この人はきっと天才かアホなんだと思った
私は、ものすごく嫉妬深い。
そりゃ〜〜もう、ものすごく。
才能を持っている人、お金持ち、美人、人気のある人、なんならジャニーズにだって可愛い猫ちゃんにだって嫉妬する。
私にはないものを持っているからだ。
初めて岸田奈美さんを知ったのは今年の初夏の頃だったと思う。
コロナで仕事がなんだかうまく回らないのでは?の不安がものすごくて、家から出てはいけない、罹ったら死んでしまうのでは?の閉塞感と息苦しさのあった、光の見えない頃だった。
ツイッターでバズっている人がいた。
その時の記事は
「自由が丘で30分の間にケーキ屋近くにないか?と聞かれてネットワークビジネスだった奴」だった。すぐさま読んでみた。
この人は、アホなのか(関東的にはバカという)天才なのか、どっちだ?両方か?
あ、この人やばい人だ!瞬間思った。
一瞬で目と頭を持っていかれた。文章の運びが独特でスイスイ読み進んでしまう。
ああーーー!目に浮かぶよ!あなたが勧誘されてるところが目に浮かぶよ!だめだよ、ついてっちゃだめだ!
思わず心で応援してしまっている自分がいた。
この面白い文章を書く人は岸田奈美という人らしい。
この人、超やばい。ヤバすぎるったらない。やべえ、こいつムカつくんだが。
おばさんになったからなのか、若い子の若さと美貌、さらには才能が眩しいせいかもしれないが要注意人物としてツイッターでマークすることにした。
岸田奈美、というのか。
心の反発を感じながらも、ずっと記事を読んできた。いちばんのお気に入りは自由が丘のやつ。そんな折に初めての著書を出版するという。
え!!!まだ本を出版してなかったの!?
それは絶対に読まなくては!と思っていたら、なんとAmazonでは発売日に売り切れていた。
みなさんお目が高いですこと!早く読みたいのに!
再販されるまで待てなくて、さらにはサイン会に仕事で行けなかったのが悔しくてメルカリでサイン入りの本を買ったわよ。
さらには保存用、外持ち歩き用と買った。
嫌いなのに大好き、あれ?これは、大ファンってやつなんじゃないのか?
ひっさびさの30年以来だ、誰かのファンになるのって。
中学生の時に好きだったアーノルド・シュワルツェネッガー以来だ。
一気に読んだ。なんだ、これ!この疾走感と語彙の玉手箱ってばよ!
私自身は、セラピストをやっていて、100%ネットでのブログとメルマガで集客をしているんだけど、奈美ちゃんの文章を読んで惚れ込んでしまった。
なんだよ、「ジェネリック綾鷹」って!
「ハリウッドのいい女をうろ覚えで演じてみるって」って想像してしまうではないか!
他にも思わず「ブフォッ!!」と飲んでいたコーヒーを吹き出してしまう言葉が
ガンガン出てきて楽しいったらないし、面白すぎるやろ。
こいつは、この世にない言葉を生み出す天才か?
アホなのか?
ただ単にあざといのか?
全部だ!
もうね、負けた、負けたよ。
うん、認めるよ。
これからどんな言葉が飛び出すのか釘付けになっちゃったもん。
こいつ、ずるいやつだな、
うん、すっげえずるくてうらやましいやつだ。
嫌いだったはずだが、それは気持ちの裏返しできっと
私もこういう文章を書きたかったんだ。
リズム良い文章、
テンポと読み手に集中させるチカラ、
思わず想像してしまう描写力に
「次にこの人なんて書いてくれるんだろう?」
と次へ次へと読ませる文章の連続技にすっかりハマってしまった。
岸田奈美という女性の描く文章の世界はこれからの新時代の世界だ、と思った。
読書フェスのBOX購入者だけの講座、すっごいよかった。
実は本に蛍光ペンを引くことやペンで書き込むとか、私の人生ではあり得ないことだった。なぜなら、いつかこの本は売らなくてはいけない、と無意識に思っていたから。
私にとって、身の回りにあるものは売れるもので、本はその中でもお金に匹敵するもの。それに書き込むこと、そのことの衝撃も凄かった。
やってみたら、すっごく楽しいじゃん、これ!書き込むことでもっと自分の本になる、本の世界と言葉を自分に輸入できるじゃん!
読書感想文についても、どうしても嫌な気持ちが拭えなかった。
奈美ちゃんの講座で話してくれた「大人なんやから何書いてもええ」って言葉、やだもう!海割れちゃう!私の心のモーセかと思った。
良い成績を取るために、先生に気に入られるために本心でないことを書かなくてはいけないことが、物凄いストレスであったことに気づかされた思いだった。
私は常に怒りと悲しみの入った紙袋を隠し持っている。
大事に隠しておけばいいのに、
紙袋だから時々中のものが漏れ出てくる。
そんな時がある。
私は、母に虐待されて育った。
だから、愛されて育った人が苦手というか
手の届かない存在で憧れてしまう。
それと同時に願っても手にすることができないから
憎んでもしまう。
お金をどんなに積んでも得られないからだ。
だけど、やはりこれがいちばん欲しいんだとも思った。
岸田奈美は私の心をえぐる、えぐるんだ。だけど、そのえぐりはほろ苦くて甘い、痛みがあるような気がしたが、それはどうも私の思い込みだったようだ。
私が母に理解されたい、愛されたい、愛したいと願っていた気持ちと関係が、
この本の中にあった。
それが自分のものでなくても、
なんだか幸せで胸があったかくなる気持ちがした。
わんわん泣いた。自分のことじゃないのに。
最愛の父、最愛の母、最愛の弟、苦難が訪れた時に苦しかっただろうし、どうしたらいいのかわからなくて辛かったと思う。それは愛を失うことが怖かったからだ。だけど、その渦中の嵐の時に光を暗闇で探し続ける強さをこの人の中に見たんだ。
それはなんと、頼もしくて力強いのだろう!
っていうか、早く2冊目出してちょうだいよ。あ、もしかしたら年明けとかにバン!って売っちゃうんじゃない?そうなら、書います、書います!
奈美ちゃんのおかげで世界が広がった。ありがとうね、奈美ちゃん。
あ、キナリ読書フェスをもっと楽しむ記念BOXに入ってたこれ、
この蛍光ペン超いい!
おかげでぺんてるさん、この5本セット買っちゃったわよ!
上手い文章書きたいな、テクい文章書きたいな
どうしたら面白いこと書けるかな、と思って最後の最後まで唸っていたけれど
ごめん、ダメだ。正直に書く。
岸田奈美おそるべし。日本文学界にすごい刺客が来たぞ、殺されるぞ、と思った。
私の捨てるべき心を刺しに来た。
それは実に心地よくショックで
高原の夏のそよ風のように私を生まれ変わらせてくれたよ。
愛しかない、愛だよ、愛。やべえ、やべえよ。この人に惚れた、惚れたぜ!
良いものをたくさん教えてくれて、ありがとう。愛と感謝でいっぱいのこの本、擦り切れるほど読ませてくれてありがとう!
奈美ちゃんフォーエバー!
気がついたら、読書感想文じゃなくって、奈美ちゃんへのラブレターになってる。イチャモン付きの。まあ、いいか。
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