お姉さん声が出せるようになった話

14歳頃から、電話に出ると「奥様」と呼ばれるようになった(ちなみにそれまでは「僕、しっかりしてるね」と言われていた)あんまりにも「奥様」「お母様」と言われるので「あ、私の声っておばさんみたいなんだ」と思うようになった。

19歳の頃に、今のような活動を始めた。
やっぱり、やりたいのは可愛い役。女高校生とかがやりたいので自分なりに声の若作りをしてセリフを読んで投稿していた。しかし、元の声が老けているので違和感しかなかった。正直悲しかった。
じゃあ、もういっそシフトチェンジしてお姉さん路線でいこう!と思った。が、所謂お姉さん声が当時の私には出せなかった。
声が老けてるのに、お姉さん/お母さんっぽい声が出せない。どういう事やねん。と日々悶々としていた。

19歳から21歳頃まで、毎日ゆるくゆるく大人っぽい声の出し方を練習した。しかし当時の私は、声帯を開くとか喉仏を下げるとかお腹から声を出すとか、そういう肉体的技術の説明をされても理解できないタイプの人間だったのでひたすら好きな女性声優の声を聞いて「この辺に声をぶつけてここから声が抜けてそう」というイメージだけでひたすら、ゆるーい練習をした。

21歳のある時。多分夏だった。夜勤明けの変なテンションで帰宅したその日だった。家の玄関からリビングまで通る廊下で突然、私は理想としてた「お姉さん声」が出せるようになった。正直、なんで出たのかもよく分かって無いが、とにかく出た。嬉しかった。
その日から、非常に調子に乗った。調子に乗りまくって色々な声の活動の幅を広げた。
色んなところで、お姉さん(もはやマダムかもしれない)ボイスを披露した結果、私よりはるかに歳上の方から「私より歳下だったんですね」と言われるようになった。
ごにっこりである。

そんな私もあと数年で三十路突入するので、もうそろそろ「私より歳下だと思ってました」と言われるようになるかもしれない。なって欲しい。
ごにっこり。


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