見出し画像

創造的復興に向けた1歩

石川県知事会見

 石川県の馳知事が記者会見で復興に向けた施策を発表しました。きめ細かな生活支援が必要であるため『復興生活再建支援チーム』を発足させることになりました。前日の災害対策本部員会議で復興生活再建支援チームの具体的な部分を詰めるよう県職員に促していました。

石川県知事会見

復興生活再建支援チーム

 在宅避難者や自主避難者、広域避難者も含めて、県民の生活再建に向けた新しいサービスを提供していくことになります。
 わざわざ『復興生活再建支援チーム』という命名をしてまで活動する理由は、県庁職員には平時から続けている業務があるため、その仕事をしながら復興の仕事をすることになるため、縦横での仕事の切れ目を無くすため、情報が行き場を無くさないようにするため、明示したようです。


 組織図は下図のようになっています。
 重要なことは、情報を把握した上での支援ということが組織図からも伝わってきます。
 世帯毎に構成や住まい、事情がことなるため一律で対応するのではなく、多様なニーズに対応していくということを、災害対策本部員会議でもしばしば述べられています。


 仮設住宅の整備に向けては、1月21日の災害対策本部員会議51分40秒あたりから具体的に知事の考えを述べています。
 住まいの候補地としては、いかのような順位を示していました。選択肢の幅を持ち、マッチングすることが重要であると述べています。

  1. 誰もが自分の住んでいた家に戻れれば最高

  2. 自分の住んでいたエリアの仮設住宅が嬉しい

  3. 数の限りがあるとしたならば、ちょっと離れたとしても自分が住んでいたエリアに近い方が良い

  4. 隣接市町

  5. かほく市、内灘町、津幡町、金沢市など、ちょっと離れるけれど、自分の元居た家に所の方が良い

  6. みなし仮設住宅

  7. 広域避難

  8. 県外

 自宅(在宅)避難者、車内避難者、広域避難者、様々なデータを把握していく必要がある。高齢者や乳幼児、職場、学生といっても小中高などで対応が異なる、といった個別性についても繰り返し述べています。


まずは避難所ゼロ

 生活再建に向けて、まずは避難所をすべて閉鎖、すなわち避難者を仮設住宅などに送り出すことがこれから数か月の業務になるでしょう。

 ただし、状況は厳しいと思います。
 コンテナハウスやトレーラーハウスを持ってきて短期間で住宅が整備されるとしても、電力と水道が無ければ生活できません。


インフラの仮復旧がマイルストーン

 いま描けるロードマップとしては、電力と水道が復旧するというマイルストーンがゴールデンウィーク前、避難所ゼロが発災半年後の6月末、といったところではないでしょうか。

 お仕事をされていない高齢世帯の仮設住宅については取り急ぎ行政主導で進めても仕方ないと思いますが、現役世代、生産年齢人口に対するケアが難しいと思います。
 珠洲市や輪島市は震災前から電車が通っておらず、自家用車やバスで移動するか、学生であれば下宿先を探して通学していました。
 生活道路が寸断されたり片側通行などの規制を受ける中で、どこで暮らすのが家族にとって幸せなことなのか、それぞれに考えが違うと思います。


仮設住宅は2~4年

 阪神淡路大震災では概ね2年で応急仮設住宅から恒久住宅への移行が進みます。
 建設にかかる時間よりも、コミュニティをどう維持するのか、被災者の意向調査などに時間を要します。

【参考】兵庫県県土整備部:阪神・淡路大震災に係る応急仮設住宅の記録(H12・8)


生業(なりわい)

 長期的な視点での生活支援には、職が無ければなりません。生活に必要な企業なども必要になります。

 生業については前日の記者会見の55分20秒あたりから述べていた内容が、記者会見でまとめられていました。
 生活・生業再建の支援パッケージを政府がまとめる予定ですが、そこへ石川県のニーズを伝えるための準備を進めるように指示しています。
 政府の当初予算は1,000億円ですが、創造的復興に向けてはより大きな予算を見込んでいると石川県では考えています。

 創造的復興では中小企業、農林水産業、観光産業、伝統的工芸品等の産業など能登らしい、能登の基盤を活かすための絵を描いていく必要があるとしています。
 ゆえに、1,000億円しかないからという考えではなく、数兆円の資金の投入を見込んだ絵を描き、まずは1,000億円の支援パッケージについて考えていこうではないか、予算手当されないものがあっても仕方ないではないか、といった前向きな馳知事のコメントが出されています。

【参考】石川県(なりわい再建支援チーム)


豊かさと安全保障

 『豊かな生活』というものは個人の感覚なので、能登半島での生活にどのような豊かさを求めるのかはわかりません。

 移住者を増やす施策をとるのであれば、安全に係る保障を示すことが、ハードルを下げることになるのではないかと思います。
 もちろん、これまで住んできた人へ安全を示す事が優先されます。

 今回の避難生活を見て、過酷さを知った国民は多く居ます。
 被災者(当事者)に限らず、同じような避難生活はしたくないと思ったと思います。
 移住を検討する者に対し、災害時の収容先確保や搬送について『令和6年よりアップデートした』ということを明確に伝えることで『よし、それなら移住しよう』となる人が居るかもしれません。

 おそらく金融機関や行政機関などが市内1カ所に集中し、必然的にコンパクトシティが形成されると思いますので、その近くに住めばある程度の生活レベルは保てるのではないかなと思います。

 完全に外野の人間ですが、創造的復興の在り方については、これからも(勝手に)検討していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?