※某まとめサイトにてまとめていた記事の転用です
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ミュージック・コンクレートからネット文化”vaporwave”まで一直線につながるようなサンプリング音楽の変遷についてまとめました。
はじめに
■現代音楽家ピエール・シェフェールとピエール・ヘンリー
――――エンジニア、作家、作曲家、哲学者、教育者など様々な肩書を持つピエール・シェフェール
ラジオアート…芸術のためのラジオの使用
――――ピエール・ヘンリーはいつシェフェールと出会ったか
RDFでシェフェールが設立したClub d'Essai(Studio d'Essai)の後に共同設立した電子音楽のスタジオがGRMC。
■シェフェールとヘンリーの共作『一人の男のための交響曲』
サンプリング手法の開発からエレクトロニックミュージックの進展
シェフェールの元学生、ジャン・ミッシェル・ジャールが2007年にこのように書きました。
ジャン・ミッシェル・ジャール自身もミュージシャンとして活動し、またヘンリーやシェフェールが参加していたGroupe de recherches musicales (GRM) にも参加していた。
①-1 ミュージック・コンクレート
――――ミュージック・コンクレートとは?
1948年のシェフェール作”Five Studies in Sound”の最初の作品(英:Railway Study)。パリ北駅で録音した音をコラージュしている。
"The first DJ.""MC Schaeffer"といったコメントも寄せられているが…。
①-2 サイケロック/プログレッシブロック
――――ポップスに台頭したミュージック・コンクレート
■Tomorrow Never Knows - The Beatles
1966年のBeatlesのアルバム『リボルバー』から
■Revolution 9 - The Beatles
1968年リリースのアルバム『The Beatles(通称:ホワイトアルバム)』から。
■Money - Pink Floyd
1973年リリースのアルバム『狂気(The Dark Side of the Moon)』から。
――――『狂気』の後の幻のアルバム・プロジェクト『The Household Objects』
②-1 DJ/ヒップホップ
――――そもそもヒップ・ホップとは?
ブロック・パーティー…音楽を演奏したりダンスを踊るブロック(街区)の住人が集まる祭り・祝い。
以上のような4要素がある。音楽ジャンルというよりは一種のカルチャームーブメントのようなものだ。
――――DJ(Disc Jocky)という言葉はどこから生まれたか?
ディスクジョッキーという造語は30年代から活躍していたウォルター・ウィンチェルによるものだとされる(しかし、現在よく想像するようなものではなく、あくまでラジオDJという形式)。
――――DJのパイオニア”レイ・ニュービー”
海外の音楽系Youtuberらしき方が解説しています(スペイン語)。途中ウォルター・ウィンチェルの名や写真が出てくる。
火花送信機…かつて無線通信に使用された電波を発する装置
チャールズ・ヘロルド…ラジオ放送の発明家であり先駆者
――――クラブDJの始まり
――――そしてヒップホップ誕生
Crowd Pleaser…大衆を集める人
キース・カウボーイがヒップホップを呼称したとする説も見受けられ、明確ではない。
また、同時期、現代に通ずるバトルDJのような戦いも行われた。
■DJ Kool Herc
クール・ハークはヒップホップ界のゴッド・ファーザーとも呼ばれ、グランドマスター・フラッシュ、アフリカ・バンバータらと共にヒップホップ黎明期の3大DJの一人である。
■DJ Shadow - Building Steam with a Grain of Salt
ほぼレコードからのサンプリングで構成されるDJ Shadowのアルバム『Endtroducing』から。
■Beastie Boys - Three MC's and One DJ
タイトル通りの構成で曲が作られている。DJがビートを刻み、MCがラップを披露する、ラップの根源に近いスタイルで展開される。
②-2 ブレイクビーツ
――――受け継がれるアーメン・ブレイク
■The Winstons - Amen Brother
1:26から。ヒップホップや様々なエレクトロニックミュージックに関して影響を与えたアーメンブレイクの原曲。このドラムパターンのサンプリングは耳にしたことが多いはずだ。
サンプリング使用したことのあるミュージシャンやその楽曲を聴いてきたファンなどから募ったという。
☟こちらのページから募金が行われていたようだ。
■Straight Outta Compton-N.W.A
■Mantronix King of the Beats 12 inch
――――ジェイムズ・ブラウンのファンクビート
■James Brown - Funky Drummer
■Public Enemy - Fight The Power
■RUN-DMC - Run's House
■公開処刑 - キングギドラ
Dragon AshのkjをdisっているKGDRの『公開処刑』。「もう一度、ジェームズ・ブラウンから聞け」というリリックがある。
②-3 ミックステープ/Mix CD
――――ヒップホップ文化の一つと言って過言でない”ミックス・テープ”
――――ブートレグ(海賊版)な文化
■Bob Dylan – Great White Wonder
ミックステープの違法性ではなく、あくまで殺人罪の容疑での逮捕だが、連行中に自身のミックステープの宣伝をしている。
③-1 渋谷系
――――外資系レコードの上陸
90年代初頭には外資系レコード会社が増加、音楽好きの若者が海外の音楽に影響を受け、渋谷系に発展したという。
■Flipper's Guitar - 恋とマシンガン (Young, Alive, In love)
■Pizzicato Five - Twiggy Twiggy
――――和製ラップ、日本のヒップホップグループの広まり
■小沢健二 featuring スチャダラパー - 今夜はブギー・バック(nice vocal)
渋谷系の王子様こと小沢健二をフィーチャーした曲。今でもカバーされ、知名度は高い。
■DA.YO.NE - EAST END×YURI
1995年、日本のヒップホップで初の100万枚突破の大ヒット作。後にサンプリング(ジョージ・ベンソンの「Turn Your Love Around」)が問題となってソニーから解雇者が出たとか。
③-2 デス渋谷系/鹿コア
■Violent Onsen Geisha - Otis
暴力温泉芸者はノイズ系出身のアーティストだがコラージュ的要素が多い。ノイズミュージックはインダストリアルミュージックと関連性が高く、またサンプリング文化との関係性も高い。
■ロマンポルシェ。 - 全裸で書いたラブレター
インターネット以降のナードコア・ブームにも通じるお笑い感がある。おふざけが足りている。
③-3 プランダーフォニックス
■John Oswald - Plexure
1993年リリースされた音楽家ジョン・オズワルドの「Plexure」。ミュージックコンクレートから渋谷系までの系譜を辿るのに欠かせないだろう。
■DAB [ edit ]
"If creativity is a field, copyright is the fence."
