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春のたべもの短歌会雑感〜スタッフのひとりとして〜

おはようこんにちはこんばんは。寿司村です。


さてさて、無事終わりました「春のたべもの短歌会」参加者の皆さん、お楽しみいただけたでしょうか。どうでしょう。

ここからは、食べ物の筆名だったためたまたまスタッフに誘われた寿司村の今短歌会の雑感として、1次選考の4月16日まで遡りお話していきます。あくまで雑感です。

応募全首のリスト一覧から既発表作の投稿等を抜けば、有効数は162首になっていました。

まず、わからない言葉や読めない漢字は全て調べました。
私としては加点法でだいぶ絞れました。ただし、2次選考会(2次が最終選考、です)に送り込める歌数はMaxで25と決まっており、最後は「筍の歌」を落としました。理由は、応募作の中で頭2つほど筍の歌が多かったからです。
次に多かったのは桜餅、そこからまた差がついて菜の花・蕗のとう・新玉ねぎ・苺、でした。筍の歌は秀作も当然多く、それはそのまま2次へ送っています。

ぽぷじぇるさんから1次も2次も選考基準はすべて個人へと信託されて何も言われていませんでしたが、価値判断ラインをどうするか悩みました。そのラインを超えた作品だけが生き残れるのですから。



大賞2次選考会


連作3首をバラバラにして1首での応募作品と混ぜてシャッフルして全ての歌をリストにする。両部門を総合で戦わせるのは、短歌のコンテストとしてはかなり異質だと思います。

2次選考会では私は減点コメントを多くしていた気がします(今ふり返ると感じは悪いです)。これは大切なことですのでしっかり伝えたいのですが、162首から161首を落とす作業であり……161首を落とすんです!!!161首を落とすんです!!!(大切なことなので2回)



3人とも、「選者をやる以上5%くらいは恐怖がある」「落選した人に納得してもらうだけの受賞歴もない」ことは話し合っていました。こんなに悲愴にならなくても良かったですかね……?
その上で、私は理を尽くして批評すること、受賞の1位以外は2位3位4位……と順位付けするのではなく広くできるだけ歌評を書いて、165首全体としての価値を高め、また多くの人にシェアすること、で納得してもらおうとしていました。これはぽぷじぇるさんの理念に添っています。選考基準同様、理念の強制もまたぽぷじぇるさんからなかったのですが。




選考会の両日とも私の電波死んで離席と帰還を繰り返しました



そして連作大賞1次選考・2次選考会へ


4月20日からの連作の選考では、やはり筆名は隠されたままタイトルと元の3首ずつ本来の順番、で並べ直したリスト一覧が送られてきました。1首ごとの評価はもう既に済ませてあることになります。
1首ずつ異なる3種類の食材を扱った応募者のほうが多かったですが、3首とも同じひとつの食材で勝負した人の読みやすさが私には感じられました(ここは他の選者と好みが違ったのがおもしろかったです)。
集計すると、大賞と違い連作大賞では選者3人の点数の集中具合が(バラけずに)ずっと高かったです。


私は普段は具象の歌を評価しがちですが、ぽぷじぇるさんと姿煮さんは詩性をきちんと攫(さら)っていく方なので、普段より良いと思う傾向が変化しました。ふたりからの影響を受ける、それも選者をしてみて初めてわかった経験です。
なので、抽象的な歌を恣意的な読み方ができるという観点、は問題にはならず、大賞/連作大賞ともに具象抽象どちらかの有利不利、はなかったです。





ごらんよ図鑑、これがNewJeansハニさんだよ
選考がすべて終わった4/24の帰路22:00 俳句のたべもの図鑑はぽぷじぇるさんの推薦図書です

広告のハニの瞳の水分量おかしく輝く真横を過ぎる/ひぷを




ここで考える、大賞/連作大賞への道


大賞部門では、「春のたべもの」という大賞の冠の言葉へ候補作中の食べ物がふさわしいか、という減点法を迫られることになりました。そのため大賞を受賞した川合さんの作品でさえ減点対象として俎上(そじょう)に乗ることになりました。

連作大賞でも同様ですがここで言いたいのは減点、はあくまで歌の一部へ、ひとりの選者がひとつの観点から指摘するに過ぎません。それ以上でもそれ以下でもありません。コンテスト運営の中の人をやりながら身も蓋もないですが、短歌はそもそも点数をつける文芸ではなくひとりひとりの自己表現、と思っています。


優勝への道は選者それぞれに依る価値判断で複数あり、それが選者の集まった選考会で大きな流れとなり結果的に一つに収束する。その日ではなく別日開催だったならばまた結果は変わるかもしれない。それぐらい道はわからないものだ、というのが選者側からの実感です。




お礼とお願い


このような結末ですので、大賞の川合さん、連作大賞の早月さんへは皆さんからどうぞ納得して祝福していただきたいと願います。特別賞の青蒼さんと高田さんの個性にも喝采を。
そして受賞した4名だけでなく応募してくださった皆さんが、この短歌会を小さな足がかりとして明日へ向かい作り出す歌をスタッフ一同は楽しみにしています。
最後に、皆さんから預かった歌をすべて大切に保管・管理・間違いのない取り扱いをしたぽっぷこーんじぇるさんへねぎらっていただけると、お手伝いした姿煮さんも私、寿司村もたいへん喜びます。


参加してくれた皆さん、読んでくれた皆さん、どうもありがとうございました。


大賞、連作大賞決定後、3人で歌評を書きました。
それらがこの「春のたべもの短歌会」の本分です。歌の良さだけでなく、春のたべものの良さも伝わるよう一生懸命書きました。

ぜひお読みください。



以上、寿司村でした。


連作大賞2次選考会前のショット。4月24日。

右の紙の大賞(1首)部門は先日にもう終わっている状態(実際には私が選の印を付けたのをこの写真では塗って消してある)です。
左上の湿布(ケトプロフェンテープ)は、サイゼリヤ短歌大会の選考会で選者の斎藤君さんが激論の末に肋(あばら)を折られたことを聞いており事前に用意していましたが、この晩は無傷で帰宅することができました。



ではでは!


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