【毎週ショートショートnote】都市伝説の正体
「なぁ、知ってる？」
「何が？」
俺は購買部の焼きそばパン競争に勝ち取った戦利品を頬張りながら聞き返す。
「この辺りにさぁ、出没するんだよ」
「だから、何が？」
イライラが止まらない俺。
「壁持ち強襲女だよ」
「はっ？何それ」
俺は思わず、焼きそばを数本落とした。
ハヤシの話によると、街灯がない道を、イヤフォンを差して歩いていると、目の前から分厚いマットレスみたいなものを背負った貞子のような女が、全力疾走でこちらにやってきてすれ違いざまにこう囁くのだという。
「夜道には気を付けろ」
俺はそれを聞き、あることを思い出す。
「もしかしてさ、それってあのポスターじゃないの？」
そう言って俺はスマホをポチポチっと押し、ある画像をハヤシに見せた。
そこに映っているのは、口〇け女のように口角が吊り上がった黒髪の女性が人差し指をこちらに向けており、その下にはデカデカと
「夜道を歩くときには気を付けて！」
と書かれている。
ハヤシがポツリと呟いた。
「都市伝説って、案外こういうところから勝手にうまれるもんなんだろうな～」
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