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『THE PROMISE 君への誓い』を観てArmenian genocideについて調べてみた

こんにちは。
ただのトルコ好きな一般人です。

思うように旅行できないなかトルコに触れたくて
『ザ プロミス 君への誓い』
という映画を観たのですが、思いのほか私の興味をかき立てられた作品でした。

ナチスドイツによるホロコーストは多少なりとも知ってる人がほとんどだと思うけど、オスマン帝国によって150万人が殺されたと言われるアルメニア人ジェノサイドはあまり知ってる人いないんじゃないかなと思う。
私が知らなかっただけかも知れないけど。
せっかく調べたのでまとめてシェアしときます。
トルコ好きな方もそうでない方も暇な時にでも読んでくれたら嬉しいです。

因みに断っておきますが、今回の記事にトルコやトルコ人を非難する意図は全くありません。
エルトゥールル号のように歴史的事実として知っておきたいと思っただけです。

そもそもこのアルメニア人大虐殺。
なんと現在のトルコは事実として認めていないそうです。
今回の記事は、とりあえずアルメニア人大虐殺があったテイで色々書いていきますのでよろしくお願いします。

今までアルメニアなんて、以前働いてたお店に日本語ペラペラなアルメニア人が来て「このブランドの創設者はアルメニアの人だね」っていう話をした程度の関わりしかなかったので、今回は大変勉強になりました。

まずは映画のレビュー

第一次世界大戦直前のイスタンブールが映し出されてたのですが、当たり前ながらガラタ塔もグランドバザールもそこにはあってテンション上がりました。
主人公のミカエルとアナは二人ともアルメニアがルーツ。
同郷という縁では惹かれ合うのも分かるかなという流れを軸として、段々とアルメニア人に対するトルコの弾圧が強まっていくのですが、そもそもなんでアルメニア人がいきなり虐げられるようになったかの描写がちょっと薄い。

ミカエルのおじさんなんてイスタンブールで大成功してめっちゃ豪華な家住んでたのにいきなり逮捕されちゃうもん。
そのあたりをもう少し描いてくれたら良かったかな。

アナの恋人役のクリスチャン・ベールの役どころ(クリス)も良かったですし、ミカエルやクリスを助けてくれるトルコ人のエムレがめちゃめちゃ人情に厚くて泣ける。

ただ、メインキャスト3人はトルコ人やアルメニア人でなく、ほとんど英語で進んでいくところに違和感拭えず。
でもこの映画の存在意義を考えたらそれもやむなしと思える。

ちなみにこの映画は、アルメニアからアメリカに逃げ延びた家族を持つ大富豪のカーク・カーコリアンという方が製作費のほとんどを出資されたそう。
ラスベガスの形成に関わった1人らしいです。
一人でも多くの人にアルメニア人虐殺を知ってもらいたかったという目的で制作にあたったとのことです。
完成を待たずに亡くなってしまったそうですが、ちゃんと私に届いたよ。

アルメニア人大虐殺について

1915年~1917年に起きた事件のようですが、実はその前後にも同じような事が起きていたらしいですが(ハミディイェ虐殺やアダナの虐殺)
映画は1915年~の事件がモチーフかつ一番規模が大きいのでそこメインで話します。

そもそも、崩壊寸前のオスマン帝国によるアルメニア人大虐殺がなぜ起こったのか。
レビューでも書いたように一番気になった点はそこです。

結論からいうと、宗教が大きく関係しているみたいです。

今回の対象になっている「アルメニア人」というのは、オスマン帝国に住んでいたアルメニア人のことを指します。

アルメニア人は元々敬虔なムスリムだったのだけど、キリスト教に改宗する人が出てきてその改宗したなかにはヨーロッパの庇護を受けて特権を享受する人が現れ始め、ムスリムのアルメニア人との間に軋轢が生まれました。

