58分の1〔【嘘大会参加作6】僕、本名は佐村河内守と申します。本当は文筆家ではなく、作曲家です。 へのお礼作です〕
なら、私は奈星丞持です。
ゆかりちゃんが私の妻だ。
後悔してもおそーい!
なぜなら私が!
この私が!
ゆかりちゃんをとめどなく幸せにするからだーーーっ!!
やめろおおおおお!
ガバッと起きてから目が覚めた。
冷たい汗をかいている。
ああ、嘘でも他人になるなんて、だめだだめだだめだ!
僕にはゆかりちゃんだけなんだ。
横のぬくもりに手を添える。
うーん…
ちょっとうめいてこちらに寝返る。
あろうことかその顔は、
佐村河内守のものだった!
うわあああああああ!
もう一度ガバッと起き、今度こそ目が覚めた。
やっぱり冷たい汗をかいている。
隣のぬくもりを見やる勇気はなかったが、頑張って、見た、良かった、ゆかりちゃんだ。
安心した。
けど、今度は背後から声が。
どいてください佐村河内さん。
私が奈星です!
そう言って男は、立ったまま、にやりと笑った。
それでも地球は回っている