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特定秘密の漏えい事案とは?

自衛隊による特定秘密の漏えい事案2件が公表された後、5月8日に高市大臣が官邸で会議を開いていらっしゃいました。
特定秘密保護法も高市大臣の仕事になるんでしょうか?

特定秘密保護制度に関する事務というものも所管する大臣を務めています。

漏えい事案というものは関係各社から取り上げられているもので、非常に対応が大変だったのではないでしょうか?

そうですね。
防衛省が特定秘密の漏えい事案2件発生したということで、公表をされたのが4月26日だったんです。
その時はまさに経済安全保障分野の情報保全制度を作るための重要経済安保情報保護活用法案が参議院の内閣委員会で審議されている最中でした。
ですからこれは大変なことだ、というのが1点。
また特定秘密保護法の施行以来、やっぱり各省庁は相当気をつけながら情報業務にもあたってこられましたし、秘密保全業務をしっかり積み重ねてきた、実績を積み重ねてきたということで、我が国に対する国際的な信用が非常に上がったおかげで同盟国・同志国から機微の非常に核心に迫る情報が得られるようになっていたという状況だったのでそこも残念でした.

さらに4月に読売新聞社が公表した世論調査で「日本が防衛力を強化することに賛成ですか反対ですか」という問いに対して、賛成と回答された方が71%に上っておりましたので、国民の皆様の安全保障に対する関心というのが、過去に例を見ないほど高くなっているということを実感していたその直後だったので残念でたまりませんでした。

特定秘密保護法施行後、かなり特定秘密について最新に注意を払ってきたというふうに仰られました。
以前にも、自衛隊で特定秘密の漏えい事案があったような記憶があります。

2022年12月に公表された一件があったんです。
それは公表の2年以上前の2020年に海上自衛隊で発生していたという漏えい事案だったんです。
当時の浜田靖一防衛大臣がむちゃくちゃ苦労して再発防止策を取りまとめられて、私も特定秘密保護制度の担当大臣ですから、防衛省で取りまとめられた再発防止策を各省庁に横展開する、そういう対応を行ったということを記憶しています。

2024年4月末に防衛省から公表された漏えい事案は、具体的にどのようなものだったのでしょうか?

一件目、海上自衛隊の「護衛艦いなづま」における漏えい事案なんですが、これは2022年の6月以降とされてるんです。
6月に人事異動があってそれ以降だろうとされてるんですが、当時の上司が特定秘密の取り扱い資格、いわゆるセキュリティ・クリアランスを持っていない隊員に特定秘密を取り扱わせていたという案件でした。
それは2022年6月に異動してきた隊員の取り扱い資格をちゃんとチェックせずに取り扱わせていたんだろうということなんですが、2024年の2月になってからその護衛艦の幹部から、当時の幹部の後任に当たる方なんだろうと思うんですけれども、幹部から海上幕僚監部に対しまして、その隊員に特定秘密の取り扱い資格があるかどうかという照会がかかったんです。
それで初めて認知されたという案件でした。

2件目は陸上自衛隊の北部方面隊における漏えい事案なんですが、これは2023年7月に特定秘密の取り扱い資格を持つ部隊の指揮官が訓練の時に指示とか伝達を行います。
その時に特定秘密を含んでいる内容を部下たちに話してしまったという案件でした。
これは2023年12月に防衛省本省に対しまして、内部からの情報提供があったことによって初めて認知されたということです。

両件とも外部に情報が漏えいしなかったということが不幸症の幸いではあったんですけれども、ただその特定秘密の漏えい事案発生の疑いを防衛省本省が認知してから公表までには時間がかかりすぎたんちゃうかなというのが私の率直な感想です。

公表までに時間がかかった理由はなぜなんでしょうか?