また、フランス革命が成立した後、民族意識を持つ人たちが増えた影響でヨーロッパ各地で起こった1848年革命により「アルメニア人たちも民族意識を持つのではないか」とオスマン帝国に危惧され、実際ロシア帝国はそんなアルメニア人の権利を認めて煽動したところ、民族の独立を求めてテロ行為を行うアルメニア人が出てきました。

アルメニア人全員がテロ行為を働いたわけじゃないだろうけど、こうなると民族全体がオスマン帝国からマークされてしまったというのが背景のようです。

オスマン帝国が第一次バルカン戦争(1912–13)でボロ負けした時に、キリスト教徒への嫌悪感がさらに高まった模様。

そして1915年4月24日、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)でオスマン帝国に捕らえられたと伝えられる知識人250人が逮捕されて後に処刑されました。
(ここまでの間に政権交代やらアルメニア人による襲撃やらがあったみたいですが)
そこからアルメニア人キリスト教徒は、ロシアと結託して帝国への対抗を企てたと非難されての大量大虐殺を受けることになります。

余談ですが、アルメニアの国自体は世界で一番早くキリスト教を国教と定めており(301年)、今もアルメニア正教徒がほとんどだそうです。
他国に住んでいるアルメニア人は分からないですが、現在アルメニアに住んでいるアルメニア人にムスリムは少なそう。

8月にはシリア砂漠にある強制収容所に向かって「死の行進」を強制させられ、収容所に向かう途中でも多数のアルメニア人が飢えや過労などで命を落としたと言われています。
てか、シリアに着いたとしても行きつく先は収容所ですしね・・・

作品内では貨物列車のような車両にぎゅうぎゅうに詰め込まれた描写があったけど、あれも収容所に向かっていたのかも知れません。

映画のラストシーンでは、フランス艦隊が4000人以上のアルメニア人を国外に逃がしていました。
その他にもどうにか逃げ延びて世界各地へ移り住んだようです。
映画製作費の出資者であるカーク・カーコリアンの親御さんもその内の2人なんでしょうね。

被害者数と事件の扱いに関して

冒頭でも記載した通り、トルコはアルメニア人大虐殺があったという事実を認めていません。
領土問題とか賠償金とか色々理由があるのかも知れないけど、そこに関して私が言えることは何もないと思っています。
100年経って当事者がほとんどいなくなった今認めるっていうのも何か違う気がするし。
2019年にアメリカは非公式ながら事件があったことは認めたようです。

ただ疑問なのが、映画の中ではアメリカ人てジャーナリストとして事件を世界に広く伝えたり、神父さんが孤児を国外に逃がしてあげたりとアルメニア目線で行ったら良い事してた気がするんですよね。
俯瞰して見たら認めない方が都合良い事実だったのかな?
その辺がちょっと分からないです。

こんな感じなので、事件自体の研究というかデータの抽出がとても曖昧な状況。

死者数も5万人~200万人というめちゃくちゃ開きのある数字で報告されているようです。

それでもオスマン帝国時代にはある程度きちんと調査して人数を割りだしていたみたいだし、虐殺前のアルメニア人口と戦後のアルメニア人口を調べた数値なんかもあるので、そのあたりの数値をもとにするとおそらく80万~150万人くらいが犠牲になったのではとのことです。

それでもまだ2倍近い開きがあるけど・・・

まぁ、詳細な数字なんて100年経った今となってはそれほど重要ではないし、出せないでしょうし。

今回色々調べて思ったのは
「あれ?なんかどっかで見たことある事件だな」ってこと。

細かいディテールは違うかもだけど、大筋は他の国他の時代でもあった出来事だよねって思いました。

あとは最近よく聞いている深井龍之介(https://note.com/ryunosuke_fukai)さんが運営しているコテンラジオの中で出てきたセリフで
「宗教は沢山の人を助けてるけど、同時に沢山の人を殺している」
という言葉も思い出しました。

今回の事件は宗教というより民族間の争いみたいな部分が大きいけど、それでもイスラム教とキリスト教間の確執は否めないし。

”人は歴史を学ぶが歴史から学ばない”とは言いえて妙だけど、そろそろ歴史から学んだ方が良いと思う

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