科学技術大臣コミュニケの議論の継続性も踏まえられており大変関心を持っています。

また今回の大臣会合には2023年の仙台でのG7科学技術大臣会合に参加いただいた閣僚のほとんどが参加予定と聞いています。
引き続き親交を深めるとともに、2023年の議長として積極的に貢献をしたいと考えています。

2点目は宇宙政策担当大臣として報告申し上げます。
本日JAXAより宇宙戦略基金の公募が開始されました。
本日の5つのテーマを皮切りに今月から来月にかけて、4月に策定した総務省・文部科学省・経済産業省の全22テーマについて順次公募開始していく予定です。
宇宙システムの経済・社会活動への影響が高まる中、宇宙活動は政府主導から官民連携へと大きな転換点を迎えています。
今後我が国における宇宙活動の発展に向けましては、国内の民間事業者や大学の関係者の皆様のお力が欠かせません。
今回の22テーマは輸送・衛星・探査の3分野にわたり、事業家に向けて民間企業が主体となる技術実証から、大学などが主体となって進める革新的技術開発まで、幅広く設定されています。
民間企業・大学・国立研究開発法人など幅広い皆様からの積極的かつ意欲的なご提案を期待しています。

政府としましても、先日閣議決定されたいわゆる骨太方針2024にも記載されたとおり、本基金について速やかに総額1兆円規模の支援を行うことを目指しつつ、引き続き関係省庁やJAXAと連携して、意欲ある取り組みをしっかりと後押ししてまいります。
なお公募の詳細につきましては、JAXAの宇宙戦略基金ホームページをご覧ください。

G7科学技術大臣会合についてお聞きしたいのですけれども、前回は議長として全体をリードしたわけですけれども、今回は一参加者として5つのテーマがある中で特にどういう点に重きを置いて訴えていきたいのか教えてください。

全てのテーマが重要なのですが、私からは特に宇宙・フュージョンエネルギー・研究セキュリティ・インテグリティについて、G7が一丸となって取り組んでいくことの重要性を訴えたいなと思っています。
例えば宇宙につきましては、持続可能な利活用を進めるにあたり、スペースデブリ対策は喫緊の課題です。
2023年5月に私が議長を務めたG7科学技術大臣会合で、G7として初めてスペースデブリの発生抑制と削減のための取り組みの重要性について議題として取り上げさせていただき、科学技術大臣コミュニケに盛り込むことができました。
本テーマは2024年の首脳コミュニケでも言及されてきています。
2024年の科学技術大臣会合でも引き続き議論をして、私からはG7がスペースデブリの発生抑制と削減について、国際ガイドラインの実施や技術や解決策の研究開発のさらなる取り組みを奨励する旨のメッセージを発信して、国際社会の先頭に立ってデブリ対策を進めていくべきだということを改めて強く訴えたいと思っています。

それからフュージョンエネルギーについてですが、研究開発や人材育成に加えまして、国際的に強調した科学的で合理的な安全規制の策定に向けた国際連携が重要です。
科学技術大臣コミュニケに初めて盛り込まれる方向で調整中です。
我が国ではちょうど2023年4月に日本初の核融合の国家戦略として、フュージョンエネルギーイノベーション戦略を策定しました。
現在、2030年代の発電実証を目指して取り組みを進めています。
科学技術大臣会合では、ITER計画も含めて国際連携の取り組みについて、我が国として積極的に貢献していく旨は述べたいと思っています。

それから研究セキュリティ・インテグリティにつきましては、2023年の科学技術大臣コミュニケに盛り込まれました。
一部の悪意ある行為者が国際的に開かれた研究環境を不当に利用する懸念が拡大しています。
これはG7で連携していくことが急務となっています。
これに対してG7では研究セキュリティ・インテグリティに関する各国の政策ですとか、産学官における経験・ノウハウを共有するオンラインプラットフォームであるバーチャルアカデミーの取り組みを推進していますので、G7以外の同志国の参画に向けて日本も貢献しています。
日本国内では2021年4月に決定した研究インテグリティに関する政府方針について、大学や研究機関における実施状況のフォローアップ調査を行いました。
以前にこの会見で申し上げたとおりです。
2024年3月に取りまとめた国立研究開発法人機能強化に関する方針の中で、研究セキュリティ・インテグリティの確保・徹底を柱の一つに掲げて取り組みを進めています。
ですから科学技術大臣会合ではこうした日本国内の取り組みも紹介をしながら、これからもG7が連携して研究セキュリティ・インテグリティの確保を推進していくべきであるということをしっかり訴えていきたいなと思っています。

宇宙戦略基金の関係で伺いたいんですけれども、日本の宇宙開発すべてをこの基金で賄うわけではないということですが、その上でこの基金に応募して採択される民間とアカデミアそれぞれにどういう役割と成果を期待するかという点を教えてください。

先ほど申し上げましたけれども、宇宙戦略基金では事業家に近い民間企業主体の技術実証から、大学などが得意とする革新的技術開発まで、幅広いテーマを設定しています。
民間企業大学・国立研究開発法人など、それぞれのプレイヤーの特徴や強みを活かしながら、各テーマの研究開発を進めていくということで、我が国全体として中長期的視点も含めて、宇宙開発力を大きく前に進めていけると確信しています。
この際、民間企業には宇宙分野への一層の投資を期待いたします。

今回基金10年間ですけれども、ものによってはもちろん10年よりもっと先に事業化ができるようなものもあると思うんですが、より長い目で見たときにどういうシーズを目利きして育てていくかという点で政府の考え方を教えてください。

今後公募するテーマの一つの中に、SX研究開発拠点において大学などの研究機関を対象に、宇宙のみならず宇宙以外の先端分野の活用も含めてJAXAを超えるような革新的な成果の創出を目指すということにしています。
これで将来の宇宙分野を担う人材の輩出も期待をしています。
本日から公募ということで、まずスタートを切ったところですけれども、我が国の宇宙開発の中核機関であるJAXAの知見というものは活用しつつ、民間企業や大学などの取り組みをしっかり後押しできるように、継続的な支援を進めていきたいと思っています。

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