東大に入学するあなたへ
東大に入学することが決まったみなさん、おめでとうございます。
もっとも、個人によりさまざまな事情がありますので、東大に入学することが必ずしも喜ばしいことではないという人もいるでしょう。
しかしながら、東大は、少なくとも国内では最高レベルの教育環境、研究環境であり、また、さまざまな学友に恵まれることになるでしょう。そういう意味で、まず、「おめでとう」と言っておきたいのです。
しかしながら、そういう環境のプレッシャーからでしょうか、それとも東大に合格するような人はもともとそういう傾向があるのでしょうか、入学後にさまざまな悩みを抱える学生も多く見られます。
私も例外ではありません。
なんで合格が決まって嬉しい気持ちになっているときにそんな話を聞かなければならないんだ、と思う人もいるかもしれません。
答えは簡単です。
生協の説明会や、上クラ(検索すれば出てくるのでググってください)との交流の場を通じて大学生活についてさまざまな話をこれから聞いていくことになるでしょう。
しかしながら、そういった悩みに対してどのようなサポート体制があるのかに関しては、説明が皆無と言っていい状況です。諸手続で紙が配られて、学部ガイダンスでちょっと説明があるだけです。
でも、例えばうつ病は誰にでもかかりうる病気です。あるいは、進学選択に関する悩みは多くの東大生が経験するでしょう。
だから、これから東大に入るみなさんに知っておいてもらいたいと思い、これを書いています。
なお、ここに書いてあるものは、すべて私が行ったことがあるというわけではありません。ですから、浅い紹介しかできないことは初めにお詫びします。
ただ、こんなのがあるんだということを頭に置いておいてもらえれば、必要なときに必要な援助を受けるきっかけくらいにはなるのではないかという思いで書いています。
各タイトルは各機関のサイトへのリンクになっています。
学生相談所
これは駒場の正門から入って目の前の1号館の3階にあります。
ここでは、学生生活に関してさまざまな相談をすることができます。大学に来るのが苦痛という話でも、友人との人間関係の悩みでも、カルト団体に入ってしまったことがわかったということでも、なんでもOKです。
1回限りの相談でも、定期的な相談でもOKです。
1回の相談は60分で、カウンセラーの先生方が、一人ひとりのパーソナリティを見極め、真摯に対応してくださります。
かくいう私も、2年間、この学生相談所に通いました。学生相談所があったからこそ、カウンセラーの先生に会えたからこそ、前期教養課程を乗り越えられたと言っても過言ではありません。
保健センター精神科
駒場の正門入ってすぐ左折すると左手に見える3つ目の建物が、保健センターです。
ここは精神科だけでなくさまざまな診療科が入っている大学の中のクリニックともいうべきところで、診察費は無料です。
ここは、精神科ですので、例えば自分がうつ状態ではないかと思うときや、発達障害の疑いがあるときなどに訪ねることが有用です。
とはいえ、別に診察でなくても、「ちょっと気持ちが落ち着かないから横になりたい」みたいな感じで行っても問題ないです。
私もだいたい20回くらい通いました。学生相談所と併せて、学生生活になくてはならないものだったと思っています。
なお、初回の診察の予約には、直接行って、症状等を記入する必要があります。
進学情報センター
ちょっと趣向が違いますが、進学選択に特化した相談をしたい、情報を知りたいという方には進学情報センターをオススメします。
1号館入って正面階段を2階に昇ると目の前です。
センター内にはさまざまな学部学科のパンフレットや学部便覧があるほか、ここでしか公開されていない内定に必要な点数の情報なども公開されています。
相談の予約は、センター内で直接行います。文系と理系で1名ずつ専任教員が相談員となっています。
ちなみに、私も1回だけ相談しました。難点があるとすれば、文系と理系で相談員が分かれているので、私みたいに理転(文科類から理系学部に進学すること)を視野に入れていた人には使い勝手が悪いかもしれません(もちろん文転も)。
ハラスメント相談所
駒場正門を入って左手に進んで左手に見える2つ目の建物(保健センターの手前)が102号館です。その中にハラスメント相談所があります。
