LINEのプロバイダーやチャネルを作成する時に気をつけていること

はじめに

LINEミニアプリの提供や、LINE MessagingAPIを利用したメッセージの配信を行う場合、LINEのプロバイダーやチャネルの作成が必要になります。これまで数多くのプロバイダーやチャネルを作ってきましたが、とても自由度の高い構成・設定が可能で専門性も必要となるため知識があっても迷ってしまう事が多いです。
この記事ではプロバイダーやチャネルの作成する時に気をつけることをTips的に紹介していきます。

プロバイダー?チャネル?

そもそもプロバイダー、チャネルって何?という方も多いと思います。しっかり理解したいという方は、LINE株式会社が公式に出している「LINE API Policy Handbook」にとても分かりやすい解説がありますので、そちらで理解するのがオススメです。
この記事では一旦ザックリ知りたい方向けに、事例を交えた簡単な説明をしていきます。

プロバイダーはサービス提供者を表している

プロバイダーにはいくつか役割がありますが、システム的な役割は置いといて、一旦「サービス提供者を表している」ことを理解いただければと思います。プロバイダーを設定すると例えば画像のようなサービス提供者表記がなされます。画像は「東急株式会社」様の例です。

「提供:東急株式会社」の表記

チャネルはLINE APIに接続するために必要

LINE APIが提供している以下のような機能にアクセスするためにチャネルが必要です。

  • LINEログイン

  • LINE Messaging API

  • LINEミニアプリ

チャネルはサービス提供者が管理・提供する機能になるのでプロバイダ内で管理します。

プロバイダーは企業全体で1つにする

プロバイダは企業全体で1つにしましょう。理由は下図の通りで、プロバイダが異なると同じLINEユーザーでもLINEユーザーIDが異なる値となってしまうためです。企業がLINEユーザーを同じIDで横断的に捕捉出来るようにするためには、プロバイダを1つにする必要があります。

プロバイダーへのLINEユーザーIDの割り当て
【LINE API Policy Handbookより抜粋】

もし別のプロバイダを作ってしまうと、後で統合することは非常に難しいです。複数プロバイダを統合する場合は以下のような対応パターンがあります。

  • LINE API Policy Handbook」の「参考:同一企業で異なったプロバイダーを利用している場合」に記載されている条件を満たしている場合は、LINE社に依頼して統合してもらう。

  • 統合するプロバイダを決定し、統合先のチャネル・LINE公式アカウントを作成。ユーザーに改めて友だち登録などの操作を実施してもらう。

ユーザーに改めて登録系の作業を実施してもらうことになるため、サービスからの離脱は免れません。よほど特殊な理由がない限りは、予めプロバイダは1つにしましょう。

開発用のプロバイダは分割する

ユーザーにサービスを提供するためのプロバイダは1つにするのが良いですが、システム開発用のプロバイダは分割することをオススメします。
主にセキュリティ面を考慮してシステム開発用プロバイダを分けます。システム開発会社や開発チームに開発用プロバイダのAdmin権限を付与することでスピーディなシステム開発が実現出来ます。
なお、システム開発では本番環境(ユーザーにサービスを提供するための環境)と同等の環境として検証環境(ステージング環境)を用意することがありますが、こちらは本番環境と同一プロバイダを利用するようにしています。ステージング環境は本番同等の環境として本番不具合の再現テストなどを実施するためです。

【任意】プロバイダごとにLINEビジネスアカウントを分ける

同じLINEビジネスアカウントで作成出来るチャネル数には制限があります(例:LINEログインチャネルは100まで)。チャネル数が100を超えることが予想されている場合は、プロバイダごとにLINEビジネスアカウントを分けることオススメします。
LINEビジネスアカウントの管理が煩雑になりますが、「開発用LINEビジネスアカウント」などと名前を付けることで比較的分かりやすくアカウントとプロバイダを管理することが可能です。

LINEログインチャネルとLINE MessagingAPIチャネルは、システム環境ごとにチャネルを作成する

LINEログインチャネルとLINE MessagingAPIチャネルは、LINE公式アカウントと1:1の関係にするのが良いため、「本番環境用」「検証環境用」「開発環境用」といった形で、システム環境ごとにLINE公式アカウントを作成した上で各チャネルを1:1で作成していきましょう。
なお、LINEログインチャネルは厳密にはLINE公式アカウント1つに対してN個作成することが可能です。ただし、後述の「LINEログインにボットリンクを設定する」が強力な機能なので、基本的には1:1と考えた方が良いです。

LINEミニアプリチャネルは1つだけ作成する

LINEミニアプリチャネルは1つのチャネルの中に「開発用」「審査用」「本番用」のLINEミニアプリを登録することが出来ます。特殊な事情が無ければ下記構成にすることをオススメします。

  • 開発用→開発環境

  • 審査用→ステージング環境

  • 本番用→本番環境

LINEミニアプリチャネルを複数作ると、チャネル間でサービスメッセージテンプレート設定の同期を取るといった、バグの温床となる運用が必要となるためオススメしません。

LINEログインにはボットリンクを設定する

ユーザーがLINEログインを使用してサービスやアプリに初回ログインする時に、LINE公式アカウントと友だちになる設定を「ボットリンク機能」と呼びます。(画像の赤枠部分)

ボットリンクの効果
【LINE Developerより抜粋】

例えば、QRコードからアプリを起動したユーザーに対して、LINE公式アカウントと友だちとなってもらい、ユーザーの登録情報や購買情報などを利用してLINE公式アカウントにPushメッセージを送るといったユースケースが構築出来ます。ユーザーとのデジタル接点構築手段として非常に強力なので必ず設定をしましょう。
なお、LINEミニアプリにはこの機能がデフォルトで搭載されています。

おわりに

クラスメソッド株式会社内部で共有しているナレッジをTips的に紹介してみました。プロバイダやチャネルを作成する際に参考にしていただけると幸いです。

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