【毎週ショートショートnote】カフェ4分33秒

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「カフェ4分33秒」

前を通るたびに、気になっていた。

毎日眠い目をこすり、人並みに揉まれながら会社に向かう道すがらに見つけたのが、この風変わりなお店だった。

カフェと名がつくということは、普通に飲み物を提供するお店なのだろうが、やけに不思議な空気を纏っているように感じた。

だが仕事柄、帰宅は午前様だし、休日はついつい出不精になってしまう。

だがあの風変わりなお店がいつまでも頭から離れず、夢にまで出てきた。

そんなある日のこと、台風の影響で電車が遅延しており、駅前には人がごった返していた。
これではしばらく電車には乗れないだろう。

会社に一報を入れた俺は、どこかで時間を潰そうと、元来た道を歩き出した。
すると、「カフェ4分33秒 open」と、看板が出ているではないか。

そわそわした気持ちで足を踏み入れると、店内はコーヒーの香りが。

「いらっしゃいませ」

そこに立っていたのは、首から大きい懐中時計をぶら下げている三頭身の男の子だった。


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