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【考察】「門」とブラックホール協定、ルガサルグスとハランドゥハンについて【探索者と銀氷の果て】

こんにちは。

皆さんはサーミローグライクのコンテンツ追加IIで新たに解放されたENDING4「終始」と各既存エンディングの4番目のテキストはもう読まれただろうか。

それらの内容で明かされた情報はアークナイツ世界の根底に関わるものであり、衝撃的なものであった。とはいえ、時系列や世界線が飛び飛びになっていたりサーミ以外の情報も関係していたりで、初見でこれらの内容を完全に理解できたドクターはそう多くないだろう(私含め)。

そこで、本記事では
・ENDING4と各エンディングの追加ストーリーの概括
・新たに明かされた情報の整理
・それらを元にした考察
以上の3つのセクターに分け、「門」とその周辺設定に関する情報を整理していきたいと思う。

なお、悪魔と崩壊については本記事では詳しく解説は行わないが、以下の動画で解説・考察を行っている。今回の考察部分にも深く関わってくる概念であるため適宜参照されたい。

当然ながら本記事は各エンディングの内容とテキスト、6層裏のイベントの内容を含むため、少なくとも6層裏攻略後の閲覧を推奨させていただく。

また、あくまで個人の考察・推測に過ぎない内容も多分に含まれるということを留意していただけると幸いである。


ストーリー概要

ENDING4「終始」

ENDING3「深淵からの一瞥」にて、最果ての氷原の最奥で発見された超巨大な環状の構造物(以後、「門」と呼称)を巡る物語がENDING4の内容だ。

この門の発見から数年後、経緯は不明だがテラ各国の間で「テラ氷原巨大構造物研究及び修復条約」、通称「ブラックホール協定」が結ばれた。
この協定の元、各国は膨大な資源を投入してインフィ氷原に研究チームを派遣し、中立機関であるロドスの監督の下で協力しながら門の研究を行うことになった。

門の麓には研究施設が建設された

ドクターが「門」に到着したときには既に研究の大部分は終了し、あとは欠損部分の修復作業を残すのみの状況となる。

そしてサルカズやエルフ、サーミやウルサスに炎国など種族・国家を越えた協力によってついに修復も完了し、初回の起動実験が行われた。

研究チームが見守る中、起動された「門」は熱砂の砂漠へと接続され、各国の精鋭で結成された探索隊はその中へと進んでいく。しかし探索隊が足を踏み入れた瞬間に「門」は機能停止してしまい、すぐには戻れない状況となる。やむを得ず「門」が再起動するまでの間調査を行うことを決めた探索隊は、ある光景を目の当たりにする。

「暦法の王」ルガサルグスと「大地の鞭」ハランドゥハン

それは諸王の王、ルガサルグスナイツモラのハランドゥハンの大軍勢であった。これにより、この砂漠はテラ最南端の大地フェーンホットランドであることが判明する。

ナイツモラの遠征は0011年から始まった出来事であり、その果ての地がフェーンホットランドであったため、この場面は時系列にして0012年付近であると考えられます。

念のためルガサルグスとハランドゥハンについて説明しておくと、ルガサルグスはサルゴンの初代国王であり、テラで用いられている「暦」や「国」の概念を生み出したいわば「始まりの王」である。一方でハランドゥハンはナイツモラの英雄であり、ヒッポグリフ王国・カジミエーシュ・ヴィクトリア・ガリアといった並居る強国をことごとく征服した暴君だ。

公式動画「RETRACED TERRA」より

両陣営の激突による戦火に巻き込まれた探索隊だったが、どうにか「門」が再起動し、一行は無事に拠点へと帰還することができた。

また、マゼランはこのとき「この二人が『門』から現れた悪魔を追い返した時の余波により、フェーンホットランドは焼き尽くされたのだ」ということを知った。この点についてはまた後程触れることとする。


ENDING3-PART4「未完成の運命」

先に言及しておくが、このテキストの内容はIF世界線である可能性が存在している。というのも、時系列では先ほど紹介したEND4の後にあたるストーリーであり、BAD ENDとも言えるような終わり方になっているからだ。


「門」の初回実験の後、その性質を解き明かすため同様の起動実験が複数回にわたって行われていた。その中のある回(恐らくは最後の起動実験)においてヴァラルクビンは自らが視た予言に従い、単独で「門」をくぐることを希望した。

