それから
白いエプロンがキッチンの床にずり落ち
お化けを呼びに行く
草原にも夜が訪ねてきたので
月明かりを灯して出迎える
食べ残したかまぼこは
お供えに
油揚げは、しまい込む
石段を駆け上がり行き着いた先は
きみの家
広い玄関には青い花瓶とハイビスカス
部屋の隅から闇は広がり足首をさわる
夜明け前 鳥たちが支度を始めたので
向こう岸へ
お別れの挨拶をする
さよなら 夜
あたりがすみれ色に染まる頃
鍋がかすかな音を立て
ため息のような白い湯気をはく
やがて、眩しい光とともに
蜂蜜の瓶を倒したような光が町を覆う
角砂糖を2つ
コーヒーカップの脇に並べ
振り返る
おはよう 朝
水滴が木の葉をふちどるよ
あたらしい あさが
やってきた
お化けは
昨日の残り湯と一緒に
浴槽から帰る
さよならまた明日
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