アニソンとアニソンDJ

そもそもアニソンとは何か?

ロック?EDM?フォーク?演歌?クラシック?ジャズ?ユーロビート?
全てYESであり、また、全てNOでもある。

アニソン・アニメソング
アニメ(anime)と、歌、曲を意味するソング(song)を組み合わせた新語
または造語の英語圏で使用されない和製英語。 wikiより

ワクワクとドキドキが始まる時間を知らせる鐘の音であり、その1分30秒に全てが詰まっている。
年月が過ぎ、大人になったとしても、最初の1音を聞いた瞬間、時間空間を超越し、テレビの前で経験した喜怒哀楽が瞬時に励起される。

アニメクオリアとでも言えばいいだろうか。同じ作品を見た人の共通体験として機能し、ときにフロアのベクトルを一瞬で統一してしまう様はまるでマクスウェルの悪魔のようだ。


そんな強大な魔力にも似た力を持つアニソンを使って自分はDJをしている。
様々な曲を繋ぎ、押しては引き、上げては下げるを使い分け、楽しい!を生み出すべくプレイする。

そのDJでアニソンを使う際、気を付けている点がいくつかある。
・前奏~イントロを大事にする
先述した経験・喜怒哀楽の励起トリガー的役目がアニソンにはあり、出だしの一音ですらその意味・効果がある。
例えばデジモンアドベンチャーのButter-Fly、最初のギターとドラムが鳴った瞬間、くるくる回る太一をパッと思い出すだろう。
DJで使うなら、カットインで入り、頭からかっこいいギターを聞かせたい。

・TVサイズを上手く使う
限られた時間の中で、曲のいい所を上手く使ってあり、なおかつみんなの記憶にある構成というTVサイズは、1コーラスで繋ぐ自分としては大変ありがたい。
鉄血のオルフェンズ『Raise your flag』、アルスラーン戦記『翼』、最近だと炎炎ノ消防隊『インフェルノ』など、フルコーラスだと大幅に構成が違ったり、1コーラス目にCメロがないなど、ポテンシャルを発揮させられなくなってしまう場合がある。
また、プリキュアのEDのようにTVサイズに合わせた振付けがある場合、最後まできっちり踊ってスッキリ次の曲に移れる。

・同作品曲や同アーティストを上手く配分する
1クールで変わるOPや何期もある作品は曲数も多い。加えてEDももちろんある。自分の持ち時間の中、上手に配分して曲を生かしたい。
例えば
リマインド→CAN DO→リクライム→イマジネーション
この場合、黒バスを挟まず、タグ「弱虫ペダル」として、リマインド→リクライムの方がフックしやすいのではないだろうか。


と、あくまでDJ WANとしてアニソンをリスペクト・尊重したプレイを考えたら、こうしたい!という点が見えたものでしかない。

1993年から始め、長くアニソンでDJさせてもらって、音楽から見たアニソン、タグとして見たアニソンは、 その解釈の仕方次第で和御霊、荒御霊のような二面性を持ち、観測者によってもその顔が変わる。
自分は創造者側という立場、トラックメイカーでも絵描きでもない、一視聴者という消費者でしかない。しかし数多くのアニメを鑑賞し、時には真剣に時にはだらだらと、たくさんのアニメを楽しんだからこその知見もあるんじゃないかと信じている。
アニソンを繋ぐというのは、2つの意味があり、文字通りアニメとソングを繋ぐのではないだろうか。
アニメ(作品)に付随する膨大なタグを繋ぎ、BPMやメロディーなど音楽的要素でグルーヴを繋ぐ。この2つが美しく重なったとき、アニソンDJとして神の一手が見える気がするのだが、未だに見えてこないのは自分の未熟さなのだろう。


まあ、色々書いたけど、こんなもの正解でもなんでもないし、DJテクニックを使いこなしてフロアを爆発させる人もいれば、PCDJの特性を生かして驚嘆の声を上げさせる人もいる。
マイクパフォーマンスやキャラの強さで盛り上げるDJもあれば、特定ジャンルを深く追求して熱狂的支持を得るDJもある。


この揺らぎのような不確定さこそ、アニソンDJの面白さであり、強さなのかもしれない。

※旧ブログより加筆修正

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