サイクロプスの「遠見」のこと知る研究チームはその願いを聞き入れ、彼女は望み通り深淵へと足を踏み入れることとなった。しかし、その直後にヴァラルクビンは原型すら留めない状態の崩壊体となって「門」から再び現れたのだ。その危険性から研究チームは即座にその崩壊体を排除せざるを得ず、かくして最後の起動実験は終了することとなる。

既存の理論によると、研究チームが遭遇し、排除せざるを得なかったあの非常に危険な崩壊体は、「門」を通ったあとに存在の状態が変化したヴァラルクビンである可能性が最も高かったのだ。

「未完成の運命」より

しかし、ヴァラルクビンがもたらした観測データにより「門」の動作原理とその歴史に対する仮説はおおよその確証を得ることになる。その仮説というのは「この『門』は悪魔が現実に対する戦争を開始させたゲートである」というものだ。

この仮説に基づき、ゲートを解体すれば悪魔による侵略を防ぐことができると判断した研究チームの上層部は「門」の恒久的な解体を実行した。その想定の通り、解体後数年は崩壊現象の発生件数も激減し、サーミにも平穏が訪れていた。

しかし、ほどなくして崩壊は再びサーミを離れていたティフォンの元に襲い掛かる。ゲートの解体はその場しのぎに過ぎず、人類は自らの手で未来の可能性を一つ潰してしまったという訳だ

研究チームの最高責任者はケルシーのようですが、「門」を解体するリスクを把握しているはずの彼女が居ながらこのような結末を迎えたことにはいささか違和感を覚えます。


ENDING2-PART4「枯木となりて」

ENDING3PART4と同じく、こちらもIF世界線である可能性が非常に高い。それも、考え得る限り最悪のバッドエンドだ。とりあえず見ていくが、前提情報としてサンタラの左目は源石に浸食されて置き換わっているという点だけ覚えておくといいだろう。

彼女は当初、目を貫いた源石の棘は、自身の命か、あるいは片目の視力を完全に奪うものだと思っていた。
だが、実際にはそのいずれも起こらなかった。
源石結晶が次第に集まって、新しい目となったからである。

サンタラ-プロファイルより

ストーリーはあるサーミの戦士が樹木に祈りを捧げるところから始まる。この氷塊でできた樹は、雪祭司であるサンタラがかつて命と引き換えに樹木へと姿を変えたものだ。サーミの戦士にとって、この樹に祈りを捧げることこそが戦いへの覚悟を示す儀式なのである。

しかし、人ではなくなった彼女の「目」だけは唯一、世界の真実を捉え続けていた。樹に祈っていた戦士はサーミ人ではなく、そして人ですらもなかった。悪魔はサーミの戦士たちを侵食し、その後テラに存在する全ての生命体を、大地を、空を黒く塗りつぶしたのだ。今となってはこの星に生死などという概念は存在せず、昼と夜でさえもその概念が薄れつつあった。かつてテラと呼ばれていたこの大地にもはや「存在」は存在せず、かつて人間だった何かはただの黒い影として永遠の静寂を漂い続けるのだろう。

もはや何もない黒い大地に、氷塊は孤独な涙を一筋流した。

「枯木となりて」より

補足解説:
待望?の崩壊がテラを飲み込むシナリオがこの「枯木となりて」である。よくわからなかったという方はぜひ冒頭の動画を視聴していただきたいのだが、簡潔に言うと崩壊は無機物・有機物・空間、あらゆるものを侵食し対象から現実性を奪い去る

「何かが虚空の中からにじみ出ている」「それは一切を侵食し消し去っている」

現実性の喪失はすなわち「存在」や「概念」の消失を意味し、その成れの果てがツヴィリングトゥルムの黄金で登場した荒域なのである。ローグライクにおけるパラダイムロストが現実性喪失のわかりやすい例だろう。

そのミーム的性質から、一度崩壊が伝播するとそれによる侵食は爆発的に拡大する。その結果として、この世界線ではテラ全体が崩壊に飲み込まれてしまったというわけだ。




…ただ一つ、源石を除いて。


ENDING1-PART4「星々の如く」

先2つと同様、こちらもIF世界線のストーリーであると思われる。他の世界線においてマゼランは「門」の発見時点で生存しているのに対し、「星々の如く」では「門」に辿り着くことなくマゼランは死亡しているからだ。(死亡という表現はやや語弊があるかもしれないが)

