ちはまみ同棲日記①

真美「おじゃま、します」ドキドキ

千早「お邪魔しますじゃなくて、ただいま、でしょ?」

真美「た、ただいまって……なんか緊張すんね?」

千早「えっ!? そうかしら? そんなこと言われたら、私までなんだか……」

真美「ご、ごめんね!?」

千早「い、いえ、大丈夫!(?)」

真美「…………」

千早「……えっと、その、おかえりなさい」

真美「ん。ただいま」

千早「…………」

真美「あー、なんかこういうのって当たり前だけど、なんか良いよね♪」

千早「ふふっ、そうかしら? ……そう、かもしれないわね」

真美「うん。真美、これから毎日ここに帰ってきて千早お姉ちゃんに、ただいまって言うんだね」

千早「そうね、でも私の方が帰ってくるのが遅い時もあるかもしれないわよ?」

真美「そしたら、真美がメチャおかえりって言う」

千早「メチャって……そう言えば、おかえりって―――」

―――随分と久しぶりに、誰かに向けて言った気がする。

真美「ん?」

千早「いえ、なんでも無いの」

真美「え~っ!? 何さ!? 気になんじゃん!」

千早「ふふっ、気にしない気にしない。そうだ、引越し祝いに何か食べに行きましょう」

真美「んもうっ! 千早お姉ちゃん誤魔化すの下手すぎっしょ!」

千早「ラーメンとかどう?」

真美「そこはソバでしょ! 引越しソバ!」

千早「あれって、自分で食べるものだったのかしら?」

真美「んん……? わかんない」

千早「まあ、良いわ。じゃあ、お蕎麦屋さんに行きましょうか」

真美「じゃあ、真美、親子丼食べる!」

千早「ふふっ、そこはお蕎麦じゃないのね?」

真美「だって食べたいんだもん」

千早「じゃあ、行きましょうか」

真美「ほい!」

千早「えっと、鍵は……」

真美「真美が持ってるよん?」

千早「じゃあ、鍵をお願い」

真美「はいは―――って、なに普通に出て行こうとしてんのさ~。ダメじゃんか」

千早「えっ、どこかダメなところがあったかしら……?」

真美「帰ってきたときは、ただいま。じゃあ、出て行く時は?」

千早「……あっ」

真美「んじゃ、いっせーのーで」

千早・真美「いってきます」

ぱたん。

                              おしまい。

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