「なんとなく無理」と感じたら

今から語ることは出来れば一生誰にも言いたくないことでした。
ちょっと恥ずかしい、自分の一部のことです。

大絶賛公開中のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』
僕は現在40歳ですが、同世代の友達はみんな口をそろえてこの作品を神作品だと崇めます。
確か僕が、小学校高学年くらいから流行っていた作品だったと思います。
「紡ぐ」で一緒に活動しているユウキも、三井くんが大好きすぎて早速映画館でチェックしたそうです。

僕はこの作品をあまり読んだことがありません。
といいますか、読んだことはあるのですが、どうしても好きになれなかったのです。もっと言うと、なんとなく嫌な気持ちになりました。
「何が嫌いかではなく何が好きかで自分を語れよ!」とはよく(?)言いますが、僕は今回「なぜスラムダンクが嫌いだったのか」を紐解きたいと思います。

あらかじめ言っておきますが、作品をこき下ろすものではありません。むしろ自分の浅はかさを暴露する内容です…。

『SLAM DUNK』はどんな作品だったか。ウィキペディアからあらすじを引用しましょう。

―神奈川県立湘北高校に入学した赤い髪の不良少年である桜木花道は中学時代に50人の女性から振られ続けた上、最後に振られた女性が「バスケ部の小田君」に好意を持っていたため、バスケットボールが大嫌いになっていた。

しかし、廊下で自身に声をかけてきた赤木晴子に自身の長身と筋肉、身体能力の高さを見出された花道は彼女にバスケット部への入部を薦められる。花道は晴子に一目惚れし、バスケットボールは全くの初心者であるにもかかわらず、晴子目当てに入部。その後、地道な練習や試合を通じて、徐々にバスケットの面白さに目覚め、その才能の芽を急速に開花させる。

まず僕はこの桜木さんという主人公がダメでした。
50人の女性に振られる中学生、なんか嫌でした。
バスケットボールが嫌いだったはずなのに、美人の女の子にスカウトされたからってバスケ部に入部する、なんか嫌でした。

この「なんか嫌」という気持ちだけで、その先は読み進められなかったのです。だから僕がこの作品を好きになれない理由ってホント第一話の多分5ページくらいのまでの内容なんです。
もう最低なこと言ってますよね。すみません。
その時は、主人公が自分にとって魅力的に映らないから嫌いなのかなぐらいに理解していました。

でも時が過ぎ、少し大人になった僕にはその理由がちゃんとわかります。

一言で言うと、羨ましかったんです。

あらすじに戻ります。

―しかし廊下で自身に声をかけてきた赤木晴子に自身の長身と筋肉、身体能力の高さを見出された花道は…(以下略)

特にこの「長身と筋肉」という部分。井上先生の作画は非常に写実的だったように記憶しています。
滴る汗、ボールを掴む大きな手のひら、隆起した三角筋…。
汗はともかくそのほかは自分の力では絶対に手に入れられないものです。(三角筋は女性でも鍛えられますが、男性が鍛えたような三角筋のことです)
また、桜木さんは周りの目を気にせずに露骨に晴子さんに「好きだと」アピールしていた気がします(うろ覚えで間違ってたらすみません)。これも絶対に自分ではできないことでした。

羨ましくて羨ましくて羨ましくて、もう羨ましいの限界値を超えて、この揺れる気持ちに「なんか嫌」という漠然とした名前を付けて「この漫画無理」となっていたのです。

僕も、スポーツなんかしてちょっと逞しくなっちゃって、同じ部活の男友達と遊んだり、一緒にかっこつけたりして、たまに猥談とかして、好きな女の子とかともいい感じになって…。
みたいなことがしたかったんでしょうね、多分。まぁ当時は幼かったので今振り返るとかわいらしい気もしますが。
それに気づくと途端にすべてが腑に落ちたのです。
あぁ、俺嫉妬してたのか…って。

怖いですよね。
これ、作品だからまだ良かったものの例えば特定の人種だったりしたらどうでしょうか。
恐ろしいですよね。

僕はこれを教訓に、自分の中で「なんとなく嫌だ」とか逆に「なんとなく好きだ」ということを言語化する癖をつけるようにしました。そこから新しい自分が見えてくるからです。
良いところも、醜いところも自分のことなので全部確認したいなと思うのです。そうして言語化したものに対しては、とことん向き合って改善しようとしたり、「もうそれは良いや」って放置したりそうやって過ごしています。
あんまり自分を追い込みすぎずに…。

というわけで、自分と向き合うきっかけのひとつをくれた作品が『SLAM DUNK』だったというわけです。

ありがとう!『SLAM DUNK』

改めて読んでみようかなぁ。

あんどう

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