他国に依存しない日本独自の衛星測位システム確立へ
準天頂衛星システムみちびきは現在4機体制ですが、11機体制を目指しているという報道がありましたが事実でしょうか?
まずは7機体制に向けた開発整備を進めてます。
7機にすることによって、アメリカのGPSに頼らずに日本の準天頂衛星のみで持続的な測位を行うことが可能になります。
H3ロケットが残念なことになったんですが、こ開発状況を踏まえて、また上がったら、今年度2023年度から2024年度にかけて順次、準天頂衛星を打ち上げていきます。
着実に7機体制にすることに取り組んでいる最中です。
11機体制にすることによって、どのようなメリットがありますか?
自動走行やドローンといった普及期から本格的な利用に向けて、ユーザーからのご要望もあって11機体制にしていかないといけない状況になっていきます。
7機体制は必要最低限の機数なんです。
1機でも故障したら測位機能を維持できないということになってしまいます。
他の国を見ますと、やはり衛星が故障したときに備えてバックアップ体制を作っていますので、同様に日本も衛星の機数を増やしていく必要があります。
それから7機体制でもアメリカのGPSに頼らなくてもいいようにはなるんですが、6センチ精度と誤差の少ない高精度の測位をしようと思った時に、電波が1方向からのみしか来ないと周辺にビルのような障害物があったときに測位がしにくい場合が出てきます。
11機に機数を増やすと、電波が多方向から来ることで様々な場所で高精度の測位が利用できるようになるメリットがあります。
準天頂衛星システムみちびきは、どのような産業に活用されているのでしょうか?
手元にあるのは令和4年10月時点のデータしかないんですが、準天頂衛星システムみちびきに対応している製品の数というのは既に約390件です。
製品カテゴリで見ましても、受信機やスマートフォン、カーナビ、スマートウォッチ等、だいたい50種類です。
自動車分野でしたら、日産自動車が運転支援技術を搭載した電気自動車ARIYAを販売しています。
車両の位置情報の取得に、みちびきのセンチメーター級の測位補強サービスを使っています。
自動車で高精度なサービスを既に使ってます。
農業分野では東光鉄工株式会社が、みちびきのセンチメーター級の非常に高精度な測位補強サービスに対応した受信機を搭載した農業用のドローンを開発して販売中です。
肥料や農薬を散布することへの活用ができます。
ドローンの分野で、株式会社ACSLが、みちびきのサブメーター級、つまり測位精度が1メートル程度に対応した国産の空撮ドローンを売っています。
いろいろな分野、身近なところで使われているんですが、海洋分野を見ましても、株式会社ブルーオーシャン研究所が1メートル精度のサブメーター級の測位補強サービスを使って、海上ブイで波の高さを測定するシステムを開発して受注生産をしています。
スマートウォッチではネット通販でも売ってあるんですが、ゴルフナビゲーション用の腕時計型のウェアラブル端末を作っていいて、これもみちびきのサブメーター級の測位補強サービスを活用しています。
それからETCの車載器です。
パナソニック株式会社が、みちびきの災害危機管理通報に対応したETCの車載器を販売しています。
災害危機管理通報というのは、気象庁が作成した災害関連情報で、津波警報や地震の速報、洪水、火山噴火の情報などを、みちびきの測位信号を利用して配信するシステムです。
これに対応したETCの車載器をパナソニックが売っているので、携帯電波が届かない地域や地震などで携帯電話網が利用できなくなった時でも、災害危機管理通報を受信して音声案内をすることが可能です。
すごく身近なところで活用がバンバン始まっているので、早く増やしたいです。
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