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参議院行政監視委員会(2023年11月13日)

浜田聡
NHKから国民を守る党 浜田聡です。
今回15分の質問時間をいただきました。
今回大きく二つの質問がありまして、一つ目は名目上税金ではないけれど、実質税金である負担についての質問。
二つ目は昨年成立したAV新法についての質問です。
よろしくお願いいたします。

先月十月十六日に首相補佐官の矢田稚子さんがSNS上で話題となった発信内容を紹介します。

ベビーシッター割引券の財源についてのものです。
このベビーシッター割引券の財源は税金ではなく、厚生年金加入の会社事業主から徴収している「子ども・子育て拠出金」という内容がインプレッション数増加の原因となったと認識をしています。
確かに「子ども・子育て拠出金」は税という名前はついておりませんが、国の制度として企業が徴収されているものです。
つまり税金と言って過言ではないと思います。
このように名目上税金ではないけれど、実質税金である代表例として社会保険料が挙げられます。
この社会保険料、アメリカでは給与明細税と呼ばれており名実ともに立派な税金です。
なぜ日本では税金ではないのか。
国民の皆様に今一度考えていただきたいと思います。

直近では先日、加藤鮎子こども政策担当大臣が少子化対策の財源として、支援金制度を創設する旨を提示しました。
これも名前に税と書いておりませんが実質税金ではないかと思われます。
別の例を挙げますと再エネ賦課金。
東日本大震災後の十二年に太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されて、電気料金に上乗されて徴収されています。
最近私の方で国会図書館に依頼して調査してもらった結果を今回の配付資料で共有します。

税金以外で拠出金や賦課金など法令に基づき支払いが義務化されているものを調べていただきました。
39個ありました。
このように実質税金であるのに名前に税と付かないために名目上税金扱いされていない拠出金や賦課金の存在、私問題であると思います。
そこで財務省に伺います。
これら名前に税と付かない拠出金や賦課金などは実質税金なので、何とか税へと名前を変更すべきと考えますが政府の見解を伺います。
またこのように徴収するお金の名前に関する課題については、例えば与党の税庁あるいは政府の税庁で議論することをお願いしたいのですが、この提案への回答もお願いしたいと思います。

佐藤財務大臣政務官
お答えいたします。
法学上税とは、国又は地方公共団体が特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供するための資金を調達する目的で法律の定めに基づいて、私人に課す金銭給付と定義付けられているものと承知しています。
それに対して例えば御指摘のありました「子ども・子育て拠出金」であれば、特定の事業目的のために連帯して費用を負担し合う仕組みと位置付けられておりまして、税とは性格が異なるものとされていると承知をしています。
したがって拠出金や負担金などについては、支払いが義務付けられていることをもって税と呼称することは適切ではなく、そのあり方は各拠出金などの所管官庁において検討されるべきものと考えています。

浜田聡
いろいろと言い訳があったと思いますが、やはり実質税金であるものをやはり名前を変えて徴収するというのは非常に問題ではないかと思います。
このような手法を行っている国が身近にあります。
それは北朝鮮です。
北朝鮮は全ての税金を何とか料、何とか収入金と呼ぶことにして、1974年に税金を廃止したということです。
例えば法人税は国家企業利益金、企業団体利益金など消費税は取引収入金、サービス料金です。
こんなことが日本でまかり通っていいのかということについては多くの国民に考えていただきたい、そう申し上げて次の質問に移ります。

次昨年成立したAV新法に関する質問です。
こちらアダルトビデオの出演共用問題対策という観点で超党派によって議員立法としてAV出演被害防止救済法を出案され、同法は2022年6月に成立・施行されています。
しかしながらこの法律は立法事実さえあやふやなまま十分な調査を行われず非常に短期間で立案された問題が多い法律であると考えます。
国会の審議は衆議院・参議院ともにわずか一日の委員会審議でした。
AV業界で実際に働く人々からヒアリングさえ行わず強引に成立させたものと思います。
この結果、同法の内容は業界の実業にそぐわないものとなっておりまして、同法の施行により事務負担の増加、仕事の減少を通じてメーカーやAV女優を始めとする出演者の生活はますます苦しいものになっていると思います。

