東北の夏、私には「さんさ」の夏

ここずっと、非公開で自分史的なものを書いてる。
非公開だけど、いつか読んでもらいたくなったら上げようと思う。
まあ、汗と涙と恥をさらすことになるだけだがの。


さて、いま東北は夏祭りの季節。
8月1日の岩手「盛岡さんさ踊り」を皮切りに、8月の上旬は東北6県がお祭りで沸き立つ。

私は秋田の民なので「竿燈まつり」になじみがあるかと皆さん仰いますが、どっこい!生まれてこの方1度しか見たことがありません。
それも小学生の時。
余りにも遠い思い出すぎて、本当に観に行ったのか、夢ではなかったのか疑うくらいなんだけど、父母が語るので、行ったんだろうなあ。秋田市内住みの親戚いとこもいることだし。
まあ、それくらい記憶は薄い。


まあもう一度観に行ってはみたいけど…

秋田に帰ってきて、車が運転できるようになってからは、俄然「盛岡さんさ」に足を運ぶようになった。
秋田市まで行くと家から80km、盛岡までは40kmちょっと…てのもあるのだけれど、とにかくこれだけ息の揃った踊りと太鼓のパフォーマンスの迫力を間近で感じられるものはそうそうない。
毎年選ばれるミスさんさやそのOGOBさんのグループをはじめ、地区ごとの伝統さんさ、町内の知り合い同士、企業、学校、寄せ集め(笑)、4日間で述べ200を超す団体、2万人以上の参加者が踊り、叩き、鳴らし、パレードする約2時間の競演は本当にあっという間だし、最後にはパレード最後尾についた花車に沿道から参加し、花車が停まったらそれを囲んで踊りの輪があちこちに出来上がる。
見た後は自分も踊っちゃうという観客一体型の祭りだ。


最終日は太鼓だけの大パレードもある!迫力!

…と口では言うものの、なんとこのさんさ踊りは第1~第4まで種類がある。
パレードでは「第1(統合さんさ)」を見たことがないので、どんなものかも語れませんが、一番ポピュラーなのは第2の「七夕くずし」で、これは毎日パレードの最後に出る「おへれんせ集団」や先ほど挙げたパレードの最後尾を飾る青年会議所の「花車」の一般参加はこれで踊られる。
第3の「栄夜差(えいやさ)」、第4の「福呼(ふっこ)踊り」も第2さえ覚えてしまえば、なんとかついていける…と思う(笑)。
(盛岡の方々は「そんな甘いもんじゃないよ」と云いそうですが)
けれど見よう見まねで1年目から踊るのは、なかなかハードな所業だと思う。

鑑賞2年目にこの迫力の太鼓に合わせて優雅な振りを踊ってみたいと思っていたら「おへれんせ集団」というのがあることを知り、挑戦してみることにした。
さんさを踊ってみたい素人衆が「さんさ おへれんせ(南部言葉で ”教えてください ”)」といって当日の夕方2時間ほど練習をし、パレードの最後に同じ法被を着て披露する、まあ企画ものだ。
暑い暑い炎天下、2時間ほどの時間、振り写しから始まり、パレードと同じくらいの時間(正味30~40分)踊り倒して、3時間くらい休憩やさんさ鑑賞をはさんで本番となる。

当然何年も踊りこんだ皆様から見たら、赤子がバタバタ手足を動かしているよう。しかも上半身と下半身の動きが合わなくて四苦八苦。
まあ祭りの最後の団体だから、沿道の人たちの鑑賞の気合も失せるころなので、あまり見られているという自意識は無くてもいいのだけど、いざ始まってみたら私は、余りの緊張と暑さでパレードの3分の1も終わらぬうちに気持ち悪くなってリタイアしてしまった。
10分くらいかけて、ひとしきり落ち着いて列に戻ろうにも、沿道の人混みがすごくて近寄れず…参加はあきらめてトボトボ帰ろうとしたときに、おへれんせ集団の着ける法被を着たままなことに気づいた。
これは終わったら返さねばならず、幸い沿道で見回りしていた実行委員会の人に返すことができたのだけど、途中で抜けてしまった恥ずかしさと悔しさ、そして熱中症手前の気持ち悪さで、泣くに泣けない2年目になった。

3年目はちょっとばかり嫌なことがあった次の日で心から楽しめなくて、4年目からはコロナ禍で2年中止…。
やっと一昨年から少しずつ無邪気に楽しめるようになった。

そして今年やっと、最後の輪踊りに加われるくらいにはなった。
七夕くずしと栄夜差ぐらいだし、まだまだ足さばきは怪しいものだけど
何よりさんさ好きが集まって、パレードの出演者さんや参加団体さんたちと間違えようが知らなかろうが楽しく踊る感覚は、もう「格別」なのだ。
長年の夢だった輪踊りに、覚束ないながらも一緒に踊れた嬉しさ。
今まで威勢良くたたき、踊っていた人たちと盛り上がれる嬉しさ。
盛岡どころか岩手県民でもないけれど、こんな東北のひと夏を見送る楽しさ。
その祭りを行う人たちと「一緒になりたい!」私の感覚は、だから自分で上げられない竿燈や引くことのできないねぶたでは満足できないんだろう。
(もちろんどちらも素晴らしい祭りです!)

山形の花笠も盆踊り系なので、一緒に踊れるとは思うけれど、あの一糸乱れぬパフォーマンスを見せる太鼓と踊り手の競演の大パレードは、迫力以外の何物でもないし、応援してしまうし、さらには最後に加われる。

すべて見てから言え!と言われても、そしてもしも見たとしても、私にとっての東北No.1夏まつりは盛岡の「さんさ踊り」であることには間違いないだろう。


そしてどうか来年も。
世界情勢、全地球熱帯化、災害、etc.
すべてを乗り越え平和のうちに、東北の暑い夏が伝承されていきますように。

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