探索の対象となる地域が既にサーミからインフィ氷原へと移っているようなので、時系列としては「門」の発見前かつENDING1の直後あたりの時期だと思われる。

「樹影にて眠る」の時点で始まった氷原探索ブームはさらに加速し、数多くの探索隊がサーミを越えインフィ氷原へと足を進めていた。マゼランも引き続き探索を行っていたものの、ある回の探索において彼女以外の全隊員が道半ばで倒れることになる。

最後の一人となったマゼランはなんとか自我を保っていたものの、傍から見るとただの黒い影でしかなくなっているほどに強く侵食を受け、半ば崩壊体と化してしまっていた。しかしそれでも、かつてマゼランだった影は北を目指して進み続けた。

だけど、警告があろうとなかろうと、そして、どんな危険があるのだとしても、あたしたちは結局———前へと進み続ける。

「星々の如く」より


補足

各ENDINGはどれが正史でどれがIF世界線なのかわかりづらくなっているが、個人的な見立てではENDING1~3のそれぞれPART1,2,3とENDING4の全てが正史、そしてENDING1~3のPART4がIF世界線であると考えている。というのも、前者はそれぞれで矛盾する内容がなく時系列的にも連続した内容に見えるからだ。後者がIF世界線である理由については個別の項目で述べた通りである。

ENDING1~3のPART4がIF世界線であることはほぼ確実であろうが、ミヅキローグライクがそうであったように全ての内容がIF世界線である可能性も否定できない。エンドフィールドをIF世界線の物語として描くため、その始まりとなるこの一連のストーリーをIF世界線として描いた——という見方もできるだろう。しかしどちらにせよ現状では真偽を断定するすべが無いと言わざるを得ない。



判明した情報

ここからは、コンテンツ追加IIで判明した情報について箇条書き形式でまとめていくこととする。

①「門」は一つではない

END4にて探索隊はフェーンホットランドにて同様の「門」が存在していることを発見した。「門」が複数存在していることが明らかになったことで、逆説的に「門」はどこにでも接続できるという訳ではなく、基本的には同じ「門」同士でしか接続できないということも判明したと言えるだろう。

だが次の瞬間には、灼熱の砂漠に立っていた。あなたの背後にあるのは、氷原の巨大な「門」と同じ造りでありながら、砂嵐によって完全に侵食された構造物だ。

「探索者の小さな一歩」より


②「門」は空間だけでなく時間の移動も可能

個人的に最も重要だと感じているのがこの項目だ。先程説明したように、現在のインフィ氷原にある「門」は千年前のフェーンホットランドにある「門」へと接続されていた。

これは文字通り現在から過去への移動が可能であるというだけでなく、未来における「門」から現在時空の「門」に対しても接続が可能なことを意味している。極端な例えで言えば、テラに未来人がやってくる可能性もあり得るというわけである。

現在から過去に干渉できることは同時に、未来から現在に対しても干渉できるということなのだ。現在から未来に対して接続できるかは定かではないが、この事実はある言葉を想起させる。

「過去/現在/未来、それらの間に違いはない」
これはサーミローグライクの中で幾度となく語られてきた教示だ。

それらは当然のようにそこに存在していた。
過去というのは、現在でも未来でもあるのだ。
ゆえにこそ、それらはかねてより/今まさに/これから先 そこにあるのだ。

インタビュー記録「別れ」より

長らくその真意は不明であったが、「門」により過去と現在と未来が繋がっていることが明かされた今では、その意味も理解できる。

ただし、SF作品などによくありがちな「過去に干渉することで現在は変えられるのか」「繋がっている先は同じ宇宙(世界線)なのか」といった疑問は依然として残されたままであり、異なる時代間での移動がテラの未来にどのような影響を与えるのかは未だ計り知れない。


③崩壊は「門」からのみ現れるわけではない

END3PART4では、「門」を完全に解体したにも関わらず崩壊と悪魔の脅威が去ることはなかった。

先述の通り「門」がインフィ氷原以外の場所にも存在していることを考えるとこれは至極当然ではあるものの、たとえ宇宙に存在している全ての「門」を解体してもこの状況が改善することは無いと思われる。

というのも、崩壊は半ば不可逆的な現象であり、元凶である「門」がなくとも一度現実に侵入した崩壊は簡単には消えないからだ。これは推測になるが、保存者が「星々が崩落する音」と発言していたことから、テラの外の宇宙には星系がまるごと崩壊に飲み込まれている領域も存在しているのではないかと予想される。

その性質については冒頭で述べた通り動画を参照していただきたいのだが、崩壊は知性体の認識により現実への侵食を拡大させる。ゆえに「門」を経由せずとも、既に崩壊現象が進行していると思われるテラ宇宙では、あらゆる場所において崩壊が発生しうるのである。

一方で「門」以外から悪魔が出現するかどうかは不明である。

④ケルシーは「門」を用いてテラへやってきた?