このAV新法については経済産業省の官僚で、現在、制度アナリスト作家大学教員などをされている宇佐美典也さんに御調査をいただきました。
報告書の一部を配付資料として配付させていただきました。
適宜ご参照いただければと思います。
AV女優への被害救済を謳いながら不十分な調査により検討違いかつ過剰な規制を課して彼女らの仕事を奪い経済的空間に追い込むようでは何のための法律か分かりません。
今回この法律についていくつか伺います。

まずこの法律の見直し規定について伺います。
この法律の不足第四条第一項において次の規定があります。
この法律の施行後二年以内に、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ずられるものとする、とあります。
つまり2024年6月までの見直しが予定されています。
この規定の内容を踏まえて伺いますが、予定されているAV出演被害防止救済法の見直しに向けて、現在政府においてどのような検討が進められているでしょうか。
特に政策評価という観点で、同法に基づく政策についてどのような評価が進められているか、御教示いただきたいと思います。

工藤内閣府副大臣
お答え申し上げます。
AV出演被害防止救済法は令和4年通常国会において、議員提案により成立した議員立法であり、その不足の検討規定に基づく見直しについては、政府としては法の制定の経緯などに鑑み、国会における御議論等を踏まえた対応が必要であると考えています。
また内閣府においては、出演者等の相談窓口となる性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの相談体制の整備や、法の内容・相談窓口に係る広報啓発などの政策を実施してきています。
こうした関係政策の実施に当たっては、その実施の状況等を男女共同参画会議の下に設置されている専門調査会に報告し、法の目的である出演被害の防止救済をいかに図るかという観点から有識者等の御意見も伺いながら効果的な実施を努めております。
引き続きAV出演による被害にあった方々が、安心して相談できる環境整備をはじめ、AV出演被害の防止と被害者の支援に取り組んでまいります。

浜田聡
積極的な取り組みを求めたいと思います。
議員立法については政策評価法において政策評価の対象となっていない点については非常に問題だと思います。
この点については多くの国民に考えていただきたいということを申し上げて次の質問に移ります。

次にこの質問で特に問題となった部分である期間制限について伺います。
この法律で定められた期間制限がかなり厳しいとされています。
作品ごとにAVの出演契約を結び契約からAVの撮影まで1ヶ月。
そして撮影してから公表まで4ヶ月、合計5ヶ月期間を置くことが義務付けられています。
仮にこの期間制限の規定を守るとメーカーは大幅な作品の制作本数の減少を余儀なくされ、収入が大きく減ることになります。
またその結果として、当然出演者の出演機会も減ることになります。
AV出演という重大な決断に際して一定の熟慮期間が必要という期間制限の趣旨は理解しますが、この期間を根拠なく定めることはかえって出演者の収入を得る機会を奪い、女優等の権利を不当に制限し、侵害することにも繋がりかねないと考えます。
そこで伺いますが、この1ヶ月4ヶ月という期間制限はどのようなデータ上の根拠を持って設けられているのか、伺いたいと思います。
また仮にデータ上の根拠が一切ないならば、その旨御教示いただければと思います。

岡田男女共同参画局長
お答え申し上げます。
AV出演被害防止救済法は性行為映像制作物の政策公表により、出演者の心身及び私生活に将来にわたって取り返しのつかない重大な被害が生じる恐れがあることなどに鑑み、AV出演被害の防止や救済を図るため議員立法により制定されたものです。
まず性行為映像制作物の撮影に関する期間の制限についてのお尋でありますけれども、AV出演被害防止救済法第7条は性行為映像制作物の撮影について、出演契約書等の交付等を受けた日から1ヶ月を経過した後でなければ行ってはならないと規定しています。
これは性行為映像制作物の撮影が、出演者の心身及び私生活に重大な影響を与え得るものであることに鑑み、出演者が撮影の対象となることについて検討するとともに、法第17条の規定により整備した体制における相談に応じる期間を含め、他者に相談するために必要な期間として定められたものと認識しています。

次に公表に関する期間の制限についてのお尋でありますが、同法第9条は性行為映像制作物の公表について、全ての撮影が終了した日から4ヶ月を経過した後でなければ行ってはならないと規定しています。
これは性行為映像制作物の公表が、出演者の心身及び私生活に重大な影響を与え得るものであることに鑑み、出演者が当該性行為映像制作物を公表されることについて検討するとともに、相談機関を含め他者に相談するために必要な期間として定められたものと認識しています。

