握った手綱は異国の輸入品につき
むかしむかし、あるところに1人の若き娘がおりました。その娘が鉄の馬が往来する駅へと向かう途中のこと。その日は、暑いとも寒いともとれないような、じめじめとした、奇妙な一日となるのでした。
娘が駅に着きますと、動く椅子に座る老婆を助ける駅の従者の姿が目に留まりました。しかし突如として、その従者は人々の前で大声を上げたのです。「次なる鉄の馬には、凶暴な獣のごとき追われし殺人者が乗っておる。ゆえに、この場所を封鎖せねばならぬ」と。
小さき駅は封鎖され、遅れて到着した娘は困惑しました。従者に尋ねますと、「ここは危険なのじゃ」と答えましたが、娘の心に疑いの種が芽生えたのです。お婆さんの姿は消え、あの動く椅子だけが残されていたのです。まさにその従者こそが、暴走せし鉄の馬そのものであると悟ったのでした。
娘は機転を利かせ、人々に真実をこっそりと伝え、逃げ出しました。そして、ガラスに囲まれた不思議な喫茶店に身を隠したのです。窓際の席に腰を下ろすと、娘の席の目の前だけに木と本の棚があり、横のガラス越しにしか外が見えませぬ。
娘は甘く黒い飲み物を所望しました。なぜか胸騒ぎがして心が落ち着かず、店の者の言葉もろくに耳に入らず、粗暴な口調で応対されたのです。番号を呼ばれたら来るようにと言い渡され、席に戻りますと、そこには異国のものたちが腰を下ろしておりました。
するとどうでしょう。追われし者が現れ、隣の席に座ったではありませんか。娘は必死で「この者こそ暴れる鉄の馬なんだわ!」と告げ、逃げ出しました。周りにいた他のものもすぐさま後に続いたのです。
階下に逃げようとしましたが、階段はすでに封鎖されておりました。そのとき、異国のものたちがどこからともなく、弦のついた木や、響きを放つ丸い楽器を取り出して歌い始めたのです。
殺人者は魔法にかかったかのごとく、身動きが取れなくなりました。
娘は階段近くで、その様を目の当たりにし、心踊らんばかりでした。人々が集まってきて、駅で真実を伝えたお姉様も駆けつけました。異国のものたちが奏でる音楽に、他のものたちも興奮した面持ちで、娘の両脇に立ち、肩を組んで安堵とも喜びとも取れる高揚の空間を楽しんだのでした。
かくして、悪しき者は捕らえられました。その後、娘と異国のものたちは、毎年一度、この冒険の日に集まっては、美しい音を奏で続けるのでした。
めでたし、めでたし。
蛇足
ある日、上に書いたような話の夢を見たんです。
夢って、繋がっていなかったり変だな、不思議だなというファンタジー要素が詰まっている気がして、この感覚最近なったなと思いました。
それが「ブレーメンの音楽師(グリム童話集Ⅲ)」を読んでいた時でした。
グリム童話は、グリム兄弟がドイツ文化の伝承と消滅しないように保存するために書かれたものということを調べて知ったのですが、今、昔の風習が変だと感じるように、私はグリム童話を読みながら変だな、この人狂ってる〜と感じる部分が多々ありました。
そんなことから、夢の現実世界で起こる不思議な物語であるということをグリム風の文体にしてみようと思いました。
残念ながらそこまで私に文章力があるわけではないので夢をメモしたものを生成AIに投げてグリム風にしてもらい、それをさらに自分で直していくという作業でした。
やはり日本語の文章はClaude AIが強いなと。
そんなこんなでこんな文章が出来ました。
どうでしたでしょうか。
あ、Nirvana / Smells Like Teen Spirit は本当に夢で流れていたものだったので、どうにかして無理やり入れ込みました。
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