親友のLOVEMYSELF

今これから綴ろうとしていることは、
本当に私の個人的な出来事で、
これを読まされた人がどんな気持ちになるかという点において本当に無責任なエッセイになるに違いない。
見てしまったあなた、付き合わせてごめんなさい。

現実の世界では、
彼女の信念を思えば思うほど、
誰にも何も言えなかった。

でも自分のなかに澱のようにたまる何とも言えない感情を、
きっとずっと、この2年間  
私は誰かに聞いてもらいたかったのだと思う。

顔の見えないこの世界で
素性のわからないこの世界で
彼女のLOVEMYSELFについて綴ること
それなら
それなら いいだろうか。

元気がトレードマークの彼女が
もう2度と会えないところに旅立ったと知らせが来たのは彼女とLINEをした二日後だった。

高校の同級生だった彼女は英語教室の講師をしていて、私の子供達もずっと教室に通っていた。
週に1度くらいはうちで夕飯をたべ、
休日を共に過ごし、誕生日を祝い、
幼い娘を連れて一緒にハワイ旅行も行って。

我が家にとって彼女の存在は家族と同義で、子供達にとっても生まれた時からそばにいる人だった。

娘が生まれた時も病院で一緒に名前を考え、
寝返りをうったときも、つかまって立った時も、歩き出した時も、初めての飛行機も、喋った時も、
言い出したらキリがない。

誰よりも元気で、誰よりも明るくて、誰よりもパワフルで。

そんな彼女が「ちょっと具合が悪いから今回はパスするね〜」と夕飯を食べに来なかったのは、思い返せば彼女が旅立つたった2ヶ月前のことだった。

何度か体調について尋ね、病院に行ったのか聞いたりしたけど、なんとなく「言いたくない」意思を感じていた。

「ちょっと仕事休むことにした〜。まとめて休んで復活するからちょっと待っててね〜」

そう言ったのは旅立つ1ヶ月前だった。
思ってるより悪そうだな、そう思っていたけどまさかこんなにすぐ会えなくなるほど悪いとは思っていなかった。
本人の「ちょっと待っててね」を鵜呑みにして信じる以外の選択肢がなかった。

今、彼女がいつからどんな状態だったのかを知る術はない。
なにせ、彼女以外の誰も、そのことを知らないまま彼女は去ったから。
家族さえも、知らなかった。

彼女が遠くに行ってしまったらしいと、確かな情報がないまま一報だけが一人歩きしている頃私には沢山の連絡があった。
どういうことなのか なにがあったのか
みんなに聞かれたけれど

私は、何も知らなかった。

知っていたけど、知らなかった。

彼女が知らないふりをしてくれることを望んでいる気がしたから、知らないままでいた。

そしたら、永遠に会えなくなってしまったのだ。

病と向き合う時
治療をしないという選択肢がある
薬に縛られず 副作用に縛られず
最後の時まで自分らしく

でもそれを本当に選択できる人はどれほどいるだろうか。
しかも誰にも告げずに。

彼女が何を思って、
何度1人で泣き腫らす夜を超えて、
その道を選んだかはわからない。

でも、おかげでこの世界に残された全ての人が元気に笑う彼女しか思い出せない。
最後の別れすら叶わなかった。
だからもういないのかも、本当は、わからない。

子供達には「ハワイに英語の勉強に行った」と伝えた。
私にも、そう思う時間が必要だった。

「いつ帰ってくるのかなぁ?」
「いまはハワイは朝だよね?」
「ゆまちゃんに会いたいって言ってるかなぁ」

最後に会ったのは、
娘の3歳の誕生日の前の日だった。
誕生日の飾り付けをしにきてくれて、完成したたくさんの水色の風船のアーチ前で、エルサのドレスをきた娘と撮った写真が最後の写真になった。

二階に登る階段に沢山の写真を掛けている。彼女の写真ももちろん沢山ある。
時々、娘がそこに座って話しかけているのが聞こえることがある。

「どうしてハワイにいっちゃったの?もしかしてゆまが赤ちゃんじゃなくなっちゃったから?小さい方がかわいいから?」

そんなことを思っていたのかと、崩れ落ちて泣きそうになった日もあった。

3歳の記憶はいつまであるだろうか。
今のところ1ミリも薄れていないようだ。
ことあるごとに名前が出てくる。

いつか、本当のことを伝えなくちゃいけない日がくるだろうか。

いや、ずっと海外を転々と楽しく回っていてもらおうか。
何だか本当にそんな気がしてきたし。

あの時もっと聞いていたら…
聞いてどうなったというのだろう

もっと早く知っていたら…
知ってどうなったというのだろう

全てが回り回って自分が納得するための手段のような気がして、たられば話は考えるのをやめた。
整理のつかない気持ちは一度ここに置かせてもらって
私もあなたのLOVEMYSELFを丸ごと受け入れなきゃ。

【いなくなることをわかられたくなかった】じゃなくて
【いなくなったと思われたくない】だよね。

いつも、一緒にいる。
なにも、失ってない。


余談だけどよくよく思い出せば何年も前に「防弾少年団の一番くじやってきた〜」って言ってなかった?
「だれ?あ、中国?韓国?なんだっけ」
で終わった気がするけど、あの時もっと布教してくれたら一緒にすごーく楽しめたかもしれないのに!

今度会ったら話すこといっぱいあるよ。
見てないコンテンツだらけでしょ?
ま、私もなんだけど。

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