ENDING4のPART3にて、ケルシーが初めてテラにやってきたと思しきシーンがわずかに描写された。

単に何らかの理由があり「門」を訪れていただけの可能性も存在するものの、現状ではケルシーは「門」を使用してテラへとやってきたと考えるのが妥当だろう。

⑤ルガサルグスとハランドゥハンの真実

これまでの情報では「古のサルゴン王とナイツモラのハガンが同盟を結び、南征の果てに悪魔の脅威を排除した」とされてきた。

「古代のサルゴン王と強大なケシクは同盟を結んだ。」
「悪夢のハガンは人類文明がいまだ探索したことのない土地の征服を決心した。」
「それは偉大な出来事であった。サルゴン文明が根を下ろす国土にあえて足を踏み入れようとする人外の脅威は完全になくなった。」

WD-8「大雪来たれり」より

だが今回、黄金の都に迫るナイツモラを待ち構えるルガサルグスの様子が描写されたことで、実際には両者は戦争状態にあったことが判明した。恐らく「世紀の一戦」に水を差した悪魔を二人が協力して討伐したことが歪曲されて後の時代に伝えられ、いつしか両者が同盟を結んでいたことになったのだろう。

彼方からの征服者が徐々に王とへ近付く中、臣下たちはずっと、王が己とハガンのために用意した前代未聞の一戦に異議を唱え続けていた。

「未来の始まり」より

※※※追記※※※

「ルガサルグスとハランドゥハンが戦ったことと、二人が同盟関係にあったことは矛盾しないのではないか」とのご指摘を頂いた。

これはまさにその通りで、敵として出会ったからといってその後もずっと敵同士だったと判断したのは早計であった。シージyモジュールのテキストでは以下のように触れられている。

ガウェインはかつてルガサルグスと共に、今ではフェーンホットランドと呼ばれている戦場に馳せ参じたことをかすかに覚えている。
血気盛んな男を背負い、隣を走るナイツモラのハガンと共に、遠方の風砂目掛けて突撃していった時のことを――

「誓い」より

先述の内容も踏まえると「ルガサルグスとハランドゥハンは、初めこそ敵として出会ったものの戦いの中で意気投合し、同盟を組み南征を行った」と考えるのが妥当だろう。

この場を借りて追記前の誤りを謝罪させていただくと共に、情報提供に感謝を申し上げる。


⑥源石は崩壊の侵食を受けない

END2PART4にて、源石で置き換えられたサンタラの「目」は、完全に崩壊に飲み込まれたテラにあって唯一真実の世界を観測し続けていた。黒く塗りつぶされた大地に眠る源石も同様に残存していたことから、源石は崩壊による侵食を受けず、一切の影響を受け付けないことが明らかとなった。

私がかつて投稿したこの動画で「源石は崩壊から宇宙の情報を守るための情報保存装置ではないか」という仮説を建てたのだが、この性質を踏まえるとその推測もあながち間違いではないように思えてくる。

動画の引用というか宣伝ばかりで申し訳ないのだが、興味のある方はご覧いただければと思う。




考察

※以下の内容は個人による考察要素と未確定の情報を多分に含みます

「門」とは結局のところ何なのか

「門」は先史文明によって造られた、時間と空間を往来できるワームホールであることは、数多の記述から明白であり、もはや説明するまでもないだろう。(造られた目的については未だ謎に包まれているが)

しかし、「門」が人類の希望であるか、はたまた災いの元であるかを考えるにあたって「なぜ『門』が別の『門』に接続されるだけではなく、悪魔が現れる(荒域に接続される)場合もあるのか」という疑問は避けては通れない。

これまで見てきた通り「門」を起動すると、END4における初回の起動実験のように同じ宇宙に接続されることもあれば、END3の最終実験やクレイズセオンが出現したときのように明らかに荒域かそれに近しい空間に接続されることもある。この差異を明かさないことには、「門」の本質も見えてこないと言えよう。