浜田聡
データ上の根拠というのは乏しいのではないかと感じました。
今回の期間制限については厳しい規定によって、少なくとも私二つの事態が発生すると想定しています。
一つは厳しすぎる規定によって、そもそも守らずに作品が作られるようになること。
もう一つは厳しい規定に対応できる大企業のみが独り勝ちすると、つまり独占の可能性です。
次はこの独占について伺います。

AV業界においては配信段階における独占が広く知られています。
この業界の長年のウォッチャーとして知られている中村淳彦氏が2023年3月に出版した「同人AV女優貧困女子とアダルト格差」という本において次のように記述されています。

この業界はFANZAの売上げが七割以上を占めていて、第二のところなんて一割もなく数%。
FANZAに尋常でない手数料を取られ過ぎている。
だからといってFANZAに口応えしたり、文句言ったら特利引停止。
取引停止されたら会社は即倒産。
実際FANZAを運営するデジタルコマース社の売上げは一千億円を超えていると言われており、過去の判例において同社が60%を超える手数料率を徴収していることが確認されています。
このような産業構造上の問題が出演者に対する経済搾取の背景にあることが疑われます。
これを踏まえて質問しますが、政府には競争政策上の観点からAV業界に何らかの調査や予防措置に取り組んでいるでしょうか。
また仮に取り組んでいないとしたら、AV業界であることを理由に特定企業に独占禁止法をはじめとする競争政策の適用を除外していることが疑われますが、そのような事情があるかどうか教えていただきたいと思います。

岡田男女共同参画局長
お答え申し上げます。
内閣府といたしましては、AV出演被害の防止や救済のための各種取組を行っていますが、お尋は競争政策上の観点からの対応についてですので、お答えすることは困難です。
内閣府といたしましては、引き続きAV出演による被害に遭った方々が安心して相談できる環境整備をはじめ、AV出演被害の防止と被害者の支援に取り組んでまいります。

浜田聡
このAV新法が国会での審議対象になって世間の話題になった際に、このFANZAの関係者がAV新法に対して反対する声がなかったように思えることが、今になって思えば辻褄が合うように思います。
この声について独占禁止法の趣旨を改めて多くの方々に考えていただきたいと思うとともに、厚生取引委員会は今一度自身の役目を確認していただきたい、そう申し上げて最後の質問に移ります。

最後、このFANZAによる独占と思われる状況における、AV出演者の方々の搾取の可能性について伺います。
AV出演者、特に女優の方々が受け取る報酬が低いのではないかという問題意識からの質問です。
中村淳彦氏が2017年東洋経済において記事を参照しますと、16年前に比べてAV女優の月収が85%も減っているとのことです。
AV新法施行前からこのように搾取の傾向は伺えるわけですが、新法によりそれが悪化しているのではないかと思います。
内閣府が2022年11月末に実施したAV人権倫理機構へのヒアリングでは、AVの総売上げ額における出演者の支払額は2,3%と推測しているとのことです。
どの程度が適正比率というのか難しいですが、例えば漫画家でありますと8%から12%という数字が挙げられています。
これを踏まえて伺いますが、政府としてはこのようなAV女優等の出演者に対する経済的搾取の疑いに関して必要な事実確認の調査を行っているでしょうか。
また仮に調査していないとすれば、どのような理由によるものなのでしょうか。
教えていただきたいと思います。

岡田男女共同参画局長
お答え申し上げます。
AV出演被害防止救済法はAV出演被害の防止や救済を目的として制定されたものです。
内閣府といたしましては、AV出演被害に関する相談窓口であります、ワンストップ支援センターからの報告や、被害者の支援団体等からの聞き取りなどによりまして、出演被害の状況など同法施行後の状況の把握に努めてきたところです。
御紹介いただきました出演者の待遇等は、AV業界の健全化を図ることを目的として設置された、業界の第三者機関でありますAV人権倫理機構から、昨年本法の施行後の状況を伺う中でお聞きしたものであり、その際には出演者への支払額の割合については業界全体として問題意識が持たれていることや、本法の施行や施行に伴う契約関係の変化は出演者への支払額の割合の増加に取り組むきっかけになるといった御認識も伺っているところです。
今後とも内閣府といたしましては本法の目的を踏まえ、AV出演被害を防止し被害者を救済する観点から必要な状況の把握等に努めてまいりたいと考えています。

浜田聡
時間なので終わりますが、最後一言。
2024年の6月までの見直し規定については、この法律を推進した国会議員の方々が責任を持って進めるべきである、そう申し上げて質問を終わります。
ありがとうございました。

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