もらいもの。

関西国際空港でカウンター業務を行っている職員さんが集団で麻疹(はしか)に感染したというニュースが世間を賑わせている今日この頃。
空港だけでなく、駅や商業施設や銀行や宿泊施設など、不特定多数の人が出入りし、話したり触れたり、物やお金が行き来する場所で働く場合には、感染症と隣り合わせになっていることが多くあります。勿論、病院も。というか、病院で勤務することこそ高リスクです。

私が医療事務時代に所属していた会社でも、初期研修で感染症や予防についての座学研修がありましたが、麻疹や風疹などの抗体検査や予防接種については自己責任で全て自己負担でした。インフルエンザについては、毎年10月〜11月に担当している病院で職員集団接種の日があり申し込みすれば1000円で打ってもらえました(ちなみに一般で接種すると3000円〜4000円くらい)

医療事務の仕事をしていて予防接種で防げる感染症は、まだ良い方で、実は、防ぎようのない感染症にかかってしまうのが一番厄介なのです。私は、カウンター業務をメインで行っていた3年間で、2回もアデノウイルス由来の流行性結膜炎に罹患してしまいました。

感染症とはいえ、結膜炎だと侮っていたけど、ウイルス自体をやっつけるワクチンもなく、感染が発覚したらその瞬間から1〜2週間は出勤停止。定期診察も職場ではない個人病院に事前に電話予約し、時間通りに通院し、他の患者さんと接触しないように隔離され、歩いたところ触れたところは全て消毒されます。

この流行性結膜炎、2回のうち1回は、そのまま結膜咽頭熱になり5日間ほど固形物も食べれず高熱に魘される結果に。頻繁に、うがい手洗いアルコール殺菌をしていても、もらう時はもらうものです。

さて、話を予防接種に戻しますが、妊娠時に妊婦が風疹に罹患した場合、胎児に重大な影響を及ぼす恐れがある(先天性風疹症候群)ことがわかっています。尚且つ、小学校で集団接種を受けていない世代がメインで働く時代に突入している背景からMRワクチンの接種で防げる風疹・麻疹については、企業が一部負担などの補助をしてくれると良いのにな…と個人的には思うのです。

風疹の抗体検査については、自治体の助成もありますが「妊娠を予定または希望する女性と、そのパートナーや家族」が対象となっているところが殆どです。

総合病院で働いている医療事務の1年目のお給料は、手取りで月々10万円前後です。そこから平日に休みを申請して、自己負担で抗体検査や予防接種となるとハードルが高い。当然、副作用についても自己責任ですから、それでもわざわざ受けようと思う人は、よっぽど意識が高いはずです。

職員が罹患しないだけで、その場を利用している利用者の感染率はぐんと下がるのだし、突然の大量感染によってスタッフ不足になるなんてリスクも避けられるわけだから、抗体検査の一部負担(予防接種は自己責任とする)くらいであれば、企業側にもメリットはあるはずなのですが…。

今回の麻疹大量感染によって、大手航空会社が感染予防対策に良い流れを作ってくれるよう、そして、罹患してしまった職員さんたちが1日も早く元気になられることを祈るばかりです。