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「占い」は”決められない私”の道しるべ

第3回 30代女性の「占い」インサイト 

and Insight株式会社 戦略インサイトリサーチャー® 窪谷衣里子

今回の「Insight」

なぜ私の人生にはこんなに辛いことがやってくるのだろう。
辛いことがやってきても涼しい顔をして乗り越えられる自分でありたい。
私だって素敵な仕事をして、素敵なパートナーを見つけて人がうらやむような人生を送りたい。
今までの人生でいろんな困難を乗り越えてきたけれど、これまでの私の決断は本当に正しかったのだろうか・・・
私は自分を理解できていなくて、どこかで間違ったのかもしれない・・・
そう思うと、なかなか決められない、自分だけで決めたくない。
でも周りの人にそんな自分は見せたくない、涼しい顔をしてさらっと乗り越えていたい。
だから、誰か私に大丈夫と言って。
私の決断が間違ってないよって教えて。
    「占いは”決められない”私の道しるべ」

調査レポート

1.占いについて

今年の初詣でおみくじ占いはされましたか?
大吉だ!って喜んだ方もいれば、凶が出てちょっとがっかりした方もいらっしゃるかも・・・「待ち人来たる」になんだかそわそわした、なんていう経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

占いについて興味深いデータがありました。2022年実施の「博報堂生活総研 生活定点調査」より「信じるものは何ですか?」という質問に対し「占い・おみくじを信じる」と答えたのは全体の約30%。男女別に見ると女性は約42%、男性は約20%が信じると答えました。
女性の年代別で見ると、信じると答えた人は20代が約56%、30代が約43%、40代が約45%、50代は約37%。20代から緩やかに下降しているものの、30・40代女性は半数程度占いを信じていることがわかります。
1兆円クラスの市場規模と言われる「占い」。テレビ番組や雑誌の占いコーナーに始まり、書店では年末年始になると占い本の特設コーナーが組まれ、初詣のおみくじには人がいっぱい。SNSで気軽にできる占いもたくさん。
これだけ日本の市場には有料・無料の占いコンテンツがあふれているにも関わらず、実際に結果を信じている人は女性でも約半数程度。
この調査結果を見ると、半数の人達は占いを見てもその結果を本気にとらえていないのが現状、といったところ。

では、そんな中、有料コンテンツを愛用している「占いが好き!」という人はどんな人なのでしょう?
今回は「占いが大好き!有料の占いに通い続けている」という30代女性3名のインタビューから占いが好きな女性のインサイトとは何か、を考えていきたいと思います。

【調査概要】
調査目的:占いに魅了される30代女性のインサイトは何か?
調査時期:2024年1月
調査手法:1x1 デプスインタビュー
対象者:有料の個別占い鑑定を継続して行っている 30歳・34歳・36歳女性(N=3)

2.WHOー占いが好きな女性ってこんな人

経済的にも精神的にも自立していて、社会の中できちんと生活できている自分のことを信じている。自分の中に判断軸は持っていると言いつつも、実は自身の生い立ちや過去の経験から「自分の判断に自信が持ちきれない」人。

【過去の経験・思ってきたこと】(インタビュー調査より抜粋)
・対象者①
20歳の頃から、私の選ぶ人は「ダメな男の人」ばかり。友人からつき合う前に占い師に相性を見てもらってからにして!と言われてきた。ある日失恋した後に慰めてくれた友人との食事後、偶然占いブースを見つけ入ったところ占い師から厳しい言葉を言われたことが嬉しかった。
それからは男性とつき合う前に相性を見てもらっている。
・対象者②
家庭環境が複雑で中学生の頃から今の人生から何とか抜け出したいと思ってきた。八方ふさがりだと思っていた自分の状況だったが偶然付き合いで入った占いで自分の人生の希望が見えた気がして通うようになった。
そのからは人生の節目で迷いがあると占いに行くようになった。
・対象者③
これまで自分で自分のことをよく理解できていないのではないかという不安を抱えてきた。もっと自分を知りたいと思い様々な種類の占いを試してきた。今、30代で未婚の自分は結婚したいと思っているけれど、本当に結婚したいのか、独身でいたいのか占いでアドバイスをしてほしくて通っている。

自分の中で答えは一応あるのだけど、最後の一歩を踏み出す勇気が持ち切れず、「大丈夫」って声をかけてもらいたい。
経済的には特に不自由はしておらず、自分が必要と思ったものには惜しみなく、占いにお金をかけることは厭わないようです。

3.占いへの興味が芽生えたきっかけ

若いころから雑誌やテレビの「今日の運勢」「ラッキーアイテム」「恋愛運」は毎日チェック。ラッキーアイテムを持っていると、何だか今日がうまくいきそうでモチベーションが上がっていたタイプ。
恋愛運が良いと何か良いことがあるのではないかとワクワク、ドキドキ。日常へのちょっとした刺激を与えてくれていたのが彼女たちにとっての占いの存在でした。
そんな彼女たちが占いへの傾倒していくきっかけは、日々の占いを見る延長線上で遊び感覚で入ってみた「対面での個別占い」(有料)にあったようです。そこで経験した「自分が誰かから言われたかったこと」を言ってもらえる安堵感。
自分の中には、自分の力で解決できない(と思っている)悩みがあるけれど、実は相談できるひとがいない。友人に相談しても、きっと友人は私を慮って、彼女の本音では話してくれていないだろう、と思うと、素直に意見を受け入れられなかった中、自分の悩みを「占い」というコンテンツを通す分、なんだか話がしやすかった。だって占い師は、人の感情に左右されない「占い」ツール(タロットなど)を使うことで自分を理解してくれる分、自分の決断を委ねたって信用できそう!という気持ちへ変化していたことがわかりました。

4.占いを継続する理由、占いの魅力とは?

現在は、日常的に複数の配信される占いを重複してチェックし、個別での占いを定期的に行うように。個別での占い(対面あるいはオンライン)は、月1回~半年に1回程度。費用は1回につき3000~5000円ぐらいが平均値でした。
彼女たちが有料で占いを継続する理由は、占いの結果そのものを知りたい気持ちに加え「決断に迷っている今の自分の気持ちを吐露したい・話を聞いて決断したい」という思いがあり、それはまるでカウンセリングに行くような感覚で占いに頼っているものだと推察されます。
おそらく占いは彼女たちにとって「お守り」ー持っているだけでは何も作用しないかもしれないが、持っているだけで心が強くなれる気がする、あるいは「信用できる身近な他人」 ー自分から遠すぎず近すぎない位置にいてくれて、信用できる言葉をかけてくれるから苦しい時期を乗り越えることができる、そんな存在でありそうです。

5.まとめ

困難が多かった人生を送ってきた彼女たちだけに、自分のあの時の決断が間違っていたのではないか?と不安で押しつぶされそうになるときがある、でもそんなことじゃ、頑張ってきた今の自分がかわいそうだから、間違ってなかったって思いたい・言いたい・言ってほしい。
人生での起こる決断について、自分で決めてきてはいるけど、ほんとは自信が持てなくなったり、自分で決めることから逃げだしたい気持ちもある。
忙しい日々・家族や仕事がある中で、そんなことばかり言ってられないから、家族やパートナーや友達のような身近で相互影響する関係ではなく、公平に私自身を見て、言葉にしてくれる「占い」に頼りたい。
「占い」があると、自分で考えたことを、自分だけで背負わなくてもいい気分になれる。
これで私は大丈夫だって思える。
進むべき道に自信が持てる。
そんな彼女たちの心の叫びに近い、言葉にできない想いを感じるインタビューとなりました。

インサイト「占い」は”決められない私”の道しるべ

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