さて、ここで家具「未来」の説明文を見てみよう。

ここで重要なのは「深淵と探り合う瞳」という一文だ。ここで言う「深淵」は悪魔ないし荒域を指していると思われるが、実は似たニュアンスの文章がローグライクの中でもう一か所登場する。
以下は6層表の強化版ステージの説明文だ。

リターニアの女帝グリムマハトは悪魔のことを「虚空の中の目」と
表現していたため「空虚な目」は悪魔のことを指していると思われる

察しの良いドクターであればもう勘付かれたかもしれないが、「門」が正常に稼働し、他の「門」に接続できる場合「門」が恐らくは荒域に接続され、そこから悪魔が出現する場合の条件の差異は

"深淵"(≒荒域、悪魔)がこちらを観測しているか否か

だと思われる。

深淵が、悪魔がこちらの次元を観測していない(=目が閉じられている)時にのみ、この「門」は同じ宇宙へと接続する(=果ての向こうに広がる秘密を垣間見ることができる)ことができるというわけだ。

「アルゲスの話では、門はまた目でもあり、人々はそこからもっと遠くを見ることができると——」

「未完成の運命」より

同じ条件での実験にも関わらず接続先が現実/荒域で安定していないのは、外部的な要因、つまりあちら側からの観測の有無が影響していたからなのだと考えると納得がいくだろう。

なお、実際に"深淵"が指す対象の中には巫王やケルシーの言う「造物主」も含まれている可能性が高いと思われる。悪魔や崩壊はただの現象に過ぎず、意志を持った存在ではないからだ。ただ今回に限っては説明を簡潔にするため、仮に”深淵"=悪魔、崩壊とさせてもらった。


ルガサルグスとハランドゥハンの前に悪魔が現れた理由

END4にてマゼランは自分たちがクレイズセオンの襲撃を受けた時のことを思い出し、「ルガサルグスとハランドゥハンは『門』から現れた、クレイズセオンと同類の悪魔を押し返したのだ」という結論へと至った。のだが、正直なところこの思考過程はあまりにもコンテクスト(それもENDING4のではなく、サーミローグ全体の)に依存しており、殆どのドクターにとっては理解不能な論理にしか見えないだろう。

そこで彼女は、何年も前に人々が果てなき氷原の果てに初めて到達した時目にした破滅と、彼女のもとに降ってきたあの融雪を思い出した。
二人の支配者が成し遂げた最後の偉業が何であったかを、彼女は理解した。ジャングルを砂漠に変えた恐ろしいほどのエネルギーは、両者の争いによって生じたものではない。彼らは、クレイズセオンと同様の、「門」の向こうからやってきた敵を追い返したのだ。

「終始」より

以下でその点について考察を行っていくが、前提としてルガサルグスとハランドゥハンが悪魔と交戦したのは、マゼランら探索隊がフェーンホットランドに足を踏み入れるより以前のことであるという点だけ覚えておくと良いだろう。(「悪魔との交戦によってフェーンホットランドは砂漠と化した」と言われているが、同隊が転送された際には既にフェーンホットランドは一面の砂漠であった=悪魔との交戦は既に終了していた)

マゼランの論理過程を理解するためには、千年前のフェーンホットランドにてあの両英雄の前に悪魔が出現した際の状況とマゼラン一行の前にクレイズセオンが登場した際の状況が非常に類似している、という背景があることを理解する必要がある。

END3「深淵からの一瞥」にて、「門」へとたどり着いたマゼラン一行は
悪魔クレイズセオンの襲撃を受けることとなった。

双方の時代の特筆すべき共通点は、ルガサルグスとハランドゥハン、そしてマゼランはそれぞれ砂漠/氷原の門を人類史上初めて発見したと思われるという点だ。

0010年におけるサルゴンの地図にはまだフェーンホットランドが存在せず、「未開の地」とケルシーが言っていたことから、かの二英雄が初めて砂漠の「門」を発見したであろうことはほぼ確実だ。同様に、氷原最奥の「門」を最初に発見したのはマゼランら探索隊である

重要なのはこの初接触という部分で、END3にてクレイズセオンが出現した理由は崩壊の根源たる「門」への認識に反応したからであると考えられる。(この点については詳しくは冒頭リンクの動画で取り扱っている)
そうなると必然的に、ルガサルグスとハランドゥハンが「門」を発見した際にも同様のことが発生し、悪魔が出現したと考えるのが道理だろう。

