私は、◯◯◯のヴァイオリニストで在りたい 1 ~ 横山令奈にまつわる話
ヴァイオリニストの横山亜美です。初めましての方は初めまして、知ってくださっている方は、毎度ありがとうございます。
ここ数週間様々なことがありそれについて思うことを書き出したい、
以前から私が経験してきたことについて投稿をしたい、
そのような思いから今日からnoteに続々と投稿していきたいと思います。
今日は私のお話を始める前に、まず姉の話から始めていきたいと思います。
この記事を読まれている方の中には、きっと私の姉 横山令奈のことを知ってくださった関係でたどりついたという方もいらっしゃることでしょう。
そう、彼女は二つ上の私の姉です。
クレモナの大聖堂のそばにある鐘楼の頂上での演奏を4月3日に
そして4月16日にクレモナの病院の屋上からの演奏をしました。
どちらも本当に素晴らしい演奏と映像とで、日本にいる私は「あぁ、ついに姉もこれで、やっと多くの人に知ってもらえるんだな」と感じました。
長年、遠く離れた地で、クレモナという街に密着して努力してきた彼女に対して、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
同時に、少し複雑な思いになった部分もあります。
こうして姉に向けて、一気に光を向けられ、評価してくださっている日本の皆様に対して、妹としては本当に嬉しく思い、誇りに思っています。
ただ、思うんです。
いかにクラシック音楽に携わる演奏家が、世に出るというのが難しいのかということを。そして、あれだけ頑張り続けている姉に、今までなぜ光が向けられなかったのか、と。
姉は、パートナーであるピアニスト ディエゴ・マッカニョーラと、チェリストのアレッサンドロ・コピアとで「トリオカノン」というピアノ三重奏団(小編成アンサンブル)を2012年から組んで、活動し続けています↓
彼女たちが結成してまだ1年くらいの頃に、妹の私は休学を終えて、父を3ヶ月だけ日本に残し、卒業試験を受けにイタリア クレモナに戻ってきていました。
最初期のトリオカノンの演奏を、リハーサル風景を通して、見て、聞いておりました。
そして私はその時からトリオカノンの「自称・ファン第1号」と言っています。
3人それぞれが個性のある音色を持ちながら、一体となって音色が溶け合い、上から音が降り注いでくる、そんな片鱗を感じたのが、最初の印象でしたし、アンサンブルが大好きな私にとっては、とても魅力的で将来性を感じる演奏でした。
もちろん今は、あの時よりさらに、驚くほどにグレードアップし、毎回聞くのが本当に楽しみでならない3人なのです。
あれから地道にずっと活動をしていた姉たちトリオカノン、
実は2017年の冬と、2019年の春に、来日してくれています。
2017年12月
2019年4月
2017年と2019年、特に4月26日の公演チラシを見ていただければ一目瞭然ですが、全体のプロデュースやオーガナイズ、そして4月26日の演奏は私も関わっておりました。
トリオカノン 終演後の記念写真(2019.4.24)↓
4月26日 トリオカノンの3名をソリストとして迎え、私がコンサートマスター(ミストレス)を務めるセレーノ・チェンバーオーケストラによって共演を果たした思い出深い公演。ただし私は姉に少し隠れてます。笑↓
今年4月から、姉がこんなに広がっていくとは、思いもしていませんでした。
ただただクレモナのことを思って演奏をしていた姉が、ここまで世界的に報道されるに至り、驚くばかりなのですが、私個人として、願うことがあります。
彼女はれっきとしたクラシック音楽を演奏する素晴らしいヴァイオリンプレーヤーであり、異国の地で10年以上もずっと研鑽を積み重ねてきた努力家の人です。そしてただソロをしているだけではなく、トリオカノンの仲間たちとで繰り広げる音楽は、さらにすごいのです。
時間やお金、多大なる犠牲を払いながら、3人で継続できるように頑張ってきています。私は、妹として、1ファンとして、そして同じヴァイオリニストとして、何年も日本からずっとそれを見てきました。
報道を見て横山令奈のファンになったという方にこそ、お伝えしたい。
彼女は1ヴァイオリニストとして、ソロを演奏しても素晴らしい。
けれど、さらなる本領は、トリオカノンとして演奏するときに、より発揮されるのだということを。
コロナウィルスによって、今はみんな離れ離れになり、一緒に弾きたくても弾けないという辛さを、トリオカノンは抱えています。その3人がそれぞれでパートを撮って、合わせた動画が4月21日に公開されています。このテレワーク動画はある意味驚異的です。音楽的な伸び縮みを離れ離れなのにできている。長年ともに弾いてきているからこそ、実現できる動画です。
いつか、日本に盛大に、姉だけでなく、この3名揃って、みなさんに迎えてほしい。
また、もっと世間から注目されるべき素晴らしい音楽家が、海外のみならず、日本にも沢山いる。そのような若手音楽家たちをこれからは積極的に応援したい、と姉は話しておりました。
以上、初回にして、姉のことばかり書きましたが、次回、海外で演奏活動をした日本人が日本で活動する難しさについて、また私自身のことについて、さらに触れていきたいと思います。