見出し画像

大好きなブレーキについて書きます。


実は変態だと思われるのが怖くてAncarでは公言していませんでしたが、昔からブレーキが大好きですww
きっかけはF1マシンがヘアピンでローターを真っ赤にしてブレーキングする姿に憧れたことです。19歳で買った180SXにブレンボを装着したくてアルバイトに励んでいた事を思い出しブレーキのことを書くことにしました。
ブレーキと言っても話し出すとドラムやピストン型などキャリパーと言われる円盤を掴む物から掴まれるローター、更にはブレーキペダルから油圧、空気の力を伝えるサーボからダイレクトなノンサーボ、ブレーキペダルも吊り下げ式からオルガン式まで幅広くあり全部説明していたらきりがないので今回はローターにフォーカスしていきたいと思います。


スチールローター


まずは一般的なスチールのローターです。
ローターの円盤の中に溝が切ってあるものをベンチレーテッドローターといい30年前は高級品として扱われていましたが今は一般的です。メリットは放熱性がいいことです。15年ほど前、ワゴンRのローターがソリッドタイプで今どきこんなしょぼいブレーキがあるのかと当時驚いた覚えがあります。鋳造で価格も安く低速から効きもよく世界中に普及していきました。ただ持ちがあまり良くなく定期的な交換が必要で、鉄なので重いです。

カーボンローター


最高級ローターとして君臨するのはやはりカーボンのローターでしょう。本物のドライカーボンで一般的なカーボンは熱に弱いですが特殊な樹脂とカーボン繊維を高温、高圧で加工してあり1000℃以上の耐熱性があります。F1マシンや一部の最高級車に使用されているだけで一般的ではありません。普及しない理由の最大の要因は価格です。今はだいぶ安くなってきましたが10年くらい前は1枚100万円で4枚で400万円くらいしていました。またとても軽くバネ下重量を下げることもできるので車のフットワークが軽くなります。持ちも一般的にはとても良く、SUPER GTでスチールローターの際はレース3日間で3回ほどローターを交換していましたが、カーボンローターに変わってから3日間交換無しでも問題なく使えていました。
ただとても扱いづらく低速、低温での効きがびっくりするくらい弱いのがデメリットになります。市販車の物はかなり改善されているようですがある程度熱を入れてあげないと効きが弱い特徴があり何度もハードブレーキをして一気に熱を入れる必要があります。軽いタッチで引きずるように熱入れをするとグレージングといって表面がガラスのようにつるつるになってしまい摩擦が極端になくなってしまい素人にはとても危険です。ただ高速、高温時のパフォーマンスは凄まじく300kmからのフルブレーキングで0kmまで4秒くらいで止まります。ワゴンRなら300kmは出ませんが40秒はかかってくると思います。


サーフェスコーテッドローター

今私が最も気になっている、最も感動した技術ブレーキローターがあります。
ポルシェでは新型ブレーキとして「PSCB」と呼ばれています。これはポルシェ サーフェスコーテッド ブレーキの略であり、ブレーキキャリパーのカラーはホワイトでこのブレーキのメリットはいくつかあり、錆びない、ダストが出ない、カーボンローター同様の制動力と熱安定性を持つというのが主な特徴になります。いずれのメリットも非常に大きいですがとくにダストが出ないは日常車を乗るにあたって非常に大きい進化になると思っています。(特に輸入車には流行るかも)
もとはというと、ポルシェ カーボンセラミック ブレーキ(PCCB)というハイパフォーマンスブレーキ、そしてスチールローター採用の一般的なブレーキの「中間」が存在しないことから開発がスタートしたとのことです。
ハイパフォーマンスを誇るポルシェにふさわしく、しかしサーキット走行を前提としたPCCBまでも「行きすぎない」ブレーキを考えたということですが、目を付けたのがダイヤモンドすら切削できる硬さをもつタングステン・カーバイド。これをブレーキキャリパーに転用できないかということですね。タングステン・カーバイドはダイヤモンドの次に硬く、鋳鉄の10倍の硬度を誇るとされ、よって耐摩耗性はスチールローターとは比較にならないほど高いものの、素材そのもののコストが高いのがデメリットです。仮にタングステン・カーバイドそのものを素材にしたブレーキローターを製造するとセラミックブレーキの何倍もの価格となるそうで、それでは無意味(PCCBのほうが軽くて優れる)。よってポルシェが導き出した解決策が「鋳鉄ローターにタングステンカーバイドをコーティングする」というものです。
この技術についてはボッシュとともに研究を重ね、「インターレイヤー」を挟み込むことでタングステンカーバイドを鋳鉄ローターの表層に形成することが可能になった、としています。
制動力はPCCBとほぼ同レベルで、ダストはスチールローターに比較して90%削減でき、寿命は鋳鉄ローターに比べて30%長く、耐フェード性も高い(600度くらいまでは安定して動作)というメリットだらけで、開発者のマティアス・レーバー氏も「これほどまでとは想像していなかった」と語るほどです。


今後のブレーキローターのスタンダードになる日も近いかもしれませんね。来年はキャリパーにつて語ろうかと思っています。