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33歳、独身、彼女なし。でも歳は重ねる。非情。

生きていても仕方ないと思った。もう何をしてもダメだと。今まであらゆる数のアルバイトを応募してみたけど、結局受かったのはほんの一握りだった。土日も出られますと言ったのに。いいねと言われたのに。全てそれは嘘だったようだ。そして受かったバイトも、周りの雰囲気に馴染めずにフェードアウトしてしまった。ちゃんと『辞めます』と声にできたのは一握りの中のひとつまみくらいだ。こんなにも人との関わりが持てないのかと、自分があまりにも惨めで、情けない。

誕生日を迎えた。33歳になった。学生時代は誕生日が近づくとソワソワしてしまい、なんとも言えない気持ちになった。しかし誕生日当日にそれを消化するが如く、いろんな人から「おめでとう」という言葉と共に大なり小なり贈答品を頂くことがあった。
しかしもう30代。結婚もせず彼女すらいない。親とは仲が良い方ではあるが、たまにメッセージを送り合う程度だ。誕生日なんて、誕生日付近まで忘れているのに、いざ前日になると急に思い出してソワソワしてしまう。今更誕生日を祝ってほしいとは思わない。祝ってくれるならありがたく受け取るが、わざわざ報告するほどの気力はない。30歳を過ぎた頃からそういう思いが強くなった。ただソワソワして終わるだけ。バイト先の後輩の女子から『なんか今日変ですね』と笑われてしまった。

同級生は次々結婚し、子どもがいる。それが1番の幸せかと問われればそうでない場合もあるだろうが、自分にとっては輝いて眩しくて直視ができない。惰性で繋がっているFacebookを下から上にスクロールする速度もどんどん上がってきた。手首のスナップも効いている。学生時代はこの中に自分も紛れ込んで、誰かの目を輝き潰していると思っていた。どこで道が分かれてたのか。

もっといろいろなことが待っていると思ってた人生。特に山もなく、谷もない。なにもない。強いて言えば、泥濘に足を突っ込み、ひたすら足踏みをしていなければ沈んでいくように、もがいてもがいて生きている。他人から見たらその姿は滑稽そのものだが、生きるために必死なだけだ。そうしないと死んでしまう。いつかこのことがバカらしくなり、死んでも良いと思ってしまわないかやや不安ではある。今のところは大丈夫。この先このまま歳を重ねていくだけの生活が怖い。

できればこんな思い、したくなかった。でも一年過ぎるとまた歳を重ねる。歳を重ねるごとに足に絡みつく枷が増えていく。どんどん足取りも重くなり、いつかは歩けなくなってしまう。そうなる前になんとかしたい。まずは何から始めようか。とりあえず、転んで突っ込んでしまった田んぼから抜け出すことから始めようと思う。遠くで後輩の女子がこっちを見て笑っているので。

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