参考提示②
②は猫編
①は犬編です
ここから②
始まり始まりー
新婚旅行だったとは、ぜんぜん知らなかったたま〔『預かり~CとGとD~』裏。その後〕
ああ。
やっとあそこ出られた。
どうしてあんなとこにあたし預けたのよ!
あたしの一挙手一投足ジロジロ見てさ。
あんまり要領よさげな人間じゃないのはわかってたから、いろいろ運んでやったのよ。
毎回毎回嬉しい嬉しい騒ぎまくって、あたしはめっちゃ迷惑だったのよ?
でもま、あたしいなくなったら餌もとれないだろうから?
バカ犬躾てなんかかんかとれるようにしてやったの。
ああー、やっぱうちはいい。
たけしだけでいいのに、何か変なメスもいる。
けど、
とりあえずは自宅!
ゆっくりさせてもらうわ。
夜半
夜半。
さんぽに出る。
猫ドア抜けて。
りかさんはぐっすり眠っている。
公園には、トラ、黒太、まりりん、鈴と、エレンドラがいた。
変わったことはなし。
月の光がきれい。
でもこの辺でも、星はあまり見えなくなってきた。
道を渡る。
ブルルルルって来た『くるま』が通りすぎるのを待って渡る。
酔っ払いがこっち見て、
「にゃー、にゃおん」
って呼ぶけどムシ。
古いアパートの前に出た。
一階の右端の部屋。
小皿におかかが少し。
窓が閉まってる。
漫画家さん、ネームぎりぎりだな。
頑張ってね。
おかかはぐはぐしたら小学校へ向かう。
緩い水道の蛇口から漏れてる水を舐める。
ひと休み。
毛繕い。
あたしはみかん色。
雑種の和猫。
12階建てのマンションの二階。
見下ろしてるペルシアン。
外歩きたいの、って目で、
いつも、いつも、いつも見てる。
うちの子は外知らないから出たいとかないのよ。
飼い主がこないだ言ってた。
あなた猫語わかんの?
何で彼女はいつも見下ろしてる?
外を。
テレビの画面と思ってるわけじゃないんだよ。
大通りから引き返し、あたしの猫ドアがおかえりって言う。
ただいま、りかさん。
きょうはこおろぎしかとれなかった。
ごめんね。
みみちゃん
ルルは先週チャンピオンになった。
いっぱい取材きた。
ペット天国。
ねこざんまい。
カッツhigh。
どうぶつむら。
聞いたことのないところまで。
ストレスだったんだとおもう。
きのう、とつぜん、いなくなった。
猫探しのチラシ角角に貼ろうと思ったら、ママに反対された。
チャンピオン猫よ。
逆に返して貰えなくなるわ。
そうだろうか。
三月ほどして町外れの、おじいさんとおばあさんだけのおたくの庭先で見かけた。
うちにいた頃より毛先がぽよぽよになってたけど、なんかやせいみっていうか、すごみと味が出て、私は今の方がぜったい好きく思った。
みみちゃんとか呼ばれてた。
いいよねみみちゃんで。
あたしは心でさよなら言って、そっとその場を後にした。
あたしは知ってる。
餌はカリカリだけでいいのに、缶もあけてくれる。
おいしいけど、家計、もたなくなるよ?
しゅんくんのランドセルの底から、お手紙みつけたね?
そ。
今日が参観日。
慌てて会社に電話入れてる。
新しい課長さんでよかったね。
前のスパルタやろうだったらきっとクビだよ。
洗剤が切れたよ。
みまちゃんがカラを振る。
帰り買ってくる。
わかった。
みまちゃんは自分でお弁当つくるようになったね。
髪も伸びて、一段とかわいくなった。
玉子焼取ろうとしたらこらって。
ぺしはしない。
ままりんはしたよ。
いたくはないけどちょっとびっくりするの。
それも楽しかった…
帰ってきた。
わー。
安田ママの香水。
ままりんもよくにおいつけて帰ってきた。
距離感変なんだよねあのひと。
わ。
発情の匂いもする。
ママ友の旦那さんにちょっかいかけるかふつう?
あの女嫌い。
みまちゃんも気づいた。
安田ママと距離おいてよ。
あの人香水きつすぎ。
そんなに匂うか?
距離はとってたぞ。
塾行ってきまーす。
こら待てしゅん!
プリントは前もって!!
しゅん!
勝手にしゅんくん出ていってしまう。
大丈夫だよぱぱりん。
いまままりんがついてった。
いつもにこにこ見守ってる。
あたしにしか見えないし、あたしが気づくと、人差し指唇に当ててシ!てする。
生きてたときみたいに。
あんなに泣いてたみまちゃんたちも、抜け殻みたいだったぱぱりんも、やっと日常を取り戻した。
でもままりん。
みんなさみしいよ。
言葉にしないだけでみんなさみしい。
あたしに人語がはなせたらなあ。
教えてあげれるのに。
まだままりんいるよって。
教えてあげれるのに。
ね。
家族
父母。
祖父母。
私、妹。
私の娘。
夫は海外で仕事中。
売れっ子すぎてちょっと悔しい・・・
そんなこといって、実際の稼ぎ頭はママじゃん。
純白の毛並み。
オッドアイ。
猫好きの間ではクイーンで通ってる。
そう。
キングの帰りを待たずとも。
私たちは十分売れている。
20XX・除夜の鐘
家族はとうに寝静まって、ねこだけがテレビをみている。
新しいテレビは薄くて、どっかと乗っかれない。
無理して乗ろうとして、お父さんに怒られたこともある。
ぼおおおおおおん。
ぼおおおおおおん。
静かに響く鐘の音。
8つで止んだ。
アナウンサーの声が静かに告げる。
『残りの100は例年通り、皆さんのお心裡で鳴らしてくださいね。新しい年もこのチャンネルをよろしくお願いいたします』
ニャー、とねこは一声鳴いて、こたつの中に潜り込む。
ちょっと暑いがきっとサーモスタットがなんとかしてくれるだろう。
それでも地球は回っている