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人工股関節置換手術のあとさき24 人間だもの ネガティヴなときもある

退院を4日後に控えて、今日はなんとなくアンニュイな気分である。

入院生活にも飽きてきたし、1日も早く家に帰りたかったから、医師から退院の許可が出た時は嬉しかった。

早く住みなれた家に帰りたい。
庭の草花たちや部屋の観葉植物たちに声をかけたい、触りたい。
朝は夫の淹れるコーヒーを飲みたい。おいしいパンも食べたい。(グルテンカットはどこへやら笑)
お気に入りのお店にランチに行きたい。
リビングのお気に入りのソファに座って編み物をしたい。
最初は少しずつだけどキッチンに立って料理もしたい。新鮮な野菜を調理したい。
病院ではシャワーだけだったからゆっくりと湯船に浸かりたい。
晩ごはんの後で夫とテレビを見たりおしゃべりをして夜を過ごしたい。
家のベッドで眠りたい。
やりたいことは山のように浮かんでくる。

それらは全て何も特別なことじゃなくて入院前のいつもの暮らしだった。当たり前だった暮らしから離れてみて、それが宝物のような時間だったことに気づく。

‥話が逸れてしまった汗

そんな退院後の暮らしを夢見ていた。

今日は日曜日。土日はリハビリ士によるリハビリはお休みで、自主トレのみになる。すなわち簡単な筋トレをする。あとは廊下を歩く。廊下を歩く。廊下を歩く。

変形性股関節症の症状がひどくなる10年前まであたり前のようにできていたことを、今取り戻そうとしている。

筋肉の膠着が強くて、なかなか痛みがとれない。その上リハビリ士に見守られてアドバイスされながら歩くのと違ってどうしても自己流の歩き方になる。

前日の土曜日に歩きすぎたのか、今日は痛みがとても強い。
珍しく痛み止めを出してもらって歩行練習をするが、やはり思うように歩けない。

病棟の長い廊下を歩きながら、途中の休憩ブースでベンチに腰掛けていたら、
まだ杖も手放せないし、歩くたびこんなに痛みがあるのに、退院してから本当に通常の暮らしができるのだろうかと不安になった。
リハビリ通院するうちに痛みもなくなると言われているけど、もしかしたらわたしは例外で、この先ずっとこの痛みが続いたらと思うと、先が見えない気がしてわたしにしては珍しく気分が滅入る。

股関節の痛みを取るために手術したけれど、筋肉の痛みが残ったら同じことだ。

同じ手術を受けた母は、「大丈夫、すぐに歩けるようになるよ」と何度も言ったが、それは母がそうだっただけでわたしは違うかもしれない。

そういえば同じ手術をした叔母の術後はあまり芳しくなかったということを急に思い出したりする。

休憩ブースでひとしきり落ち込んだあと、わたしは病室に戻った。

そして、いまココ。

この文書を書きながら少し冷静になってきた。

人は、いまココから外れるとネガティブになりやすい。

今に戻ろう。
今できることをやろう。

とはいえ、先のことを考えて不安になることもあるよね。
気分にも波があって当然。
人間だもの。
そんなわたしもちょっと好き。


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