幸いなことに私は今のところ使う機会がなかったので、あまり詳しいことは把握していないのですが、学内でアカデミック・ハラスメント(アカハラ)やセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)などに遭ったと思ったら、ここに相談するとよいでしょう。
バリアフリー支援室
駒場では、8号館という建物に入っています。
主に、バリアフリーに関する業務を担当しており、例えば、講義室で車椅子の学生のための座席を確保したり、聴覚障害のある学生向けのノートテイクのサポーターを派遣したりなどしています。
該当者は入試の時点から連絡をとっている方が多いのではないかと思いますが、自分がこうしたサポートを受ける必要があるという学生はここと連絡をとるとよいでしょう。
なお、サポートする側に回りたいという学生も募集しており、サポーター業務には当然対価も生じます。
教務課・学生支援課
駒場正門入って右手のアドミニストレーション棟1階に入っています。
事務組織であり、カウンセリングの専門職などというわけではないので、カウンセリングなどは期待できないかもしれませんが、個々の事情に応じて適切な制度がある場合には、それを紹介してくれるはずです。
学生総合共済
これは大学生協の共済です。加入者がもしものときにもできるだけ学業を継続できるようにさまざまな保障がなされます。
ここで特に取り上げたいのは、生命共済の「こころの早期対応保障」です。精神疾患の診察を受けたときに、10000円の給付金を受けることができます。
後にも述べますが、精神科というと、「どうしようもなくなって初めて行くところ」みたいなイメージがあるかもしれません。しかし、早いうちに行くに越したことはありません。これは、早いうちに診察を受けて早期に快復してもらうことを支援するための保障内容です。
学生総合共済への加入は、生協に加入する際に同時に手続きできます。生協からの書類や説明会での説明をよく確認しましょう。
なお、入試の際に渡された書類に案内があったはずなのですが、それでも「生協に加入関係の書類の請求をしていない!」という人がいたら、こちらから請求できます。
注意事項
最後に、2つ注意事項があります。
1つ目。これらの相談機関は、最後の手段ではありません。特に、精神科に関しては「極限まで追い詰められた人が行くところ」という思い込みのある人がいるようですが、そんなことはありません。理由は簡単です。
第一に、早ければ早いほど、対処のしようがあります。
第二に、1つ目とも関連しますが、駒場の場合は特に学生相談所は結構予約が埋まっていますので、予約してから初回までに3週間とかザラです。その間に症状がさらに進行したり、環境要因がさらに悪化したりする恐れがあります(もちろん逆もあり得ますが)。
第三に、もし本当に極限まで追い詰められたら、こうした機関に通うことさえままなりません。
だから、最後の手段と考えるべきではなく、「ちょっとおかしいな」と思った段階で相談してみるべきなのです。
2つ目。「どの相談機関に行くのが適切かわからないから行かないでおこう」はやめましょう。どこでもいいから行ってみるのです。より相応しい場所があれば、そこを紹介してくれます。とはいえ、どこに行けばいいか迷いますよね。そういうときは、とりあえず学生相談所に行って、受付の方にどこに行けばいいか聞いてみましょう。
最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
大学で、みなさんは多様な人に出会い、多様な価値観に揉まれ、多様な学問に触れ、そして自分の将来のことを考えることでしょう。
それはまた、青年という多感な時期も相まって、さまざまな葛藤を生むでしょう。しかし、それを自分だけで解決するにはあまりにも若すぎます(謎の上から目線)(社会人学生の方、すみません)。そんなときにこれらのサポートはきっと役に立つはずです。
みなさんの大学生活がそれぞれの色に彩られた素敵なものとなることを祈っています。そして、そのためにも、ここに書いたことを頭の片隅に入れておいてもらえると嬉しいです。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
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