Sanofi 2024年度 Q2決算

Sanofiは、2024年第2四半期の決算報告を2024年7月25日に発表しました。

財務概要:

Sanofiの2024年第2四半期の主要財務指標は、以下の通りです :

  • 総売上高: 107.45億ユーロ(前年同期比+10.2%)

  • 営業利益: 28.13億ユーロ(前年同期比+8.3%)

  • 純利益: 21.61億ユーロ(前年同期比-0.7%)

  • 一株当たり利益(EPS): 1.73ユーロ(前年同期比+4.0%)

前年同期と比較して、売上高は10.2%増加しましたが、純利益は減少しました。研究開発費(R&D)や販管費(SG&A)が影響しています。営業利益率は若干低下しており、主要製品の特許切れや為替の影響も考慮する必要があります。

分野別売上:

主要製品の売上高とその変動です :

免疫部門

  • Dupixent: 33.03億ユーロ(前年同期比+29.2%)

    • 売上の3割強を占める免疫系疾患向けのブロックバスター薬で、米国および主要市場で強力な成長を遂げています。アトピー性皮膚炎以外への適応拡大によりさらに売上は伸びていきそうです。

“Pharma Launches”

合計7.07億ユーロ(前年同期比85%増)

  • ALTUVIIIO: 1.58億ユーロ(前年同期比+772.2%)

    • 血友病Aの治療薬であり、欧州および米国での市場浸透が加速しています。

  • Nexviazyme/Nexviadyme: 1.68億ユーロ(前年同期比+66.0%)

    • ポンペ病治療薬で、新興市場での認知度向上が売上増加に寄与しています。

  • Rezurock: 1.14億ユーロ(前年同期比+52.7%)

    • 慢性移植片対宿主病(cGvHD)治療薬として、新規市場での拡大が続いています。

その他の薬剤

  • LANTUS: 3.98億ユーロ(前年同期比+21%)

    • 長時間作用型インスリン製剤です。

  • TOUJEO: 3.13億ユーロ(前年同期比+11%)

    • 同じく長時間作用型インスリン製剤です。

  • Fabrazyme: 2.73億ユーロ(前年同期比+12.4%)

    • Fabry病患者で欠損している酵素(alpha galactosidase)製剤です。

ワクチン部門

合計11.42億ユーロ(前年同期比4.8%減)

大衆薬部門

合計13.06億ユーロ(前年同期比9.6%増)。大衆薬部門は分離される予定。

ブロックバスターとなったdupixentの市場シェア拡大が顕著です。新規投入した薬剤、安定して売上を支える薬剤とバランスのよいポートフォリオです。

主要な開発:

2024年第2四半期には、いくつかの重要な進展が見られました :

  • 承認と規制:

    • DupixentがEUで慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認され、さらに米国でも鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎の思春期患者向けの申請が受理されました。

    • Kevzaraは、米国で多関節若年性特発性関節炎(PJIA)治療薬として承認されました。

  • 新たな臨床試験と研究提携:

    • Rilzabrutinibが制御不良の喘息患者に対する画期的な経口治療薬として臨床試験でポジティブな結果を示しました。

    • SanofiはFormation BioおよびOpenAIと提携し、AIを活用した新薬開発の加速を目指しています。

パイプライン:

免疫分野のプロジェクトが最も多く、オンコロジー部門、神経科学部門、希少疾患部門、ワクチン部門のプロジェクトが進行中です。Phase 3のプロジェクトではtolebrutinib (BTK阻害薬), frexalimab(抗CD40L抗体) の二つの多発性硬化症治療薬が企業内でのカニバリズムもなく比較的競争力が高そうです。Phase 2のプロジェクトでは上述のようにrilzabrutinibが喘息への経口治療薬として期待あれます。

結論:

Sanofiは2024年第2四半期において、dupixentの爆発的なヒットを基盤に堅実な業績を上げました。現状、dupixentへの依存率が高く、まだまだ先ですが特許切れがリスク要因でしょう。Sanofiの今後の成長戦略とリスク管理が注視すべきポイントとなるでしょう。今後も製品ポートフォリオの多様化と新薬開発の進展を見守る必要があります。

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