価値基準〔すみかさんへのお礼作です〕



ババーとかじじーって地上のゴミじゃん。
長く生きてるからって偉そうに。
結局徘徊したり暴れたり、ものみたくなっちゃったりさ。
コロナで仕事がなくなっちゃったんじゃなきゃ、アタシ介護職なんて絶対ならなかった。
美女コン、優勝内定してたし。
ヘルパー資格なんて、印象よくするためのアクセサリーとして取っただけ。
まさか実用するなんて・・・
ウィルスのばかばかばかばかばか!

お年寄り大好きなんです

(だいっきらいだよ!)

叡智を分けていただきたいわ

(叡智なんかないじゃん。ゴミなだけじゃん)

優しくしてさしあげたいんです

(やだよ!絶対いや!)

誰があんなしわしわ人種になんて!!

でも同僚は本気で思ってる人が多くて、話聞いてるだけでうんざりしてくるんだけど・・・

塔村圭吾。

一個下のイケメン。
本気で奴らに親切にする第一人者。
気が知れねーっ!
でもイケメンが、美形が泣く。
かわいそうだって。
だんだんできなくなっていくって。
それでもリハビリ頑張ってくれたりするとさ、もううれしくてさ。



そういうもんなの?




散歩介護。
ただ見守りながら歩く。
歩けるひとは横につき、歩けない人には車椅子を押す。
落ち葉舞う中や、花びら舞う中、黙って歩く。
黙って押す。
今日は藪井原のばあちゃん。
ただただ車椅子を押す。
公園を抜けて、ちょっと高台まで行って、夕陽を背に施設に戻った。


すまないね


聞こえるか、聞こえないかの声でばあちゃんが言ってくれた、初めて。
アタシは人生で初めて目頭が熱くなったけど。


こんなことで心根は変わらない。
変わるものか。
それでも。



散歩の介助だけはちょっと好きだ。


それでも地球は回っている