【#バトリレ非公式】relay-tion 10.わたしがわたすもの
最近、自炊を始めました。
晶ちゃんに育ててもらった野菜を使って、ヘルシー、ローカロリーかつ安価な食事を続けています。
なにしろ不安定な世の中。こんな時は調子にのらず、懐を節約しておいて損はありません。
オフィスでお弁当を食べていると、冬華ちゃんがジーっとわたしを見つめてました。
正確にはわたしのお弁当に入った、なすの蒲焼を。
このまま無視ではオトナとして胸を張れません。
さも余裕ぶって言いました。
『冬華ちゃん一口食べる?』「いいんですかっ?」
余裕ぶるのは一口が限界でした
それでも冬華ちゃんはニコニコしながら、美味しいです、と食べてくれました。
目を輝かせて「こんな食べ方あるんですねっ」とワクワクしてくれました。
鰻が高いから気を紛らわすために覚えたレシピ――とは、とても言えませんでした。
ワクワクを裏切っちゃいけない、と自分に言い聞かせました。
いきなりですが。
「普通」という言葉が、わたしはキライでした。
「ダメ」と言われる方がまだスキでした。
わたしが考えたり、試した結果が――プラスもマイナスもなく、目にも留めてもらえないのは、やっぱり悲劇でしかなく。
冬華ちゃんの目を見て、ふと、そんなことが思い浮かんで。
でも、そういえば。
萌ちゃんから「茉莉さんは、なんでも普通にこなせて憧れる」と言われたことがあって。
"普通"が誰かから見てもらえることもあるんだ、って。
そんな当たり前のことに、その時はじめて気が付いたのを――なんとなく覚えていました。
そんなことに気が付けた、このリレプロという場所は。
わたしよりも、普通よりも凄い人がいくらでもいます。
そして声優という仕事は。
普通より凄い、強い"想い"を抱いた人たちが作ったものを、声を通して誰かへ渡す。
わたしを通して誰かへ渡していく。
――だったら、わたしはきっと、普通程度でいいのかなって。
最近は思ったりしています。
だって、そういう想いのそばにいれば。
たぶん"普通"のわたしが普通に生きるよりも、きっとたくさんの『楽しい』に出会えると思ったから。
それくらいはフツーに、期待してもいいですよね?
『あ、有理ちゃん! テレビ点けていい? 見たい番組あったんだよお』
「もうリモコン握ってるじゃん。止めても無駄だって目してるよ」
「茉莉、この番組好きですものね」
みんなとは、またどこかで会えた気もするけど。
でもやっぱり、ここで会えてよかったって。
わたしは思いました。
#おまけ
「……こういうカフェが、最近は人気なのですわね?」
「え」
「今作っている新作メニューも、やはり"デッドエンドの灯火"とか"ビッグバンのきざはし"とか……」
『へえ、新作メニュー出るんだ! 美味しそう!』
「……いやいやいや。萌がいないとこうだもんなあ、二人とも」
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※このSSは #非公式 であり、BATON=RELAY本編とは無関係です。
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