防衛省は内部調査に時間がかかったと仰ってるんですけれども、私は事実関係の見極めというのを慎重に行うということはものすごく大事なんだけれども、早期に問題点を共有して是正すべき点があれば直ちに是正するということ、これは政府全体の情報保全の観点からも重要だと思っています。
国会にも衆参両院に情報監視審査会が設けられてますので、国会への報告も早期にするように求められているんです。
だから内部調査ということを慎重にやるあまりに時間がかかりすぎた事例なんじゃないかと思っています。

この件に関して日経新聞を見ていたんですけれども、5月に高市大臣が内閣保全監視委員会なるものを開いていたと新聞の中では書かれていました。
この会議は一体何なんですか?

5月8日に官邸で開催していたのが内閣保全監視委員会なんですが委員長は私です。
副委員長は政務・事務の3人の官房副長官になります。
委員は各省庁の事務次官と長官といったメンバーです。
その後、5月15日に官邸で開催していたのは情報保全諮問会議というものです。
これは民間有識者7名と政府側からは総理も出席をされて、当然私も出席、官房副長官たちも出席をしますし、あと内閣情報官などで構成されるメンバーということです。

この会議などを通じて自衛隊の特定秘密の漏えい事案について原因は何だと考えていますか?

第一に部内における情報共有であっても知らせてはならない職員に対して秘密を知らせるということが極めて重大な違反行為であるという理解が現場で十分じゃなかったこと。
第二にエラーを防止するための基本動作が履行されていなかったこと。
つまり行き違いが生じやすいのは人事異動の時期です。
ここで注意が不足していたということ。
それから多重チェックの要であるはずの定期点検が十分に機能していないということ。
つまり管理体制のあり方が問われる事案だと考えています。

再発防止に向けて高市大臣として、どのように取り組まれていきますか?

まず5月の会議で各省の事務次官、また長官に対して私から指示をしたことを申し上げます。
第一に情報保全に必要な管理体制が確立されているかということを、適切な方法で点検してくださいということです。
第二にその点検の結果、必要であれば是正措置を講ずることです。
第三に今回の事案の教訓事項を盛り込んだ保全教育を必要な職員に対して漏れなく着実に実施をしてくださいということ。
第四に事案を認知した時の迅速な対処をしてください。
つまり適切なタイミングで私に対してでもいいですし、内閣情報調査室に対してでもいいんですけれども、こういう事案が起きている恐れがあるということを速やかに報告してほしいということを申し上げました。

自衛隊による特定秘密の漏えい事案が公表されたことによって、せっかく経済安全保障版のセキュリティ・クリアランス制度を創設するための法律が成立したばかりなのに、諸外国から日本の情報保全制度は信用できないと思われたりはしないんでしょうか?

同盟国・同志国におきましても、トップシークレット・シークレット・コンフィデンシャル、つまりセキュリティ・クリアランスを持った人が取り扱う、そういった重要な情報の漏えい事件というのは発生しています。
だから諸外国でも発生しているんですが、その発生した当該国の情報保全制度に対する信頼を失わせないためには、やはり肝心なのは事後の対応です。
発生した後の対応だと思っています。
漏えいした場合、国の安全保障に支障を与える可能性があるレベルの情報を取り扱っておられる方々には、是非とも自らが扱っている情報の重要性を再認識していただくということが必要です。

特定秘密を漏えいしたとか、不正取得した、こういった場合の最高刑は10年の懲役です。
先般成立しました法律による重要経済安保情報、これを漏えいしたり不正取得した場合には、最高刑は5年の懲禁刑です。
いずれも非常に重い罰則なんですが、それだけやはり国民の皆様の安全に関わる重要な情報だからなんです。
だからここは取り扱い者によくよく留意していただきたい点です。

それから政府の方でもやはり情報保全教育を繰り返ししっかりと実施するということ。
それからもう基本的なことなんですが、特に人事同時にこの人がどの役所の情報を取り扱えるクリアランスホルダーなのかそうじゃないのか、ここをチェックするということ。
これもものすごく大事な点なんで再発防止に向けた取り組みをしっかりと徹底していきたいと考えています。

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