マゼランはクレイズセオン襲撃時のことを思い出したことで上記の類似点に気づき、ルガサルグスとハランドゥハンの偉業の真実へと思い至ったのではないだろうか。


何故破損しているはずの「門」が起動したのか

前項の考察で解決されていない点が残されていることにお気付きだろうか。そう、フェーンホットランドの「門」もインフィ氷原の「門」も、発見時には破損して機能停止している状態にあったはずなのだ。数万年、あるいは数千万年にわたる風化を考えれば当然であり、破損しているからこそEND4ではブラックホール協定が結ばれたわけである。

にもかかわらず初接触の際に「門」は起動し、その中からは悪魔が出現していた。これはどう考えてもおかしいと言わざるを得ないだろう。
ということで、ここからは破損して機能停止していたはずの「門」が起動していた理由について考察を行っていく。

まず当該シーンを振り返っていきたいと思う。マゼラン一行がはじめて「門」に辿り着いた時には「門」は完全な状態で起動しており、そこからクレイズセオンが出現した。その後門が稼働停止すると同時に完全な状態だったはずの門は一部が破損している状態へと変化していたのである。以下はその際の画像であるが、門の右側上部に注目していただきたい。

発見時:欠損なし
通常状態:欠損あり

繰り返しになるが、マゼランたちが発見するよりも前の時点では、インフィ氷原の「門」は破損している状態で長年放置されていて起動不可能だったはずだ。にもかかわらず、発見時には完全な状態で起動していたというのは大きく矛盾している

「門」は元々壊れていた可能性が高く、「アンマーが突っ込んだときに壊れた」という線はさすがに無理があるため今回は棄却する。

以前まではこの謎を解き明かすに足る十分な情報が無かったのだが、今回追加された6層裏のイベント「探索者の小さな一歩」でその真相がついに明らかになった。

つまり、接続元の「門」さえ稼働できれば、接続先の「門」が機能停止しているかに関わらず接続は成立するようのだ。(END4の例でいえば、「接続元」はインフィ氷原側の門で「接続先」はフェーンホットランド側の門にあたる)

これは推測になるが、接続の「門」周辺の現実性を低下させることにより接続の「門」の状態が一時的に接続の「門」にも反映され接続が成立するが、低下した現実性を維持できず"希釈"されることですぐに元の状態(破損している状態)に上書きされてしまうがゆえに、破損した「門」への接続は短時間しか成立しないのだろう。

まとめると
接続を開始する側の「門」が完全な状態であれば、接続先の「門」は破損していても構わない=破損している「門」が起動している時は、別の時空の「門」から接続が行われている
ということだ。

結論としては、マゼランたちが氷原の門に初めて辿り着いたとき、そしてルガサルグスとハランドゥハンが砂漠の門を発見したときに破損していて本来起動しないはずの「門」が起動していたのはその存在に対する認知に反応した別時空(ここでは荒域)の悪魔が接続を行ってきたことで稼働したというものになる。





あとがたり

END4PART3について

ご察しの通り、END4PART3については皆目見当がついていないというのが正直なところだ。

何らかの暗喩であることは明らかだが、「ゴーレム」と「岩角獣」、「飛行機」と「子供」がそれぞれ何を指しているのか、私の頭では理解できなかった。もし理解できたドクターがいればぜひ教えていただきたい。


平行世界との接続について

また、考察が複雑になりすぎるため今回は「門」が平行世界(IF世界線)に繋がる可能性については考慮しなかった。しかしながら、平行世界を観測する先史文明の遺物が既に登場しているためこの可能性を完全に捨て去ることは難しいだろう。

ミヅキローグ「一瞥」にて登場した平行世界を観測する石碑

とはいえ、あくまで現在のアークナイツにおけるIF世界線は「ありえたかもしれない世界」という扱いであり、直接的にストーリーに関わってくるような様子は見られない。平行世界の存在は重要ではあるものの、当面はそこまで意識する必要はないかもしれない。


さいごに

できる限りゲーム内の記述を元にはしているものの、特に考察部分は推測を前提に推測を重ねたような内容になっているため、本記事の考察がそのまま正解であるということはまずあり得ないだろう。氷原探索を終えたドクターの方はぜひご自身でも考察を行っていただければと思う。

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