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バイトダンス(TikTok)、次世代AIイヤホンを開発中、AIハードウェア市場へ本格参入

2023年の中国インターネット業界では、避けて通れない大きな出来事が二つありました。一つは、拼多多(日本ではTemuを展開)の時価総額がアリババを超えたこと。そしてもう一つは、バイトダンスの上半期の収益がテンセントを上回ったことです。

バイトダンスは、「今日頭条(ニュースアプリ)」や「TikTok」といった超大型アプリによって、中国国内の巨大なユーザー層をほぼ独占し大きな影響を持っています。しかし、国内の市場が飽和しつつあるなか、TikTokが海外市場で新たな局面を切り開き、バイトダンスの成長を支える重要な要素となっています。

こうしたソフトウェアの成功が注目されがちですが、実はバイトダンスは、ハードウェアにも力を入れてきました。ここ数年、スマートフォンや教育用ハードウェア、VRなどさまざまな分野に挑戦してきたものの、その成果は必ずしも満足のいくものではありませんでした。

バイトダンスはVRゴーグルを年間100万台販売する目標を掲げていたが、実績が伴わなかった

しかし、生成AI技術の台頭とともに、多くの3Cメーカーやインターネット企業がハードウェアに注目し始め、2024年が「AIハードウェア元年」と呼ばれるようになりました。これまでのスマートフォンやPCだけでなく、ヘッドホンやスマートグラスなどもAIによって進化する流れが加速しています。バイトダンスも例外ではなく、大規模モデルを活用したAIハードウェアの開発に乗り出しています。

バイトダンス初のAIハードウェア:AIヘッドホンの登場

中国国内の報道によると、バイトダンスは豆包と呼ぶ大規模言語モデルを搭載したスマートヘッドホンを開発中であり、豆包アプリと連動する予定です。このAIイヤホンを使用することで、ユーザーは音声対話を通じていつでも豆包を活用できるほか、アプリ上でもイヤホンの操作等、AIを介しユーザービリティを高める機能が搭載されています。

実際、バイトダンスがAIイヤホンを開発することは予測できた動きです。今年5月には、バイトダンスが中国のイヤホンメーカーOladanceを約5000万ドルで買収したと報じられていました。Oladanceは、2019年に設立された企業で、革新的なオープン型ウェアラブルイヤホン技術を持っています。バイトダンスのAIハードウェアチームは、主にOladanceの元従業員によって構成されているため、初のAIハードウェアとしてAIイヤホンを選んだのは自然な流れといえます。

バイトダンスの過去のハードウェア挑戦

AI技術のブームが到来する以前から、バイトダンスはハードウェアに挑んできました。2018年には、スマートフォンメーカー「スマートisan」のチームと特許を取得し、スマートフォンやモニター製品を発表してきましたが、市場の反応は芳しくなく、その後は教育用ハードウェアに注力しました。2020年には「大力教育」ブランドを立ち上げ、教育用スタディランプなどを展開しましたが、現在もヒット製品は限られています。

また、2021年にはVR市場にも参入し、PICOという国内VR企業を買収しましたが、その後の事業縮小などで苦戦を強いられています。

AIハードウェア市場への期待

今回のAIハードウェアの開発では、バイトダンスは自社製品の開発だけでなく、他社ハードウェアとの提携も進めています。例えば、バイトダンスはサムスンの「Galaxy Z Fold6」における音声アシスタント「Bixby」に、豆包大規模モデルを提供しています。また、HonorやXiaomiといった企業とも提携し、スマートフォンや家電向けのAIソリューションを提供しています。

IDCによると、2024年にはAIスマートフォンの出荷台数が1.7億台に達し、全体の15%を占めると予測されています。これにより、AIハードウェア市場には数百億円規模のビジネスチャンスが広がると見込まれています。

バイトダンスの今後の展開次第では、AI時代の次世代ハードウェア競争において、バイトダンスがどのような役割を果たすのか、ますます注目が集まることでしょう。

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