エピファネイアとドゥラメンテはどうして差がついたのか

POGドラフトシーズンまであと3ヶ月弱。

そろそろ指名候補のリストアップを始める人もいるのではないだろうか。

先日気になる馬を調べたていたところ、偶然ドゥラメンテ産駒の当たり傾向を発見したので、
エピファネイアとドゥラメンテについて書こうと思う。

ほぼ時を同じくしてデビューした2頭の種牡馬。
デビューした当時はまだディープインパクトが現役で、
POGではそこまで積極的に指名する人はいなかったかもしれないが、
エピファネイアはデアリングタクト、エフフォーリアといったGⅠ馬を出し、
今年もサークルオブライフなど、有力馬を続々とクラシック戦線に送り込み、
ディープインパクト亡き今は無視できない存在となっている。

一方ドゥラメンテはデビューが1年後とはいえ、
これまでに期間内に重賞を勝ったのはタイトルホルダーのみという
非常に寂しい結果に終わっている。

いったいこの2頭の種牡馬はどこで差がついたのか?

1.父親


まずは父親について考えてみたい。

エピファネイアの父はシンボリクリスエス。
おそらくPOGファンの中にはトラウマとなっている人も多いのではないだろうか。
鳴り物入りで種牡馬となって多くの良血繁殖牝馬を集めたが、これが超のつくほどの期待はずれ。
個人的にも、ノーザンファーム産×金子オーナー×馬名にブラック×池江厩舎×ディープインパクトの近親
という4拍子も5拍子も揃ったブラックパンサーなる馬を意気揚々と指名して痛い目にあったのを覚えている。
そういった経緯もあってエピファネイア産駒もデビューした当初はそれほど人気にならなかったはずだ。

一方ドゥラメンテの父はアパパネ、ローズキングダム、レイデオロなどPOG期間に数々の活躍馬を送り出したキングカメハメハ。
種牡馬デビューしたときの人気は間違いなくエピファネイアよりも上だったと記憶している。

父親を見る限り明らかにドゥラメンテに分があるため、これが差がついた要因ではなさそうだ。

2.早熟度


ではPOGにおいて重要なファクターの一つである早熟度についてはどうか。

エピファネイアの母は言わずと知れたシーザリオ。
兄弟には朝日杯FSを勝ったリオンディーズ、ホープフルSを勝ったサートゥルナーリアがいて、
2歳からバリバリに活躍できる血統だ。

一方ドゥラメンテの母はアドマイヤグルーヴ。
こちらもPOG屈指の人気血統だが、
どちらかというと古馬になってからの活躍が目立つ一族で、
エアグルーヴを祖とする一族で期間内にGⅠを勝っているのは、
エアグルーヴとドゥラメンテのみ。
人気のわりにはやや物足りない成績に感じる。

この早熟度というのが差がついた要因の一つとも考えられるが、
ドゥラメンテ産駒に関しては古馬になってからも目立った活躍ができていないことから、
ただ単に晩成だから活躍できないということではなさそうだ。

3.インブリード


おそらく一番大きな要因となっていると思われるのがこれだ。

冒頭で述べたドゥラメンテ産駒の当たり傾向だが、
ドゥラメンテ産駒の獲得賞金上位20頭の血統を調べてみたところ、
なんと19頭が母がサンデーサイレンスを持たない馬だった。
(※2022年3月4日現在)

インブリードというのはご存知の通り近親交配のことで、
種牡馬と繁殖牝馬が共に同じ種牡馬を祖先に持っていると
その種牡馬の◯×◯と表記され、その血のクロスとも呼ばれる。

例えばディープインパクト産駒の牝馬は自身を1代目として数えると
3代前にサンデーサイレンスの血を持っているので、
これにサンデーサイレンスを持つ種牡馬を交配すると、
サンデーサイレンスの◯×3というインブリードが成立する。

エピファネイアは母の父の父がサンデーサイレンス。
自身を1として数えて4代目にサンデーサイレンスを持っているので、
ディープインパクト産駒の牝馬と交配すると
サンデーサイレンスの4×3となり、
アリストテレスやオーソクレースがこれにあたる。

これに対しドゥラメンテは母の父がサンデーサイレンス。
3代目にサンデーサイレンスを持っているので
ディープインパクト産駒の牝馬と交配すると
サンデーサイレンスの3×3となる。

この数字が少ないほどインブリードする血が濃いということで、
濃いインブリードは時として化け物を生むが、
気性や体質が悪くなるなど弊害が多いと言われている。

ドゥラメンテは産駒の獲得賞金上位にサンデーサイレンスのインブリードを持つ馬がほとんどいないことから、
サンデーサイレンスを持つ牝馬と交配する際に発生しやすい3×3という濃いめのインブリードが
出世の妨げになっているのではないかと推測できる。

サンデーサイレンスを持っている牝馬との交配自体避けているのもあるかもしれないが、
サンデーサイレンスが一世を風靡した日本において、
優秀な内国産の繁殖牝馬のはっきり言ってほとんどがサンデーサイレンスの血を持っている。
つまりドゥラメンテは優秀な繁殖牝馬と交配しにくいという致命的な弱点を持っているのだ。

これがエピファネイアと差がついた最大の要因だろう。


というわけでPOGでドゥラメンテ産駒を指名するなら、
獲得賞金上位の傾向から「サンデーサイレンスのクロスを持たない」馬を指名するのが良策と言える。
それでもマックスがタイトルホルダーだと考えればスルーするのが賢明かもしれない。

もし今後代を経たサンデーサイレンス持ちの牝馬、例えばキズナ産駒の牝馬との配合なら3×4となるので、
そこに期待したいところだが、残念なことに昨年に亡くなってしまっているため、その機会も少なくなってしまった。

ただサンデーサイレンスのインブリードに関しての考察は
他の種牡馬においても適用できる可能性があるので、
頭の片隅に入れておいて損はないだろう。


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