2020.5.16 梅雨明けには

コロナが終息した。
という雰囲気で日常を無理やり取り戻した日本人に夏は来るだろうか。
黙っていても騒いでいても、夏は来る。

夏は不快だ。冬くらい不快だと思う。
しかしなんだろうか、夏の風情というのは余りにも良すぎて、冬のそれとは比べ物にならないのではないか。冬は冬で良いが、夏の風情の別格さたるや。

夏の朝。
暑くなる前の少し涼しげな感じ。
ほんの30分ほどで一気に暑くなってくる。
さぁまた今日が始まる…というあの感じ。

夏の昼。
青い空、白い雲、降り注ぐ日差し。
不快なほど暑いけど、どこか健康的なあの感じ。
あちぃ〜!笑
笑、なのだ。不快さの中をどこか楽しんでいる。面白いイジられ方でもしたかのような感覚にでも浸っているかのようだ。

ここからが鬼の本番。
夏の夕方。
なんやあれは。日が落ちてきてるけどまだずいぶんと明るい。日差しが無いだけで暑さはだいぶ和らぐし、うっすら明るくうっすら暗い、あの感じはなぜ他の季節には無いのだろうか。
ここでひぐらしでも鳴いてみろ。
目も耳も、身体全体でこの一瞬にしがみつきたいようなマジックタイム。
黄昏時、誰そ彼、彼は誰、かたわれ時。

それが終わるとこれまた風情。
夏の夜。
ずいぶんと涼しくなり、外も暗くなる。でもまだ暑いには暑いみたいなあの感じ。
夏の夜はなんだか少し騒がしい。虫の声なのか、皆が窓を開けているからなのか、どこからか祭や花火の音が聞こえるからなのか。
クーラーのない世界だったら随分と風情は取り戻せるのではないだろうか。

夏の気持ちよさには暑さゆえの解放みたいなものが関わっているのではないだろうか。
日差しも、夜風も、夏の匂い、夏の音、全て身体と自然の対話ではないか。
物理的解放によって夏との対話をすることで、心理的にも解放感を得ている、と言う具合に。

夏の夜、冷たいシャワーを浴びた後に、薄着のまま窓辺で過ごすような時間。
ととのってしまう。

そんな夏にマスクはしたくないものだねぇ…。

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