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今夜夜光虫を見に行こう

いつもどおりのある日の事、僕は突然立ち上がり言った。
わけではなく、前から見たいと思ってました。

とにかく夏という季節が好きでして、それと同時に夏の風物詩的なものも大好き。
夜光虫もそんな夏の風物詩の一つです。

その正体は発光性のプランクトンで、大量に発生すると夜に海が青く光って見えるという自然現象。

ただ夏好きと言っても、僕は何と言うか、文化系の夏好きでして、海とはあまり縁のない人生を送ってきました。
なのでこれまで夜光虫を見る機会などありませんでした。
しかもある程度気候条件が重ならないと見られないというのです。

一つの条件として昼に赤潮が発生するというのがあって、
ちょうど前日の夜にSNSで夜光虫の目撃情報が上がっていて、その日も昼に赤潮が発生したという報告がありました。
あわよくば二日連続で出ないかと淡い期待を胸に、いざ出発。

池袋から湘南新宿ラインで約1時間。
鎌倉駅で降りて海の方へ向かうと、ビーチから引き上げてくる人たちとすれ違います。
街は僕のような文化系の夏好きとは対照的なタイプの人種であふれていて、
途中缶ビールを調達するために寄ったコンビニのレジの女の子も、僕がたまたま持っていた新デザインの1000円札を出すと、
「わあ、新しいお札初めて見ましたぁ!使っちゃっていいんですかぁ?」
てな具合です。

ビーチに着くと、こちらもまた文化系とは程遠い雰囲気で、海の家らしき建物の中からはノリノリなダンスミュージックが鳴り響いています。
ここじゃちょっとムードが出ないなあと思い、少し離れた場所に移動。

さっき買った缶ビールを開け、スマホに入れたサザンオールスターズを聴きながら、人気のない夜の浜辺を歩く。
そして海の家の喧騒が完全に途絶え、街の灯りもだいぶ遠ざかったたあたりで砂浜に腰を下ろし、海を眺める。

何も見えない。

ただ暗闇の中で際限なく波が打ち寄せるだけです。

と思った瞬間。
一瞬波が青く光ったような気がしました。

波打ち際までいって目を凝らすとたしかに
波頭の部分に青い閃光が走ります。

おお!

光った!

夜光虫に会えた!

同じく夏の夜を彩る花火とはまた違った
なんともミステリアスな光でした。

SNSに上がってたような幻想的な景色とまではいかなかったけど、
空には月も出ていて、なかなかにいい雰囲気を味わえました。

月と夜光虫



また機会があれば見に来たいと思います。

そしてその時はもう少しいい写真が撮れればいいなと思います。

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