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アクセサリークリエイターとはいうけれど

アトリエの風景

2月に入ってから
手が動く動く。
どんどん動いて、作品を紡ぎ出していく。
アタマで考えていない。
しいて言えば手が考えているように勝手に動く。

さて。

わたしが
アクセサリークリエイターとして、
ハンドメイドアクセサリーの創作を始めたのは、
2017年の後半だったと思う。

すばらしいテラヘルツに導かれるように出会って、
このテラヘルツを胸のところに置いておきたい、と思ったのが
そもそもの始まり。
もともと、手仕事が趣味で、
自分が着けたいアクセサリーを、
アクセサリーパーツを買ってきて、見よう見まねでつくっていたから、
テラヘルツのペンダントをつくったら、
テラヘルツが胸(胸腺)のところにくる、と思ったのだ。

さて。
心の赴くままにつくってsnsに上げると、すぐに「ほしい」という方が現れた!
そのペンダントは、ガラスの球の中に小さなテラヘルツのさざれを閉じ込めたデザインだった。

あ、
わたしのほかにもほしい人がいるんだ!
と、そのとき気がついて、
もっといろいろなアクセサリーをつくりたいなと思ったのが
わたしのアクセサリークリエイターの始まりだ。

それから、
自分になりに勉強していろんなアクセサリーをつくっていたのだが、
もっともっと上手になりたい、
わたしがイメージするデザインを創りたい、
わたしの知らない技術を学びたい、と思うようになり、
仲良しの友だちとふたりで、
知り合いのアクセサリー作家さんのところに出向いた。

当時、
西日本の地方都市から新幹線を乗り継いで静岡まで学びに行った。
1泊2日で基礎を学び、
帰って、1か月ほど自主練をして、
また新幹線で静岡に行って、1泊2日の講座を受けた。

そのときの先生がいい方で、
「私、全出しする性格なので、聞かれたら全部答えます!」
と最初に言われ、
そのとおり、
アクセサリー制作の技術はもとより、
出来上がった作品の写真の撮り方やラッピングの方法、
使用しているパーツや石の仕入れ先など、
普通は人に教えないことまで、聞けばなんでも教えてくれた。

講座代金は
そのときのわたしにとってはかなり高額だったし、
2回に分けての交通費や宿泊費なども入れると、
当時のわたしには大きな出費だった。
どうやって捻出できたのか、いまもわからない。

そのとき、
本当にアクセサリーの創作販売でやっていけるかもぜんぜんわからなかった。
好きなことを仕事にするなんて本当にできるかなと思ったいたし。
ただ、わたしのイメージするアクセサリーが上手くつくりたい、
という思いがわたしを動かした。

あれからもう6年が経つ。
6年前のわたしには
いまのわたしは想像もできてなかった。

けれども
きっと、
6年後のわたしが
あのときのわたしを動かしてくれたんだなと思う。

講座から帰ってすぐに、
教えてもらったメーカーの工具を一式買い求めた。
初心者には分不相応なくらいのプロ仕様の工具は
とても使い勝手がよくて、
わたしは、
その工具たちにも助けられながら
アクセサリーをつくることができたなと思う。

話が長くなったが、
この春、
ついに
使い込んだその工具の一つ、丸ペンチが壊れた。
バネがついていてとても使いやすかったのだが、
そのバネが、
使いすぎて折れてしまったのだ。

夫に見せたら
バネがなくても使えるよと言われたが、
この6年間、
わたしの手の延長のように動いてくれていた丸ペンチとは違う気がして、
わたしは途方に暮れた。

気がつけば、
ワイヤーをサクサクと切っていたニッパーも切れが鈍ってきている。
どれだけワイヤーを切ってきたかわからないので、
摩耗するのは仕方ないこと。

少しの間、
手はアクセサリーをつくりたいのに、
丸ペンチがうまくつかえない日が続く。
無理をすれば使えないこともないのだが、
手の動きがいつもと違うし、余計な力が入る。
それでもやってみたりしている。

ニッパーの切れ味は蘇らないと思ったので同じものを注文した。
丸ペンチはどうしよう。
バネを抜いたペンチに、わたしの手が慣れるのを待とうかな?
バネがない方がより細かく動いてくれるかな?と、
愛着のあるものだけに今思案中。


なんだ。
アクセサリーをつくっているのは
わたし、
もしくはわたしの手だと思っていたけれど、
それはわたしのおごりだったかも。

実は、
丸ペンチやよく切れるニッパーがつくっていたんだな。
わたしが思うような
細かい曲線も
わたしではなくて丸ペンチが上手に曲げてくれていたんだな。

百歩譲っても、
材料となる石たち、それをつなぐパーツたち、
そして、
工具たち、
そして、わたしの手、
それらが協力して、
1本のペンダントが生まれる。

なんと壮大な共同作業だろう!

わたしは、ただ動かされている。
誰れかのところに行くことが決まっている
アクサセリーをつくるための
ツールとして。
石やパーツや工具がかたちになっていくときに
わたしの手が使われている。
わたしは
ただ、
手を動かすためにここにいる。


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