マガジンのカバー画像

赤報隊に会った男

16
戦後史のミステリー、警察庁指定116号事件。その犯人に会ったことがあると生前語っていた鈴木邦男氏の証言を検証します。
運営しているクリエイター

#公安警察

【赤報隊に会った男】⑥ 時効後の再告白~「関西のホテルで会った」

赤報隊を名乗るグループが朝日新聞社などを襲撃した警視庁広域重要指定116号事件は、2003年(平成15年)3月に全ての犯行が公訴時効を迎えた。 その翌年の10月、鈴木邦男は筑摩書房から「公安警察の手口」という新書を出版した。 タイトルの通り、日本の公安警察の捜査手法や組織構造、その問題点を体系的に論じたこの本の中で、鈴木は116号事件に言及して次のような文章を書いている。彼の胸の内を探るうえで非常に重要な資料だと思うので、少し長めに引用してみよう。 いかがだろう。 「夕刻

【赤報隊に会った男】⑧ 実現したインタビュー

2017年(平成29年)春のある日。 僕は東京・高田馬場駅の近くにある喫茶店の個室で、鈴木邦男と向かい合っていた。 彼は当時、73歳。 僕にとっては父親よりも少し上の世代だが、スーツに身を包んだ鈴木は年齢よりずっと若く見えた。頭髪こそすっかり薄くなっているが、肌に色艶があり、その表情にはまだまだ気力が充実している様子がうかがえる。 同席者は誰もいない。1対1の対面取材である。 警察庁広域重要指定116号事件の発生から今年で30年になります。この節目の機会に、この事件に対する