二次創作なので禁無断転載


ヒッチハイカー~二次創作相棒。薫/美和子目線

※ こんな作品は本家にありません

  これはあくまでも、個人的に楽しむものです。


俺たちの住むセゼーラから、一番近い都市はダフォー。
飛行機に乗れるのはアンマリゼだ。

その日俺のジープ~あれ、今はランクルとかいわなきゃならなかったっけ?どうだっけね美和子~は、ダフォーからセゼーラに向かう、砂漠の一本道をひた走ってたんだが、前方に、シャツ振ってる奴がいて、近づいたら現地の男の二人連れだった。
大きな木箱を二つ持ってた。
XL。
サイズみたいなスタンプの意味を、あいにく俺は知ってた。

どこまで行く。

セゼーラ訛りで聞くと、彼らの目的地はケケンテ。
セゼーラよりさらに奥の、さらに未開の村だった。

セゼーラまでしか行かないが、それでいいなら乗んな。

二人と二つの木箱を後ろに載せて、俺のジープが走り出す。

道の脇に、横転したレンタカー。
パンクで慌ててハンドル切り損ねたのか。
大蛇でも出たのか?


黙って進む。
何か起きるなら十分にセゼーラに近づいてからだろう。
右京さんならどう処理する。
ええい。
俺には俺流しかないよな。


セゼーラの町並み~ったって十五家族しか住んでねーけど~が、見えてきたところで、俺はいきなりジープを止めた。
エンジンを切ってキーを彼方の草むらへ投げた。

ヴァッツ!(てめえっ)

と一人が言って
立ち上がるところを抱え込んで首締めにする。
もう一人が銃かナイフを取り出しかけるのを声高に警告する。


ガダウ!ケンゲマー、グァンデ!(動くな!こいつの首が折れるぞ!)


もう一人の手は、懐から出ない。
俺を撃ってでも行くってか。
でもお前ら…
根本が間違ってるぞ。


それ、アンマリゼの空港で紛失ってされたサーザウィルスワクチンだろ。
二ケース。
二万人分か。
お前らその手で何人殺したかわかるか。

男たちは答えない。
だが二人が明らかに動揺したのは見て取れた。


俺が抑えてないほうの男が口を切った。


金目のものって聞いたんだ。


なるほど。
価値は高い。
けど、おまえら医者か?
そいつは医者が扱わなきゃ、何の意味もないんだ。


注射なら打てる!
おふくろと、妹の分は抜いていいって言われたんだ。


ああ。
こいつらってほんとに…


俺の目から涙がこぼれた。


勉強しろよ。
悪党になるのさえ、今は学がいるんだ。


俺は人質を放した。


その薬、暑いと使えないんだ。
ものすごく低温で運ばなきゃいけない。
おまえら冷凍ボックス、重いから捨てたんだろ。
二万人分のワクチンが、今はもうただの水だ。


男たちは愕然となった。


パリル(嘘だ)


と力なくつぶやき、あとはパリルパリルパリルパリルパリルパリルパリルパリル、パリルのオンパレードになった。


そんでどうしたの。


どうもこうも。
そいつら乗せてダフォーへ取って返したさ。
こっちくる警察と行き合って、

くれぐれもリンチされないように

って念押しといた。


守ってくれるかねえ。


わからん。
俺もう、ただの民間人だからな。
でも中の一人が俺のこと知っててくれて、

サルウィンの為に働いてくれてるセンセイだって。

うふ。
うちの旦那、今はセンセイなんだね。


かっ、からかうんじゃねえのっ!


真っ赤になったうちの旦那を、あたしは誇らしく見守る。
世界から、一日も早くサーザウィルスが消えますように。
ただ祈るしかできない今のあたしたち。
神は今、どこで何してるんだろか。
あたしにはとんとわからない。


それでも地球は回っている