-John Oswald
「創造性が分野であるならば、著作権はフェンスです。」
――――プランダーフォニックスって?
■Negativland - Long Distance Dedications 1 & 2
■Whitney Joins The Jams - The Jams
■Rocked By Rape - Evolution Control Committee
The ECCの、ジャーナリストのダン・ラザーのさまざまな残虐行為を説明する配信音声と AC/DCの 「Back in Black」のリフを繰り返しループさせた作品「Rocked by Rape」。
Evolution Control Committee(ECC)のおそらく公式ホームページだが、上記の曲はここからフリーダウンロードが可能となっている。
④-1 ナードコア(オタク文化)
――――インターネット時代の幕開け ~ポスト・インターネット~
――――ナードコアブームの幕開け
■Nerf Herder - "Mr. Spock" (HD) Honest Don's Records
■Os Seminovos - Ela é otaku
――――日本のナードコア・ネット文化
hardcoreからnerdcore(nerd=オタク+core=コア)に
■[ムネオハウス] THE MUNEO HOUSE PV - MUNEO HOUSE
■BUBBLE-B / がんばれ!!佐吉っつぁん
――――ナードコアと電気グルーヴ
■電気グルーヴ - JOE
④-2 マッシュアップ
■俺らゲットワイルだ'89/IKUZO+TM NETWORK (ニコニコ字幕つき)
■IKZO(本人ver.) - ニコニコ動画
――――EDM界に通ずるマデオンの「Pop Culture」
■Madeon - Pop Culture (live mashup)
④-3 ナイトコア/アンチ・ナイトコア
■Caramelldansen SpeedyCake Remix
ジャケットにアニメ風の女の子の絵が描かれる事が多いが、これはピッチが上がることで男性ボーカル・女性ボーカル問わず声が高くなるからだと言われている。
■Anti-Nightcore - Seven Nation Army
☟ナイトコアの楽曲を数多く配信しているYouTubeチャンネル。
④-4 Vaporwave
――――Vaporwaveの始まり
■Chuck Person - Eccojam A3 (MV)
MACINTOSH PLUS - リサフランク420 / 現代のコンピュー |(reupload)
■DIANA ROSS - It's Your Move
元ネタとなったダイアナ・ロスの「It's Your Move」。”再生速度を0.75にするのがベスト””Macintosh PlusのNightcoreミックス”など大喜利のようなコメント欄だが…。
VektroidはMACINTOSH PLUSなどの活動で知られるRamona Andra Xavierの別名。
――――VaporwaveのサブジャンルとPost-vaporwave
SAINT PEPSI: SKYLAR SPENCE
Future Funk, Future Boogie etc.
■2814 - 新しい日の誕生
Dream Punk, Future Ambient, Post-Vaporwave etc.
サンプリングを使用しないvaporwaveの誕生。
他にもSeapunk(厳密には同時期にTumblrから発生したもの)、 Whitch Houseなどの派生・類似のジャンルがある。
――――Vaporwaveの評価と影響
元ジャミロクワイのステュアート・ゼンダーのインタビューから。ミックステープ文化的なプロモーション効果を持っていると言える。
――――vaporwave以前のvaporwave
■James Ferraro - Sim
vaporwaveの先駆者の一人とされるニューヨークの音楽プロデューサー・ジェームス・フェラーロによる2011年の作品。パソコンの起動音などをサンプリングしている。
■骨架的 - Microwave
vaporwaveの先駆者の一人とされ、以前からこのような作品を制作していた。
■Daniel Lopatin - angel
ダニエル・ロパティンと思われる人物のYouTubeチャンネルでの動画。2009年のもので、概要に貼られているサイトから本人であることがわかる。
補足:サンプリングの違法性・創造性
DJ、音楽プロデューサーのマーク・ロンソンによるTED。
――――The Avalanchesの評価
■The Avalanches - Since I Left You
関連文献
☟Wikipediaによると、渋谷系(1991年)や蒸気波(2011年)、またナイトコアなどがこのジャンルに当たるらしい。
☟電子音楽の変遷について、音源付きで解説されている(英語)。ミュージック・コンクレートに関するジャンルにも説明されている。
☟アーティストがどの曲をサンプリングしたかがわかるサイト。元ネタとなった原曲やリミックスやカバー曲を見つけることができる。
参考文献